深作欣二監督の思い出
なんかちょっと、
酷い映画だったか、過激な映画だかを、
紹介しているYouTubeを見て、
深作欣二の「バトルロワイヤル」を、
借りて見てみた。
当然この映画の存在は知っていたが、
なんとなく見る気になれなくて、
今回が初めてだった。
まあある意味、出鱈目な暴力映画だが、
深作欣二さんといえば、
一度ご本人を拝見したことがある。
それはバブルの絶頂期で、
僕は東映CMという、
東映系のCM制作会社にいて、
そのころは企業が金に任せて、
深作欣二でも大林宣彦でも、
CMの監督に起用していたのだ。
当時は深作監督でも大林監督でも、
一本の演出料が250万~300万くらいだった。
深作監督はJTBの千葉真一と野際陽子が
出演しているCMの監督をしていて、
打ち合わせか何かでうちの会社に立ち寄ったのだ。
銀座にあった会社なのだが、
背の低い、白髪で、
ベージュのトレンチコートを着たおじいさんが、
突然ロビーに現れて、一目で一般人じゃないとわかった。
なんと足には一本歯の足駄を履いていた。
風体も普通ではなかったが、
それ以上に全身から、
オーラのようなものがみなぎっていた。
これまでに、人間が発する、何か、
並々ならぬエネルギーを感じたのは、
この、深作さんを見た時と
まだ無名だった菅野美穂さんと
同じこの会社の廊下で、
すれ違った時の二回だけだった。
その深作さんが作った映画と思うと、
やはり単なるアクション映画とは
ちょっと違ったものが伝わってきた。
当然「仁義なき戦い」シリーズや、
「現代やくざ 人斬り与太」や
「県警対組織暴力」など、
これまでに深作さんの映画は
何本も見ているのに、
それでもまた改めて、
すごい映画を作るなあと思ったのでした。