チャンスに代打で出場 同点なるか⁉
中学生最後の大会、1点ビハインドの攻撃。
ランナー2塁の一打同点のチャンスで代打として起用された。
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なぜか緊張よりも、気分がノリノリだったのを覚えている。
もう、35年ほど前の話だ。
それだけ、人生でインパクトのある出来事であったに違いない。
気分がノリノリだった理由は分からない。
今考えてみると、野球経験の浅さ故の『怖いもの知らず』状態だったのかもしれない。
相手投手は春の大会でベスト4の好投手だ。当然、私とは初対戦になる。
でも『そんなの関係ねえ~』と言わんばかりの根拠のない自信でバッターボックスに立った。
このときだけは、緊張よりも『打ちたい』欲望が勝っていたのだろうか。
初球は見逃してボール。
うん?思ってたより速くないな…
そして、2球目。
無心で振りぬいた打球は、ショートの頭上をライナーで越えていった。
センターが左中間寄りでボールを抑えたが、2塁ランナーは同点のホームイン!
私はセカンドベースに向かってヘッドスライディング。セーフ!
なんと、チームが打ちあぐねていた好投手から、代打同点タイムリーヒットになったのだ。
このあと、私はセカンドの守備位置につき、レギュラー選手に代わってそのまま試合に継続して出場させてもらえるようになった。
試合は同点のまま延長戦に突入。
エースで4番のチームの大黒柱が延長戦で放ったタイムリーが決勝点となり、我が校はなんと強豪相手に初戦突破を果たした。
結局、私の成績は3打数2安打1打点。
代打からの出場でこの成績はでき過ぎだった。
迎えた2回戦。
初戦の活躍が評価されたのか、スタメンでの出場となった。
相手チームの投手は、中学生にして身長180センチ越えの市内屈指の好投手だ。
「こんなデカイ投手から打ったことないわ」みんなが口をそろえて言った。
2戦続けて好投手との対戦は楽しみでもあった。
しかし残念ながら、この試合では私は活躍できなかった。
…と思う。
なぜなら、打席での結果が何ひとつ思い出せないのだ。
おそらく、全く歯が立たずの結果であれば、それはそれで覚えていたかもしれないが、そのような記憶もない。
だから、凡打を重ねただけであろう。
人の記憶とは、こんなものである。
インパクトのある出来事は、初戦のように何年たっても覚えている。
しかしながら、そうでないことは簡単に忘れてしまう傾向にある。
ただ、この試合でひとつだけ鮮明に覚えているシーンがある。
それは、同点で迎えた最終回の攻撃。
この回、点が取れなければ初戦に続いて延長戦になるような状況でツーアウト満塁まで攻め込んだ。
サヨナラ勝ちのチャンスだ!
我がチームの打者(誰か忘れた)が打った打球は、セカンド後方への平凡なフライ。
あ~あ、延長か…と思った瞬間。
相手セカンドが、まさかの落球…
まさかまさかのサヨナラ勝ち!
初戦は延長戦で勝利。2回戦はサヨナラ勝利。
毎年、初戦敗退のチームがベスト8に進出することになった。
世間的には、まぐれと思われるような勝ち方かもしれないが、本人たちはそうは思っていなかった。
確かな手ごたえがあったのだ。
ここで我がチームの紹介をしておくと、
エースで4番のチームの大黒柱は、私が小学生のときに入りたくて仕方なかった隣の隣の校区の少年野球(リトルリーグ)で投手経験があった。
ピッチングはもちろん、バッティングでも今大会では大当たり。
ベスト8入りの立役者であることは間違いない。
他にも、いい選手が揃っていた。
ただ、昨年まではヤンキー先輩の影響などがあり、練習も練習試合もまともにできないようなチームであった。
3年生の春になってから、ようやくチームが伸び伸び野球に取り組むことができるようになったことが大きかった。
さらに、4月から就任した新監督の存在も大きかった。
ほぼ素人の監督ということで、逆に選手が委縮することがなくなった。
選手とのコミュニケーションもよく取ってくれていたと思う。
厳しい監督のもとで強くなるチームもあれば、優しい監督のもとで強くなるチームもある。
我がチームは間違いなく後者だった。
番狂わせのベスト8進出。
次なる対戦相手は…
次回に続く