『疑惑の判定』と『甲子園』に思いを寄せて
今年も夏の甲子園大会が始まった。
岐阜城北VS智辯学園の最終回。
審判の判定が誤審ではないかと大きな話題になっている。
アウトかセーフについては、審判が判断するもの。
そこに、プロ野球のようなリクエスト制度(ビデオ検証)はない。
現代は、私が高校野球をしていた30年ほど前とは違い、いろいろな角度からの写真や映像が残る時代となった。
昔は、アウトかセーフか微妙な判定でも審判が「アウト!」って言ったらアウト。「セーフ!」って言ったらセーフで物事がすべて丸く収まるようになっていた。
いわゆる『審判は絶対だ!』の世界だ。
これは野球だけに限らないが…
プロ野球では数年前から、ビデオ判定が導入されている。
そして、幾度となく判定は覆ってきている。
この制度を導入したことで、たくさんのメリットが生まれているのは言うまでもない。
プレーしている球児たちは高校野球に青春のすべてを捧げて全力で取り組んでいる。特に最後の夏は。これは地方予選でも同じこと。
今回のプレーは、もしアウトの判定であれば、ゲームセット。
岐阜城北が勝利していた。
その後、智辯学園が同点に追いつき、延長タイブレークで智辯学園が勝利した。
もちろん、疑惑の判定があっても岐阜城北が勝利していれば、ここまで話題にはならなかったかもしれない。
しかし、今回は審判の判定で最終的に勝者と敗者が入れ替わってしまったのだ。
そして、映像と写真が残っているので、試合を見ていなかった人でも後からその場面だけを見ることができる。
映像(動画)では分かりにくくても、写真(静止画)ではよく分かる。
ボールがファーストミットに収まっている時点でランナーの手はベースに届いていないように見える。
これだけハッキリと写真が残っていると、審判も立場がなくなってしまう。
何度も言うが、このシーンが試合を決める判定だったこと。
そして、最終的に勝敗が逆転してしまったこと。
だから騒ぎが大きくなってしまった。
ただ、高校野球の審判はアマチュアである。
プロ野球の審判とはレベルが違い、ジャッジミスも多くあるかもしれない。
各地方予選大会でも、アウト・セーフの判定に物議を醸したシーンは幾度となくある。
ただ、それも含めて、これが現在の高校野球なのだ。
今回、敗れた岐阜城北に対して擁護する声が多く出ている。
選手たちは敗れたことに納得できないかもしれない。
でも、勝った智辯学園は強かったのだ。
あの判定の後、次の打者が同点タイムリーを放っていなければ智辯学園は負けていた。
あの場面で打ったことをもっと称えるべきである。
次の試合以降、智辯学園が負けてしまっても、その逆で勝ち上がって行っても、どちらの結果になったとしても『あのときの判定がなかったら…』という人は一定数いるだろう。
話は変わるが、
過去に遡れば、2007年、第89回大会の決勝戦(佐賀北VS広陵)で疑惑の判定(ストライク・ボール)が物議を醸した。いまだに語り継がれているが。
このとき、守っている広陵は、きわどい判定(ボールとジャッジ)で押し出しの四球となり1点を失った。
広陵は、まだ3点リードしていたが、その後の佐賀北の打者が逆転満塁ホームランを放ち、そのまま逃げ切って優勝した。
試合後には、『もし、あの判定がなければ逆転満塁ホームランが生まれなかった』という声が多く聞かれた。
でも、確かに疑惑の判定よりも、あの場面でホームランを打った打者をもっともっと賞賛すべきであったと思った。
2:19~見てほしい
審判の判定に関しては、プロ野球同様にリクエスト制度を設けることも良いかもしれない。
それが、審判を誹謗中傷から守ることができるかもしれない。
そして、勝者・敗者もモヤモヤした気持ちから解き放たれることであろう。
高校野球は低反発バットの導入や暑さ対策、野球人口の減少などから転換期を向かえている。
ただ、全国大会を甲子園以外のドーム球場で開催することや甲子園をドーム化することには、元高校球児の立場としてなかなか賛同するわけにはいかない。
それは、『甲子園は聖地』だから
今年の選手宣誓で感動しました。
1:49~「僕たちには夢があります。この先の100年も、ここ甲子園が聖地であり続けること、そして僕たち球児たちの憧れの地であり続けること」