僕は天才にして凡人
今でもそうかもしれないが、
僕が子供の頃は学校では知能テストは受けさせなかったし、
文部省の都合か何かで受けることがあっも、
その結果は公表されなかった。
そんな僕が中学生の時、全校一斉に
知能テストを受けたことがあった。
その問題はとんちクイズのような、
面白いゲームのような問題で、
受けていてとても楽しかった。
そのテストを受けた数日後に
担任から職員室に呼び出された。
この担任のことは正直言って嫌いだったし、
当時の僕は特に人の言葉の裏に秘められた意味を
察するということが不得手というか、
彼女がなんでそのような回りくどい伝え方をするのか、
その意図がわからなかった。
このあたりが、僕が発達障害なのではないかと言われる原因なのだが、
もしかしたら厳密に検査すると今でも本当にそうなのかもしれない。
それでその時に担任に言われたことを、
さすがにこの歳になったらある程度推測できるので、
あらためて今考えると、
「あなたの知能テストの結果は
クラスで1番だったのに、
学業の成績はクラスで5番くらいなのは、
どういうわけなのか、
もう少し頑張ればもっと上の成績がとれるのに」
というようなことだったと思われる。
しかしその時には僕はこの担任が、
なんでわざわざ職員室に呼び出して、
僕にそんなことを言ったのか、
その意図がまったく理解できなかった。
その約1年後、
僕にも高校入試の季節がやってきて、
担任からは僕の学力テストの結果から、
「あなたは〇〇高校あたりを受けなさい」
と言われたのだが、僕は知能テストの時のことを思い出し、
「いえ、××高校を受けます」と、
もう1ランク偏差値の高い高校の名前を挙げた。
当時のその高校の偏差値は70くらいであった。
担任は絶対に考え直せと言って僕は絶対に受けると言って、
結局受けて僕はその高校に合格した。
そのあたりのすったもんだは省略するが、僕はその時深く傷ついた。
それから数年経ち、
就職試験の時期の頃、
ある会社の一次試験で
知能テストを受ける機会があった。
そこは福岡の小さな広告会社で、
今でも存在する会社なので名前は明かせない。
一次試験は合格し、二次の面接の時、
面接官が持っていた受験者の名簿が偶然見えて、
そこにはしっかり僕の名前と、
知能テストの結果が書かれていた。
その結果は138くらいで、
一緒にその会社を受けていた、
同じ大学のKくんという友人の名前も
知能テストの結果もバッチリ書かれていて、
彼は115くらいだった。
そのKくんと僕は、
友人としてまったく対等なつき合いだったが、
僕は内心「そうか彼と僕は、
知能指数で評価すると
20ポイントくらいの差があるのか」と、
ほんのちょっと優越感のようなものを感じたものだった。
偏差値で比べたら
60の学校と40の学校には
ものすごい差があったからだ。
しかし同じ名簿に載っていた受験者20名くらいの中に、
僕と同じ130以上の知能指数の人がもう1名いた。
「こんな場末の中小企業の受験者の中にも、
他にももう1名同じくらいの数値の人がいるので、
俺の知能指数もそんなに大したものではないんじゃないか」
とがっかりしたのを覚えている。
まあその結果が如実に示しているように
その後の僕の人生はといえば、
とりたてて見たり語ったりする価値もない、
ごくありきたりの
「平均よりちょい下」くらいの人生である。
なので知能指数もあんまりあてにはならない。