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焼けて潰れたミーのカー/私と車

古い車に乗ってます。ミラ・ジーノが、「私(昔の)ミニクーパーみたいでしょ~」みたいな顔してたときの時代の、20年落ちの車です。夏の終わり、エアコンが壊れたような気がしたけれど、まあもう涼しくなるやろ……と思いながら様子を見ていたら、しばらく汗だくで運転することになりました。エアコンガスを次の車検で交換してもらいます。


でもそれ以外にはほとんど、不具合はありません。ハンドルはちょっと重いのかな。でもその重いハンドルをぐるぐる切るのは結構好きです。前輪がキーキー言ったり、ブレーキランプの電球が切れたり、そういうことはありますが、こどもの国付近にあるめちゃ素晴らしい車屋さんにその都度もっていって簡単な修理をしてもらえばちゃんと走ります。

夫は、次買う車はもうちょっとちゃんとしたのにしなね……と言いますが、私は家以外はすべてニコニコ現金一括払いと決めているので、ほしい車を買うまではあと何年かかかりそうです。光岡のビュート第三世代に乗りたい。グレーの。浪費家の私がビュートを買う資金を貯めるまで、ジーノさんとは長い付き合いになると思ってます。


ジーノさんは私にとって二代目の車。一番最初に乗ったのは、ダイハツのコペンという車でした。今のモデルの、かっこいい変形ロボみたいな顔したやつじゃなくて、ちょっと間の抜けた感じで、愛嬌のある、コガネムシみたいな古いモデルのほうです。これはその当時付き合っていた人が、私のハードな勤務形態を見かねて、車通勤すれば、少しでも余裕が出るんじゃないか、と言って買ってくれました。でも別れることになって、そのときお金を払って引き取った車です。私も正直、車は要らなかったのだけれど、たくさん迷惑をかけてしまったので、引き取りました。


その時は今よりもっともっとずっと仕事の要領が悪く、休みの日も部活があったりして、車を処分する、ということになかなか着手できなかった。というのと、やっぱりデザインがものすごく素敵で。エメラルドグリーンのボディに、キャメルのレザーシート。ルーフも開閉できて、オープンカーにもなる。よくないなあ、処分しないとなあ、と思いつつ、別れたあともしばらく惰性で乗っていました。


だけど結局、その車で事故を起こして、車は大破しました。一時停止の表示がない、とはいえ見通しの悪い農道の交差点に、アホなことにゆるゆる侵入して、左方からも車がやってきていたのが見えておらず、接触してしまいました。幸い、お互いけがはありませんでしたが、本当に、相手の方には申し訳なかったです。


先に相手の方の車はレッカー移動したので、私は自分の車を運んでくれるレッカー車が来るのを、一人で待っていました。春の初めで、まだちょっと寒くて、よく晴れていました。ミラーやランプが粉々に砕けて、散乱していました。そのかけらを、意味もなく拾ったけど、やっぱりまた地面にばら撒いた。ゆがんで跳ね上がったボンネットからはしばらく煙も上がっていたけれど、それも止まって、それでコペンが死んだようだった。


相手に何の未練もあったわけではなかったけれど。うしろめたさもひっくるめてすべて、本当にさようなら。手首痛え。じんじんしびれる。と思いながら、ちょっとだけ泣いたけど、涙はすぐ乾いた。

夫が出張に行っている。京ばあむと、壬生菜のおつけもんと、お茶買ってきてください、って言ったら、(僕仕事なのに)めっちゃ頼むじゃん……と嫌な顔をしていた。

一人でそわそわしている。久しぶりにゆらゆら帝国聴いたら昔のこと思い出した。硬い文章、技巧的な文章は頭に入らず、指輪物語を読んでいる。


▼やっぱり瀬田貞二さんの訳ってすてきだと思う。


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