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あまりに機械的な行政の対応

これは8年前の投稿です。この頃はゴミ回収の仕事をしていました。

この言葉は千葉県銚子市で
県営住宅からの立ち退き勧告を受けていた母親が、
13歳の娘の首を絞めて殺した、
という事件の記事を読んでいた時、
その記事の小見出しに使われていた言葉である。

なぜこの記事を読んだかというと、
今一緒にゴミ回収のトラックに乗っている方が、
中学生の娘さん、小学生の娘さん、
そして保育園の息子さんの三人のお子さんがいる方で、
その方が「あの13歳の娘を殺した母親の事件、
可哀そかね、なんとかできんかったかねえ」
という話をしたので、
僕も何かコメントしようと思って、
この記事を探して読んでみたのである。

この母親は夫と離婚後、
十数年、給食センターで働きながら、
娘を育てて来たのだが、
少しずつ借金が溜まっていき、
ついには県営住宅からの立ち退き勧告を受けて、
立ち退きが執行される日に
娘の首を絞めて殺してしまったのであった。

この事件に至るまでには、
行政に相談にも行っていたのだが、
行政はあまり親身に対応してくれず、
生活保護の受給には至らなかったようだ。

その行政の対応が「あまりにも機械的」だったと
批判されているのである。

実は今、行政の委託で、
違反ごみの回収という仕事をしているのだが、
これはごみ収集の日に
収集車が通り過ぎた後に出されたごみが、
ゴミステーションに残っていたり、
ごみ収集ルールに違反していて、
収集車が置いていったごみを回収したり、
動物の死体を回収したりする仕事である。

ほとんどが市民からの通報を受けて、
現場に向かうのだが、
特に通報が無い時には、巡回といって、
市内に違反ごみなどがないか、
探して回るのが仕事になる。

そしてごみが取り残されているステーションを見つけると、
市役所に連絡して回収の指示を判断してもらうのだが、
この報告を入れると、中には、面倒くさそうに、
「仕事の指示書をよく読んでください、
こちらから指示がない限りは、
回収する必要はありません」
と答えてくる担当者もいる。

昔よく言われていた、
公務員はなるべく仕事しないようにするのが仕事、
というような対応なのだ。

数日前にはあるゴミステーションに、
埋め立てごみが数袋、
取り残されているので、
回収してほしいという指示があり、
現場に向かうと、
その場所の数軒先にも、
埋め立てごみの袋が出されていたので、
「こちらのごみも回収しますか?」
と無線で連絡をいれたら、
「そこは埋め立てごみのステーションに
指定されていないので、回収する必要はありません」
という返事であった。

埋め立てごみと燃えるごみは
出す場所が違うので、
いつも燃えるごみを出す場所に、
まちがって埋め立てごみを出しているようだから、
それはごみ回収ルールを理解していない、
市民のほうが悪いので回収する必要はない、
という理屈のようであった。

これは担当者によって対応が違い、
特に一人だけ「あまりにも機械的な対応」
をする担当者がいる。

この人はうちの会社でも評判が悪く、
無線の声がこの人の日は
「あ、今日はあいつが担当だ」と、
気が重くなる時もある。

人によってそれぞれ個性があり、
その個性に応じてその人が認識されていくわけだが、
このような悪目立ちは自分にとって損だと思う。


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