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新しい監督で最後の大会を迎える

ヤンキー先輩たちが野球部を引退し、自分たちが三年生になった。

これからは、怖い先輩たちの顔色をうかがうことなく、伸び伸びとプレーできる。

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そして、春からは新しい監督が就任した。

新監督の野球歴は『かじった程度』とのことであった。どの部分をかじったのかは不明だが…

監督曰く「野球には詳しくない。ほとんど素人だ」とのこと。

自分たちにとっては、怖い先輩がいなくなったことに加え、野球に詳しくない監督が就任したことでチームの雰囲気は一変した。

新監督は、選手とのコミュニケーションが上手だった。

自分が野球に詳しくないから「好きに野球をやったらいい」とアドバイス。

すると、どうだろう…

急に攻撃力がアップしたのである。

個々の眠っていた能力を『遺憾なく発揮』できるように変貌を遂げたのである。

新監督就任直後の練習試合では、完封負けを喫した相手に一ヶ月後の再戦では大量得点で勝利。

相手チームの監督に「この前と同じメンバーか?こんなに打つチームとちゃうかったやろ」と言わしめた。

昨年まで、ほぼ幽霊部員だった私も三年生になってからは、塾を優先させながらも練習に行く回数が増え、試合に出してもらえる機会も増えっていった。

代打が中心だったが、かなりの高打率を残していた記憶がある。

ここで、私の野球能力を少しだけ紹介しておきたい。

・ミート中心の打法
・ポジションはセカンド
・足は速い
・声が大きく元気者

こんな感じである。
だいたいの雰囲気をイメージしていただければ結構だ。

でも、『野球』と『勉強』の両立を目指していたため、練習に行けない日も多かった。

その代わり、学業の成績は学年でもトップクラスだった。

もちろん、野球部内ではトップの成績。(練習行ってないから当たり前?)

監督も塾通いをしていることへ理解を示してくれていた。

当然、練習には行ったり行かなかったりしていたのでレギュラーにはなれなかった。

技術的なことではなく、練習に毎日来ている部員からレギュラーメンバーを選ぶことは誰が考えても異論はなかっただろう。

そして、迎えた最後の大会前のメンバー発表のとき…

私はレギュラー背番号をもらうことができなかった。
二ケタの背番号だった。

これはこれで良かったと思っていた。

二年生までほぼ幽霊部員。

三年生になってから練習に出る回数は増えたものの、やはり塾を優先していた私がレギュラー背番号をもらうことはやるせない気持ちになっていたからだ。

ただ、内心は自分の方が上手いと思えるところもあった。


最後の大会は、春の大会(市)でベスト4になった強豪が相手だった。

毎年、初戦敗退が続いていた我が校は今年も初戦敗退か…

試合当日。

私はベンチスタートだった。

立ち上がり、レギュラーのセカンドがエラーをして失点。

その後の打席でも三振。あきらかに表情が曇っていた。

1点をリードされた中盤。ランナー2塁、同点のチャンスを迎えた。

ここで、監督は代打に私を指名してくれたのだ。

そりゃ、緊張した。

自信のあるバッティングで起用されたが、最後の大会の一打同点のチャンスという場面だったので気分が舞い上がってしまった。

練習時の打撃の調子は悪くなかった。

緊張よりか、打席に立てることの嬉しさが上回ったのか

無心で振りぬいた打球の行方は…

次回に続く…


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