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"2" 鎮静の評価について 「RASS」


鎮静が浅い・深い

 まずは意識の状態や鎮静のかかり具合について評価方法があるので学んでいきましょう。具体的な鎮静薬の薬を覚えるよりも先に、適切な鎮静の評価ができるようにしないといけません。なぜなら評価ができないと、鎮静が浅いからもっと薬が必要なのか、それとも深すぎるから不必要なのかが分かりませんよね。
 ちなみに鎮静のかかり具合は海のような感じで、「浅い」「深い」と表現します。深い鎮静のことをICUではよく「deep sedation(ディープ セデーション)」と言います。かっこいいですね。ちなみになぜか浅い鎮静のことは「shallow sedation」とは言いません。たまに「light(軽い) sedation」っていうことはありますが。Lady Gagaの「Shallow」って歌ありますよね。とても素敵な曲です。これはshallowには男女の関係が浅い、ちっぽけな関係という意味があるそうで、歌の中ではもう私たちはshallowには戻れないって歌われてます。

意識の評価方法

 意識レベルを評価する方法としてはGCS(Glasgow Coma Scale)とJCS(Japan Coma  Scale)が有名です。でもこれは「鎮静がかかっていない」患者さんの意識のレベルを評価するために作られているスケールです。ICUで気管挿管されていて深く鎮静されている患者さんのGCSはほぼ全員E1Vt M1になっちゃいますね。したがって、ICUで鎮静剤が使われている患者さん用には別に鎮静スケールというものが用意されています。
 昔はRamsay(ラムゼイ)先生の開発したRamsayスコアというのが用いられていましたが、今はほとんどの場合「RASS( ;Richmond Agitation-Sedation Scale)」(ラス)というスコアが用いられています。ICUで標準的に使われていますので、初めてICUに来た人はぜひ覚えておきましょう。

RASS(Richmond Agitation-Sedation Scale)

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 人工呼吸器管理+気管挿管中でも、鎮静剤が投与されていても使用できるスケールです。+4から-5まであります。プラスは興奮している状態(Agitation)、マイナスは鎮静されている状態(Sedation)を表しています。
 一般的には-1〜-2を「浅い鎮静」、-3〜-5を「深い鎮静」と言います。鎮静剤を使用している患者さんは、どちらを目標としているかを必ず確認しましょう。もし「浅い鎮静」が目標となっているのに、RASSを評価したら-4になっていました。こういう場合はプロポフォールやミダゾラムなどの鎮静剤を減量する必要があります。
 一般的には不動状態の副作用が出ないように、特殊な事情をのぞいて「浅い鎮静」を目標とすることが推奨されています。不用意に多い鎮静剤を投与して、RASSが-5の状態で放置されるなどということがないようにしましょう。


Today's Note

・鎮静のことを「sedation(セデーション)」という

・鎮静スケールには「RASS」を用いる

・RASSで-1〜-2を「浅い鎮静」といい、特殊な事情がない限りはこの鎮静レベルが推奨される


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