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ゴールデンスランバーを読んで

★★★★☆
2回読んで、あちこちに散らばっていた伏線を回収できた。読み終わった後は、言葉を失うぐらいの衝撃を受けた。

ーあらすじー
衆目に晒される中で首相が爆殺された。その犯人とされたのが、青柳雅春。やってもいないのに濡れ衣を着せられ、銃による攻撃も厭わない集団からの孤独な逃走。大学生時代、仲間と過ごした記憶を辿り、ただひたすらに逃げる。
巨大な陰謀に包まれた青年の結末はーーー。
スリルとエンターテイメントが混合した長編傑作。


ー感想ー
今まで伊坂幸太郎の作品は「陽気なギャング〜」シリーズしか読んだことが無かった(私が大好きな作品です)。「陽気なギャング〜」シリーズでもあった、コミカルな伊坂幸太郎節を含ませつつも、シリアスな場面とのギャップがあり正真正銘の傑作である。

この作品は、第一部「事件のはじまり」、第二部「事件の視聴者」、第三部「事件から二十年後」、第四部「事件」、第五部「事件から三ヶ月後」という変わった構成になっている。主人公・青柳雅春の視点で描かれる前に、事件がどのような結末を迎えたのかが分かってしまうのである。なのに、読者に飽きさせない工夫が凝らされている。読んだ一回目は、訳の分からぬまま話が進んでいき、後半になりようやく真相が分かってきた。あまりにも話のテンポが速く、頭の中で反芻したり整理したりしながら読んだ。二回目は、一回目に拾いきれなかった伏線も回収でき、更に楽しめた。というよりも、この本を読むのなら確実に二回読むのがおすすめである。

普通に生きていれば、首相暗殺の濡れ衣を着せられることなど絶対にないだろう(首相暗殺自体起こるものではない)。そんな普通に生きていた青年が巨大な陰謀に追い詰められるという突拍子もない設定なのに、その先を読みたくてウズウズしながら読んでいた。また、青柳雅春の逃走中に現れる謎の人物達が良い味を出している。彼らが、スリルな物語に彩りを加えていたように思う。読み終わった後はまさに放心状態であった。元々父が薦めてくれた本だったので、感想を言おうと思っても「凄かった」「本当にヤバい」という中身のないことしか言えず、なかなか興奮が冷めなかった。
ここまで読んでくれた方はなぜ評価が★★★★☆なのだろうと思うかもしれない。面白さ度合いで言えば確実にマックスになるのだが、何より、、長い!!!迂闊に読むべきではないという父の言葉がよく分かった(笑)。サラッと読めるものではないので、読書が苦手な方にはあまりお勧めできない。読書を普段からしている方なら楽しめると思う。本屋大賞も受賞しているのでぜひ読んでもらいたい。


本を読みながらスリルを感じたのは初めての経験でした!もし読む方がいらっしゃったら、通勤・通学の電車内で読むのは注意して下さい。私は電車で読み、入り込みすぎて危うく乗り過ごすところでした(笑)。

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