「リアル」の3巻でした
今日の明け方、
夢の中で、いいメッセージを思い出して、
どこで聞いた言葉だったっけ、と考えていたら、
井上雄彦の「リアル」に出てきた言葉だった、
と昼頃思い出した。
そこで家に帰って「リアル」をめくって、
どこに書いてあったか探した。
「リアル」は今13巻まで出ていて、
そんなに前じゃないだろうと、
10巻くらいから探し始めたのだが、
どこにも見つからない。
そこからだんだん巻をさかのぼっても、
全然見つからないので、
「リアル」じゃなかったのかな、
と思い始めて、それでもさかのぼって探していたら、
なんと、3巻の中にあった。
「リアル」は1999年の終わり頃から連載が始まり、
一年に一冊くらいのペースで単行本が出ているので、
3巻が出たのは2003年のことだ。
ということは僕がこの言葉と出会ったのは
10年以上前のことで、
それ以後、3巻を読み返してはいるかもしれないが、
おそらく10年以上の間、この言葉は、
僕の心の奥に刻まれ、
もしかしたら僕の心を支えていたかもしれないし、
そうでなかったとしても、いつかこの日を、
出番を待って控えていたのかもしれない。
長くなるがせっかくなので引用させていただく。
まず、「リアル」というのは、
車椅子バスケがテーマの物語である。
バスケマンガの金字塔、
「スラムダンク」の井上雄彦の作品である。
その車椅子バスケチームのメンバーの一人、
になるであろう、高橋久信が、
脊損事故で車椅子の上で生活するようになり、
その病院を見舞ってくれた、
少年バスケチームのコーチとの会話の中から、
久信の過去の思い出がよみがえる。
久信が小学生の時、
父が離婚して家を出て行ってしまい、
それをなぐさめるコーチが言った言葉である。
「そういうことってみんなに起きるわけじゃない、
なんで久信んちだけって思うよな
あのマジック・ジョンソンが
HIV感染を発表したとき、俺は、
『なんでよりによってマジックが』、と思った。
あれ以来よく考えるんだ、
神サマか仏サマか、
何かそれっぽいものがいるとして、その神サマは、
『この人間だったら乗り越えられる』、
そう判断してマジックを選んだんじゃないかって、
俺の勝手な考えだけどさあ、その神サマが、
久信、お前のことも見てるんじゃないのかなって、
この子ならきっと乗り越えられると判断して
お前を選んだ・・・俺は最近そう思うんだ。」
この言葉をコーチは、脊損になった久信に、
もう一度言う。
優れた作家が優れた作品を書き、
その作品を通じて重要な、大切なメッセージを伝えてくれる。
僕は子供に対して、こんな素晴らしいことを教えることはできない、
だけど「リアル」は面白いよ、と、
子供に教えることならできる。
子供はそのマンガを読んだことや、
そのセリフは忘れてしまうかもしれないけど、
心の奥底には井上雄彦の素晴らしい考えが刻まれて、
それはいつかきっとその子を助けてくれるに違いない。
僕はそんな幼児教育をしたいんだ。