「マジカル・ガール」について
(なぜか意味不明の映画が、
うちで再生される件について)
それは時々起きる事故のようなことなのだが、
全然知らない、興味もない映画を、
何年かに一回借りてしまい、
わけのわからないまま見て、
感動したりする時もあるのだが、
わけのわからないまま終わることもある。
2013年頃には、TSUTAYAの準新作の棚に並んでいた、
「マジカル・ガール」という作品を借りてしまった。
この映画がどんな映画なのか、
ストーリーを書いても全く意味がないので、
それらは省略するが、結論から言えば、
この映画は僕の好きなタイプの映画だ。
いや、かつて好きだったタイプの映画、
というほうがより真実に近いだろう。
今の僕は、テレビドラマとか、
若い女の子の女優が誰が可愛いとか、
そういうことに興味を持って、
そっちに「寄せて」いこうと努力しているので、
いまさらこういう映画の世界に引き戻されても、
結局孤独感が募るばかりなのだ。
やたら映像のクオリティが高くて、
カットの間の取り方も意味ありげで、
ストーリーにはちょっと難解なところもあり、
落ち着いた暗いトーンの映画、
ひと昔前の日本では、
「フランス映画のような」と形容されていた、
そういうジャンルの映画である。
ちなみにこれはスペイン映画で、
監督のカルロス・ベルムトは、
1980年生まれで当時は37歳、
日本のアニメやマンガが好きな、
「サブカル系」の作家らしい。
僕はこういう映画が好きだった。
大学時代、一人でミニシアターに行って、
映画館の隅で一人でブルブル感動していた。
いつかこういう映画が好きな仲間を見つけて、
一緒に自主制作映画を作ったり・・・・
というような夢や希望を持っていた。
でもそのような、
当時は「立派」だと思っていた「志」は、
日本の社会では
あまり役に立たないものだとわかり、
今では熊本の片隅に暮らして、
もっと普遍的で大衆的な文化に馴染もうとしている。
それでもかつての嗅覚というか、
何かそういうものを「高尚」とか思うような、
悪しき慣習というか病気のようなものが、
まだ僕の心には残っていて、
どうしてもこういう映画に
引き付けられてしまうらしい。