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脳波、脳治療法AM-tACSについて

これから非侵襲での脳治療が可能なAM-tACSのシミュレーションについて軽く解説します。
読んだ人が、なんとなくAM-tACSをわかってもらえればと考えています。
それ以外にも狙いがあります。
一つはnoteで書くことで自身の知識を深めること。
二つ目はGoogleで検索しても、日本語の文献があまり見つからないので、これから学ぼうという人に参考になればと思った次第です。
この技術の理解にはまず、脳波の基本を知ってもらうことがいいのかなと思います。


そもそも脳波とは?

脳波とは、脳内に存在する細胞同士が情報伝達を行う過程で生じるものです。
観測するには、頭皮に電極を着用します。これにより大脳の活動状態を調べることができます。
通常、脳の状態はいくつかに分類され、デルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波、ガンマ波に分類され、認知や覚醒を反映しています。
この中でアルファ波は閉眼安静時にリラックスした状態の時に、後頭部を中心とした現れる脳波です。

脳波の分類

上記の画像の周波数帯に分類されない、脳が正常ではない時に観測できる脳波の特徴もあります。それが下の画像になります。

これは全般性てんかん性放電患者の脳波です。このような状態を治療するにはいくつかの手段があります。その一つに脳刺激法があります。

電極装着図

上記画像のように電極を装着し、微弱な電流を流します。実際に脳卒中患者の歩行機能改善が報告されています。
脳刺激法の一つである経頭蓋交流電気刺激(tACS)もこうした治療に使われますが、従来のtACSには制限があるため、新たなアプローチとして振幅変調(AM)を取り入れたAM-tACSが注目されています。
AM-tACSでは、脳活動を記録するときに現れる刺激ノイズの影響を克服できたり、関心の脳信号と刺激アーチファクトの間のスペクトル重なりの問題を避けることができます。

AM-tACS

まず、外部刺激を受ける脳波の再現します。Izikevichモデルで大脳皮質の活動を再現します。Izhikevich モデル は、生体内でのニューロンの発火特性を再現するモデルで、様々なニューロンの活動を模倣することができます。今回は具体的な数値は控えています。(下記式)


Izikevich model例


式を図で表したもの

v=膜電位[mv],t=時間[ms],u=[回復変数],I=交流刺激電流,C=膜容量となります。

AM-tACS

AM-tACSは、以下の式に従って2つの正弦波を掛け算することによって構成されています。


astimは刺激強度、fmは変調周波数、fcは高周波周波数


変形した式
AM-tACS波形

AM-tACSはfcとfc±fmの周波数をもつ3つの正弦波で構成されることを変形式は意味しています。

まとめ

ここまでで、治療したい脳波(大脳皮質モデル)と、外部刺激であるAM-tACSを用意できました。この2つのモデルを用いて、大脳皮質モデルが外部刺激に変調された結果を表示することができます。

参考文献


経頭蓋脳刺激法による ヒト脳研究─現状と展望 浜松医科大学医学部医学科 教授 田中悟志 公益社団法人 日本心理学会 upload.2021/04




https://www.researchgate.net/publication/372841736_How_Can_I_Analyze_Connectivity_in_iEEG_Data



https://www.researchgate.net/publication/254956701_Music_Neurotechnology_for_Sound_Synthesis_Sound_Synthesis_with_Spiking_Neuronal_Networks_Leonardo_425


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