第三批評 創刊号準備中@文フリ東京12/1&ZINEフェス東京1/11

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最近の記事

『HAPPYEND』 ハッピーエンドという名の映画(第三批評 常森 裕介)

本作のラストを見て、『キッズ・リターン』だ、と思った(同じような印象を受けた人は少なくないのではないか)。音楽のせいだけではない。過去と未来が今で交わるという日々連続して生じる衝突と交錯が、奇跡のように感じられたからである。 終わったのか、という問いに、まだ始まっていないと答える『キッズ』のラストシーンに対し、本作のラストシーンは、まだ始まっていないにも関わらず、既に終わったのではないかという不安を感じさせるものである。 本作は冒頭で遠くない将来を描いた作品であることが示

    • 『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』 DC社会の終わり(第三批評 常森裕介)

      ジョーカーの武器は想像力である。そして、想像力は無限ではなく、枯渇する。そんな当たり前のことを観客は忘れている。 なぜなら、ジョーカーは守られていたからである。誰に守られていたのか。DCユニヴァースという名の社会に守られていたのである。DCユニヴァースは、DCコミックのキャラクターによってのみ構成されていたわけではない。DC・マーヴェル映画のファン、DC・マーヴェル映画を作り続けたスタジオ、DC・マーヴェル映画にスクリーンを明け渡した映画館によって成り立っていた。 『ジョ

      • 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』 最後の日の翌日(第三批評 常森裕介)

        「ハッピーエンドじゃなきゃヤダ!」第4回 本作で描かれるのは、内戦状態に陥ったアメリカである。本作のメッセージは明確であり、現在のような分断が続けば、本土が戦場になったことのないアメリカで、戦争(civil war)が生じる事態になるというものである。上記分断を引き起こした張本人として、現在アメリカ大統領選の共和党の候補として選挙戦を戦うドナルド・トランプ元大統領を想定するのは難しくないだろう。 また、本作の特徴として戦争に至るプロセス等を省略し、記者の視点で戦争や戦場と

        • 『憐れみの3章』実は途中で終わっていた(第三批評 常森裕介)

          「ハッピーエンドじゃなきゃヤダ!」第3回 映画を観終わった時、あの場面で終わっておけばよ良かったのに、という感想を抱くことは少なくない。ただ個人的には、この場面で終わると最高なのではと思ったところからどんどん展開していく映画の方が傑作が多い印象がある。 一方、実はあの場面が「終わり」だったのでは、と思うことはあまりない。なぜならエンドロールが流れたところが終わりであり、エンドロールの後にちょっとしたオマケがあっても、画面が消えて場内が明るくなった時点が終わりだからである。

        『HAPPYEND』 ハッピーエンドという名の映画(第三批評 常森 裕介)

          劇評 お布団『アンティゴネ アノニマス-サブスタンス 浄化する帝国』(第三批評 常森裕介)

          「ハッピーエンドじゃなきゃヤダ!」番外編① リビングデッドの名のとおり、ゾンビは死んでいるけれども生きている、そのような存在である。そのため、ゾンビが死ぬ前の人格を残しているかという問題は、物語によく使われてきた。 本作は、役として死んだとしても、役者として生き返り、さらに再び役を演じることで役として生き返ると言う演劇の身体性の不条理を、上記ゾンビものの「理屈」と重ねることで、設定としての地獄ではなく、観客の目の前に(あるいは客席も含めて)地獄を創出しようとする試みである

          劇評 お布団『アンティゴネ アノニマス-サブスタンス 浄化する帝国』(第三批評 常森裕介)

          『エイリアン ロムルス』-全員死んでも構わない (第三批評 常森裕介)

          「ハッピーエンドじゃなきゃヤダ!」第2回 いきなりネタバレになるが、『エイリアン ロムルス』は最後、主人公の少女一人だけが助かる。仲間は皆(広い意味で)エイリアンに殺される。最後に一人残るのは、ホラーというジャンルのお約束であり、本作は『ドント・ブリーズ』(2016年)のフェデ・アルバレスが監督を務めたため、既に多く指摘のあるとおり、無鉄砲な若者が次々殺されるホラー映画のお約束に沿って進む。 本作には「原点回帰」等、これまでのエイリアンシリーズ(4作+『プロメテウス』『~

          『エイリアン ロムルス』-全員死んでも構わない (第三批評 常森裕介)

          『Cloud クラウド』 映画に始まり、映画に終わる-「ハッピーエンドじゃなきゃヤダ!」第1回(第三批評 常森裕介)

          映画の登場人物の行動を理解する時、ほとんどの場合、現実に生きる人間の行動原理を当てはめて理解した気になってしまう。本作でいえば、工場でくすぶっていた主人公が、転売を通じて金持ちになってやろうとしている(に違いない)といった理解である。 だが、よく主人公のセリフを聴いてみると「俺は転売で金持ちになってやる!だから今の職場を辞めてやったぜ!」とは言っていない。だが、上記のようなセリフはないから、そう思ってるか分からないのでは?などと言うと馬鹿にされる。黒沢清がそんな説明的なセリ

          『Cloud クラウド』 映画に始まり、映画に終わる-「ハッピーエンドじゃなきゃヤダ!」第1回(第三批評 常森裕介)

          まずはつくってみる。

          あとから考える。 さて、どうしましょうねぇ;))