消防士って〇〇ではない? 『あなたの知らない消防の世界』
全く興味のなかった『消防』の世界に飛び込み、20年間勤務した経験をもとに一般向けに分かりやすく説明する『あなたの知らない消防の世界』シリーズ第1弾。
世の中にはいろいろな『学校』というものが存在する。
その中でも、『消防学校』っていうものを知っている人はどれくらいいるのだろうか?
おそらく、世間一般的には『警察学校』の方が認知度は高いだろう。
消防にも警察と同じように、消防学校というものが存在する。
そこで、消防学校についてどれだけ知っているか〇・✕で回答してほしい。
【問】
①消防士を目指す人の学校である( )
②消防学校で学んでいる人(教育生)は給料をもらっている( )
③授業内容は、消防に関することだけである( )
④入試がある( )
⑤全寮制である( )
【答・解説】
①:✕
【消防士を目指す人のための学校ではなく、すでに消防士である人が教育を受けるための学校。基本的に消防士(消防団員)が入校するところで、高校や大学、専門学校などとは異なる】
②:〇
【①の回答のとおり、消防士という公務員であるので給料をもらいながら学校で学んでいる】
③:〇
【消防士のための学校であるため、授業は内容は消防業務に必要なことのみ】
④:✕
【消防学校自体の入試はないが、各自治体での消防職員採用試験に合格し、消防士として採用されることが前提条件である】
⑤:〇
【基本的に全寮制の集団生活であるが、土・日は休みの公務員なので自宅へ帰ることができる場合もある】
私は今から約28年前、24歳になる年齢で◎◎市消防職員として採用された。(会社員からの転職)
そして、翌年度の4月から消防学校の初任科教育生として入校することになった。
消防学校は、各都道府県に1校ある。
※政令指定都市では、都道府県の消防学校とは別に設置しているところもある。
私は、県消防学校に消防士としての入門編にあたる『初任科教育生』として入校した。期間は6ヶ月間。
入校した時点では、まだ消防士として知識や技術など身に付けていなくても、消防士という肩書が与えられる。
もちろん、現場に出動したこともなければ、消防署での勤務すらしたことがなくても『消防士』という身分なのだ(笑)なにか違和感を感じる。
簡単に説明すると、前年に受けた消防職員採用試験に合格し、本採用となった段階で消防士になれるわけだ。
つまり、消防士になってから、消防学校で学ぶという流れである。
看護師のように、看護師養成校に入学し、卒業後に国家資格に合格して資格を取得するようなシステムではない。
というよりか、『消防士とは資格でも何でもない』のである。
消防職員の中の階級の呼び名(肩書)のことであり、一番下に位置する。
つまり、ペーペーのこと。(笑)
ただ、消防職員と呼ぶよりも、消防士と呼んだ方が世間的には理解されやすいところがある。
そのため、仕事は『消防士』と呼ぶのが一般的になっているのが現状だ。
【豆知識】
・消防士になるには、自治体の消防職員採用試験に合格すればよい。
・消防士は何の資格でもなく、呼び名(階級・肩書)のこと。
・消防士として採用されてから消防学校に入校し、消防のイロハを学ぶ。
これからも消防のことをいろいろ分かりやすく書いていくのでお楽しみに…