消防士までの軌跡 Vol.7【面接】
いよいよ面接の当日。
指定された時間に会場へ行くと、何人かは一次試験のときに見覚えのある顔の人もいた。
その中には、体力測定のときに目立っていた人もチラホラ。
その逆に、圧倒的な筋力・走力で受験者を驚かせていながらも、この面接会場には姿がない人もいた。
となると、その人は筆記試験の結果が及ばなかったのか…などと勝手に想像をしていた。
そうこうしているうちに、面接の順番がやってきた。
緊張はしていないと言えば噓になる。
面接に備えて意識していたことは、
①堂々と自信を持って臨む(自信がないときは強気で開き直る)
②爽やかさを心掛ける
この2点だけ
【聞かれた内容】
・自己PR
・志望動機
・消防はどんな仕事をしているか知っているか?
・親友と呼べる友達は何人いるか?
・最近読んだ本は?
・その他
自己PRと志望動機は予想どおり聞かれた。これは対策を練って準備していたのでスムーズに伝えることができたと思う。
問題はそれ以外の質問だ。
Q:消防はどんな仕事をしているか知っているか?
もちろん、消防士を熱望している人であれば簡単な質問だったかもしれない。
私は「消防と言えば、消火活動…」で止まってしまった。
面接官から「他には?」と聞かれたが、少し固まってしまった。
冷静に「救急活動とか…」と答えれば良かったのだが、「消火活動の他にも、未然に防ぐための広報活動とかしていきたいです」と完全にテンパってしまった回答をしてしまった。
私の中では『消防=消火活動』くらいの知識しか持たずに面接を受けに来ていたのです。
当時は、救急車が消防の仕事だと意識したこともなく、ましてやレスキュー隊が消防の組織なんて考えたこともなかった。
だから回答に困り、面接官から何がしたいか聞かれてもいないのに「未然に防ぐ広報活動とかしていきたいです」と見当違いな回答は自分でも恥ずかしかった。
『はい、もう次の質問に行ってくれ~』と心の中で焦っていたことは言うまでもない。
Q:親友と呼べる友人は何人いるか?
こんな質問、完全に想定外だった。2年前の一般企業での面接では、なかった質問だった。
そのため考えてはいなかったが、とっさに「3人います!」と答え、「小学校のときからの親友が1人、中学校からの親友が1人、あとは大学でできた親友が1人います。親友とまで呼べなくても、友達は多い方だと思います」と自信満々にスラスラと答えた。
面接官は「よく覚えているね~…」と。
まあ、本当に親友かどうかは相手にも確かめてみないと分からないけどね。
でも、3人とも名前と顔が思い浮かんだから、私の中では嘘ではない。
面接官には、この回答をどのように受け取られたかは分からない。
人によっては、スラスラと答える姿に『よくもこんなに適当なこと言うわ』と違和感を持たれる可能性もある。
これだけは、何とも言えない。
面接官との相性もある。いわゆる『運』だ。これは自分ではコントロールできない部分である。
面接官に好かれよう、気に入られたいと思って発言する必要はない。
自分自身をさらけ出して、その姿を気に入ってもらえなければ仕方ないのだ。恋愛と同じ考えで良いと思う。
着飾った姿を気に入ってもらっても、後々、苦しくなってしまうのだ。
Q:最近読んだ本は?
まさか「はい、あまり本は読みません」とは答えられないので「一般企業に勤めていたので、仕事関係の本や自己啓発本を読みました」と回答。
すると、「その本の名前を教えてください」と間髪入れずに質問される。
おっと、疑われたか?
「本の名前まではハッキリと覚えていませんが、中谷彰宏さんの本は好きでいろいろ読んでまいます」と答えると…
「あ~中谷彰宏さんね。あの人の本は私も好きでよく読んでるよ」と面接官が笑顔で返してくれた。
これはラッキーだった。
そこから深く突っ込まれると厳しかったかもしれないけど、そこで本の話は終了。時間があまりなかったのかもしれない。
その他は、意思確認をされたくらい。
たとえば、「他の消防は受けていますか?」「もし、内定を出したら必ず来てくれますか?」など。
手ごたえはよく分からなかった。
途中で、消防の知識を聞かれたり本の話になった時は少し焦ったりもしたので。
ただ、自己PR で『中学と高校のどちらでも勉強と野球の両立をしながら皆勤賞をいただいた』というところは面接官にすごくアピールできたと思う。
そして、社会人らしく堂々としてハキハキと対応できた。
無事に面接を終えることができたが、正直なところ自信はなかった。
それは、消防の仕事について上手く答えられなかったからだ。この点だけは後悔している。
『果報は寝て待て』と言うけれど…
私が消防士になった理由 Vol.8に続く
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