映画「花束みたいな恋をした」が大傑作だった件
この映画、やばすぎる
全サブカル好き必見の一本です。
久しぶりにnoteを書きます。
WEB広告代理店勤務のバンドマンとーるです。
普段マイナーなものから、メジャーどころまで、みっちり観ているほど無類の邦画好きの僕ですが、今回「菅田将暉」主演という事で、とある映画に注目していました。
※筆者は菅田将暉の隠れ大ファンなんです笑
それが「花束みたいな恋をした」です。
この映画、東京都調布市を中心に京王線沿いが舞台なんですが、
何を隠そう僕も大学時代から調布に住んでいるので、
「好きな俳優が住んでいる街を舞台にした恋愛映画をやる」
ただそれだけで飛びつきました
もう正直予告の段階から超注目していました!
予告ではAwesome City Clubの「勿忘」が流れるんですが、
これまた良い曲で、、、
今まで同じ映画を2回映画館で観るなんてことは、数多くの映画体験の中でも殆どないですが、多分コレ2回観ます笑
何がそんな魅力的なのか
思わず感想を書かずにはいられないほどの2021年大傑作「花束みたいな恋をした」についてレビューをご紹介していきます!
是非ご覧ください!
キャスト・スタッフについて
今作の脚本ですがご存知「坂元 裕二」さん
過去手がけた作品は「東京ラブストーリー」「いつ恋」「カルテット」
どれも名作ですよね。
特に「いつ恋」とか大学生の時、友人の家で観ていました。
あまちゃんの時くらいから、ずっと有村架純のファンだったこともあり、強く記憶に残っています。
あとはカルテット・東京ラブストーリーも本当に良かったですよね、、、
かなり好きな脚本家さんです。
監督は土井裕泰氏
代表作は「いま、会いにゆきます」※神映画ですよね!
「ビリギャル」
あとは坂元さんとタッグを組んだ「カルテット」
どれもなんとも言えない淡さ・人の感情を揺さぶる情景描写が光る独特の作風です。
カルテットもあんなに面白かったんです。
そりゃこの二人が組んで駄作になるわきゃないんです笑
まぁ今回、想像通りの傑作になった訳ですけども。
あとは土井監督の映画に出る有村架純がイイ!!
イイよね!!
土井監督のタイプなのかは知りませんが、一番有村架純を可愛く輝くような使い方をしている気がします。
続いてキャストですが、これまた豪華!!
菅田将暉と有村架純ですよ!!
ウニユッケ・タピオカミルクティー・吉川晃司と布袋寅泰・常田大希と井口理・かわいい子×ニットワンピ
好きなもの×好きなもの=最強
の方程式。
そうなんです。最強なんです。
菅田くんの演技って本当に良い意味で変な色が無くて、
癖や味はあるのにスッとキャラクターとして見れのがすごいんですよ。
今回とかまさにそう。
「アレ?これ演技じゃなくて菅田将暉ってこういう人なんじゃね?」
って思わせてしまうほど自然体でした。
監督の力量もあるでしょうが、この”自然”さはすご過ぎです・・・!
あとは有村架純パイセンなんですけど、前述の通り土井監督の映画に出る、有村架純の可愛さって言ったらもう・・・
ビリギャルの時とは大きく異なり、所謂サブカル女子で、頭が良くちょっぴり周りを俯瞰し、イジワルなことを言う感じのキャラクター。
うんうんいるよね、こういう子。
どう考えても実在しているとしか思えないほどリアルな立ち振る舞いが、より映画に引き込まれる要因の一つになってます。
こんな現代の邦画界におけるアベンジャーズ的なメンツですが、
その魅力的なストーリーについて解説します。
※ネタバレ注意です。
あらすじ
物語は京王線「明大前駅」にて終電を逃した大学四年生の男女(菅田将暉・有村架純)の出会いから始まります。
菅田将暉演じる「麦」
有村架純演じる「絹」
麦と絹はお互いコアなサブカル好きという事もあり、やれきのこ帝国だ~押井守が~と意気投合します。
何回かデートを経て交際がスタート。
そこから他愛もない日々が続き、順調に愛を育んでいきます。
絹の就活経て、調布のアパートで同棲をすることに。
麦は趣味のイラスト仕事に、絹はアイスクリーム屋でバイトをし、
学生の時と変わらず、仲睦まじい幸せな日々を送ります。
ですが次第に好きなことで生きていくことの難しさや、
普遍的な社会の流れに麦が飲み込まれはじめ、好きな事を変わらず貫き続けようとする絹との間にすれ違いが生まれ始めます。
現実をみようとする「麦」
理想を追い求め続ける「絹」
この「すれ違い」は次第に「摩擦」へと変わり、
二人の人生について揉めるようになります。
そんな生活を続けていく中で、麦が明らかに以前のような熱量で、絹と二人の好きだったものに向き合わなくなるように。
あれだけ意気投合して付き合った二人。
価値観の違いから離れていく心。
二人は別れを決意します。
共通の知り合いの結婚式の日。
別れるなら笑顔で別れたい。
そんな理由から最高に楽しんだこの結婚式の日に別れる事にしました。
ですが二人は過去の思い出から中々別れ話を切り出せずにいました。
結婚式からの帰り道、二人が付き合った場所であるファミレスを訪れます。
麦は重い口を開き、別れを切り出そうとしますが、
直前になってやっぱり別れたくないと言い出します。
ずっと付き合った時と同じ熱量で、好きでい続けるなんて無理じゃんと。
みんなそんなことわかりきってて、それでも付き合い続けて結婚して幸せになると涙ながらに訴えます。
絹はまたそうやってハードルを下げて付き合い続けるの?
と返します。
そこに若い男女の二人組が現れ、麦たちの近くのテーブルに座ります。
明らかにお互い好意のある初々しい二人は、共通の趣味について話し合い盛り上がり始めます。
そう、それはいつかの麦と絹の様でした。
その瞬間麦も過去の”恋愛”をしていた時のことを思い出し、
変わってしまっていた自分に気が付きました。
絹は耐えられず店内を飛びだし号泣し、
追いかけてきた麦はそんな絹を抱きしめました。
二人はその後別れ、別々の恋人を作ります。
月日がたったある日のこと。
偶然、お互い違う相手を隣に連れ、カフェで再会します。
言葉を交わすことはなく店内から出た後、二人は反対方向に進み、
お互い後ろを見ず、こっそりと互いに向かってバイバイと手を振り幕が下りました。
感想
はっきりと一言いえるのは爆エモいということ。
正直そりゃ映画なんだから、物語なんだから、
出来過ぎ!ってなるシーンもありますよ。
ですがこの作品に関しては決して突っ込みどころ満載!というわけではなく、
寧ろ超優秀な制作陣ですから、そういう違和感のようなものは少ないです。
それでも多少の粗はあるかもしれませんが、そんなの差っ引いてもエモい!!
シンプルに刺さる!!
というところです。
まず超個人的な理由を言うと、自分自身が京王線ユーザーで、調布市に住んでいるサブカル男子ということ。
物語の主人公と同世代ということ。
過去似たような恋愛を同じ場所でしていたこと。
これらが合わさり僕は突き刺さりまくって死にました。
かみ砕いて説明するとそれだけ、描写が細かいということです。
本作は2015年から2020年までの5年間を描いているのですが、
物語に出ている作品名などの固有名詞がきちんと時系列通りに描かれています。
それ以外にもニッチなサブカルネタや、その時々の時代感を非常に細かくこだわって描写していて、とにかく没入感がすごいです。
あとはこの映画、怪獣や宇宙人が出てくるわけでも、突拍子もない設定もありません。
ごくごく普通の男女の、ごくごく普通の恋愛の始まりと終わりを描いています。
僕のような京王線ユーザーのサブカル男子でなくても、楽しめるはずです。
むしろこのような普遍的で、ある種ありふれた恋愛の話であるからこそ、
ここまで共感できて映画の中に引き込まれていくんだろうなって思います。
誰しも経験あるんじゃないでしょうか。
恋人を付き合いたての時の熱量で好きでい続けられない経験や、
好きだったことに折り合いをつけて現実を受け入れた過去。
好きだったものを素直に好きでい続けることの難しさ。
誰しもがぶつかるこの問題を超綿密に表現しているのが、
多くの人に突き刺さり、話題になっている理由の一つであると思います。
特に強調されて表現されていたのはイヤホンのシーンです。
物語冒頭、二人が交際を始める前のファミレスのシーンで、麦と絹が1つのイヤホンを二人で分けて聴いていると、音楽好きの痛いおっちゃんが水を差してくるんですよ。
イヤホンのLとRはそれぞれ流れている音が違う。
それじゃお互い違う曲聞いているようなもんだって。
ここのシーンは1つの出来事でも、二人でまったく違う受け取り方をしている劇中の麦と絹の心情を巧妙に暗喩しているんですよね・・・
物語終盤、二人の気持ちが離れつつある中、麦と絹の共通の先輩の一人が亡くなってしまうんです。
麦がよくしてもらっていた先輩で、麦はひどく落ち込むんですが、
麦ほどショックを受けていない自分に虚しさを覚える絹。
そんな二人はまさにイヤホンをLとRで分けて聴いているくらい、別々の捉えかたをしていたのです。
これ以外にもエモさを演出する、坂元さんらしい伏線・仕掛けがたくさんあり、感情を揺さぶれられずにはいられません。
またタイトルの「花束みたいな恋をした」ですが、
この意味についても僕なりの解釈をご紹介します。
花は二人の楽しかった日々の思い出・記憶を表しているんじゃないでしょうか。
贈り物のように素敵な出会い方をして、花のような思い出を集めた二人。
ですが花はいずれ枯れてしまいます。
花束のように贈られて、花のように枯れて終わりを迎えていく。
まさに「花束みたいな恋をした」といえるのではないでしょうか。
この映画を見終わったあと、まるで恋人を失ったかのような消失感にも近い余韻に浸ることになりました。
生涯大切にしたい素敵な映画です。
是非劇場へ。
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