沖田×華について その2
昨日、沖田×華について少し書いたら、意外に反響が良かったので、その続きです。
僕は時々うちの奥さんから
「あんたアスペルガーやないと?」と言われる。
僕は自分ではそうではないと言っているが、
もしかしたらそうかもしれないと思うこともある。
アスペルガーというのはかいつまんで言うと、
知的障害を伴わない自閉症のことで、
確かに僕は昔から
「ちょっと変わった個性的な子」とは評価されていた。
それでも知的障害はなかったので、
一度も精神科や支援センターへ行けとは言われなかったし、
自分もその必要を感じなかった。
ただ、最近沖田×華の著作を読んで、
もしかしたらそうかもしれないと
思うようになったのである。
いや、今でも、やや傾向が似ているところもあるが、
おそらくアスペルガーではないだろうと思っている。
でもそれが勝手な思い込みではないと
誰が言えるだろうか、いや誰も言えはしない。
子供の頃通信簿の連絡欄に
「落ち着きがなく人の話を聞けない」と何度も書かれた。
これは担任が変わっても、
転校して住む場所が変わっても
いつも必ずと言っていいほど書かれ続けた。
これこそアスペルガーというか、
多動性障害なのではないだろうか。
参考までに沖田×華の著作の巻末に
自閉症スペクトラムの
簡易診断ツールが付帯されており、
この問診票のようなテストをしてみたところ
50点中26点であった。
この診断ツールでは33点以上ならば
自閉症傾向にあると診断されるのだが
僕は該当しなかった。
とりあえず一安心であるが、
沖田×華の著作には
見過ごせない記述がいくつかあるので、
それを書いていこうと思っている。
アスペルガーの特徴として
こだわりが強いという傾向があるそうだ。
例えば沖田×華は青色のものが好きで
仕事場は青のもので統一されているという。
絨毯やカーテンや小物類など。
その青は「サファイアブルー」という色で、
それ以外の微妙に違う青は興味の対象外なのだそうだ。
沖田×華が青が好きということを知っている人が
時々青色のものを買ってプレゼントしてくれるのだが、
それが「サファイアブルー」とは微妙に違う、
「オリエンタルブルー」とか
「ロイヤルブルー」である場合が多く、
青の服ばかり入れている洋服ダンスにしまうと
その青だけが浮いて見えて落ち着かないそうだ。
自分で通販で買う時も
パソコンの画面で見た青と
実際に送られて来る商品の青が
微妙に違うことはよくあるらしく、
そういう失敗した服はフリマで売るという。
そんな沖田×華の36歳の誕生日に
彼氏(おそらく桜井トシフミ)が、
財布をプレゼントしてくれたのだが、
その財布の実物は「緑がかったターコイズ」だった。
それが通販の画面では
フラッシュの反射で「サファイアブルー」に見えたのだ。
沖田×華の色の好みをよく知って居る彼氏は、
すぐに返品しようとしたが、
沖田×華は、自分のために
青の財布を探してくれた彼氏の気持ちを
とても「嬉しい」ものとして実感できたそうだ。
発達障害は共感能力が低く
他人の気持ちを推し量ることが苦手なので、
そのことが原因でトラブルが起こることも多いのだが、
沖田×華は36歳にして初めて
「自分のために財布を探してくれていた」
という彼氏の気持ちを理解し、
「その気持ちが嬉しい」という感情が、
自分の青色に対するこだわりを
はるかに超えて実感できて涙したのだという。
それは水に触れたヘレン・ケラーが
全てのものに名前があるという概念を理解した時のような大発見だったのだそうだ。
ちなみに沖田×華の母親は
ピンク色にこだわりがあるらしく、
マイメロディのピンク色と
ハローキティのピンク色は全く違うと言っているのだが、
沖田×華にはその違いはわからないらしい。
沖田×華が10代の頃、
中学の同級生のYちゃんという女の子と
ルームシェアして暮らしていたそうだ。
そのYちゃんが好きになる男は
なぜかダメな男ばかりで、
その頃はAというアパレル店員のことが好きだった。
YちゃんはAの店で高額な買い物をしたりしていたが、
Aは飲み会のたびにほかの女友達を口説いたりしていたので、
Yちゃんの幸せを願っていた沖田×華は密かに心配していた。
そんなある日、Yちゃんがいない時に
シェアハウスにAが訪ねて来た。
Yちゃんがいないと知ってAは沖田×華をドライブに誘った。
沖田×華はこの機会にAがいかにダメな男か確かめるため、
Aの誘いに乗って一緒にドライブに出かけた。
するとAは沖田×華をホテルに誘ってきて、
沖田×華はその誘いに応じてホテルでSEXをした後、
Yちゃんのことをどう思っているかAに聞いた。
Aが特になんとも思っていないと答えたので、
沖田×華はYちゃんをあまりその気にさせないでくれと頼んだ。
シェアハウスに戻った沖田×華は、
Yちゃんにそのいきさつを話して
あんな男とつき合うのはやめろと説得した。
するとYちゃんは
「なんでそんなヒドいことするの?」と沖田×華に聞いた。
「アイツがいかにサイテーかをYにわかってほしいから」
「何か私に恨みでもあるの?」
「えっ、全然ないよ、Yが不幸にならないように」
「今、超不幸だよ、私が好きなの知っててHするなんて」
「だから向こうはYのこと好きじゃないんだって
そりゃ私もAのこと好きだったらサイテーになるんだろうけど、
私はAのことなんとも思ってないワケ、
サイテーなのはアイツじゃん、
向こうから誘ってきたんだから」
「なんで断らないの?」
「その日予定があれば断ったんだけど、
断る理由がなかったんだよね、何もなかったから」
「私のことは?」
「Yもいなかったじゃん、
事前にいってくれてたら断ったんだけど」
「もういい・・・」
とYちゃんはあきれて話すのをやめてしまった。
沖田×華は「これで大丈夫、体張ったかいがあったよ」
と安心して眠りについた。
翌日、沖田×華がシェアハウスに帰ると、
大勢の友達が集まってそこでYちゃんが泣いていた。
「みんなどうしたの?なんでY泣いてるの?」と聞くと、
「Yから聞いたけど、どーゆーこと?」
「Yがどれだけ傷ついたかわかってんの?」
「前から変な女と思ってたけど、本当サイテーな女ね」
「Yに謝りなよ!!」と、口々に責めたてられた。
「なんで?」と聞くと、
「傷つけたからでしょ!」
「私が?どこを?」
「とぼけるのもいい加減にしなよ!
自分が同じことされたらどう思う?」
「私は傷つかないんだけど・・・」
アスペルガーの沖田×華は、
他人の気持ちに共感する能力が低く
自分の価値観だけでものを言ってしまうのだ。
その結果友達全員から罵詈雑言攻撃を受けることとなる。
攻撃は夜中まで続き、結局沖田×華は
「友達の好きな男を寝取った最悪な女」として
土下座させられることになった。
友達たちが帰ったあと、沖田×華はYちゃんに
「私のことキライでもなんでもいいから
あの男と付き合わないでね
それならYに絶交されても平気だから」
と言い、Yちゃんは
「あんたさあ、本っ当にバカだよね」
と言って、今でも2人は友達なのだそうだ。
沖田×華の作品が多くの人から評価されているのは、このような、一般常識から少し外れた視点でものを見ているからだと思う。しかし沖田×華のそこに至るまでの苦労ははかりしれない。