『Cloud クラウド』 映画に始まり、映画に終わる-「ハッピーエンドじゃなきゃヤダ!」第1回(第三批評 常森裕介)
映画の登場人物の行動を理解する時、ほとんどの場合、現実に生きる人間の行動原理を当てはめて理解した気になってしまう。本作でいえば、工場でくすぶっていた主人公が、転売を通じて金持ちになってやろうとしている(に違いない)といった理解である。
だが、よく主人公のセリフを聴いてみると「俺は転売で金持ちになってやる!だから今の職場を辞めてやったぜ!」とは言っていない。だが、上記のようなセリフはないから、そう思ってるか分からないのでは?などと言うと馬鹿にされる。黒沢清がそんな説明的なセリ