もう遠い過去のことのようだ

1年前には高齢者の方向けの、お弁当の宅配の仕事をしていた。この仕事はちょうど1年間続けて、母の介護の手伝いのために辞めた。その時に書いていた文章。

昨日(2020年4月11日)の土曜日に
別のルートを配達している人と
ちょっと話す機会があった。

その人がかつて配達していた家の人が、
部屋の鍵を郵便受けに入れていて、
配達に行った時にはその鍵で部屋を開けて、
お弁当を届けていたらしい。

部屋の主はベッドに寝ているのだが、
「お弁当置いときますね」と言うと、
「ああ、ありがとう」と答えていたらしい。
それでまた鍵を閉めて次の家に行っていたそうだ。

ある日、いつものように、
「お弁当置いときますね」と言うと、
「ありがとう、ありがとう」と、
4回か5回くらい
「ありがとう」を言われたらしい。

その日の夜に電話がかかってきて、
そのお客さんが今日亡くなったので、
明日からは配達が無くなるから、
ということだったのだそうだ。

亡くなっているのを発見したのは、
介護ヘルパーさんで、
やはり合い鍵で開けて入った時に、
亡くなっていることに気付いたそうだ。

「俺が発見者じゃなくて良かったよ」
という話だったのだが、
その話をうちの奥さんにしたら、
「でもお弁当を配達した時には、
すでにその人は亡くなっていたのかもね。」
と、勝手に実話怪談にされてしまった。
いずれ僕もそんな経験をしそうで怖い。

結局僕はそんな経験をすることがないままその仕事を辞めることができた。

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