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(番外編)合成品デアザフラビンの真実【米国では売れない!?】

結論)デアザフラビンTND1128は、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)で正式に安全な食品として認められたものではありません。

ネットをサーチしていたら興味深いアメリカのサイトを見つけました。
米国のNutri Avenueという健康食品原料の商社のようです。
ここでデアザフラビンの紹介が2ページに渡ってされています。

かなり衝撃的なことがいろいろ書いてありました。

まず、この会社が原料供給(販売)できるデアザフラビンは2種類あります。

5-Deazaflavin と 3-Methyl-10-Ethyl-Deazaflavin(TND1128)です。

CAS Numberも分子量も異なるので、これは構造式の異なる別物ですが、いずれもこの2つの素材は「デアザフラビンのサプリメントとして用いることができる」とあります。

ご丁寧に販売時の包装単位も1kg、5kg、25kgとあります。

日本国内ではTND1128が本物だ、他は偽物だとか物議があるようですが、米国ではどっちでも良いようです。

ちなみにTND1128はREXYSの調査でも出てきた名称で、論文でも登録商標の記載がなくTND1128と表記して実験サンプルにしていますので、おそらく一種のデアザフラビンの通称になっていると思います。

もし、どこかの会社がTND1128を商標登録をしたら名乗りを上げるでしょうから、その時はこのnoteの記事もいくつか校正が必要になるかも知れません。

デアザフラビンの説明については、日本国内で出回っている情報よりも過激です。かいつまんで訳すと

Deazaflavin, developed by the Japan Medical Association and the Nobel Prize-winning team, has been reported in human clinical trials
(デアザフラビンは、日本の医療チームとノーベル賞受賞チームが開発し、ヒト臨床試験の結果から以下のことが報告されています。)

・DNA repair(DNAの修復)
・anti-aging, freezing age(抗老化)
・Anti-Aging Cancer Prevention(がん予防)
・Disease Prevention Prevention Alzheimer’s, Parkinson’s(アルツハイマー、パーキンソン病予防)
・Improve cognition, lower blood fat, stabilize blood pressure(認知機能改善、血中脂質低下、血圧の正常化)
・Improve cardiovascular function and wake up cell vitality(血管機能の改善、細胞機能覚醒)
・Improve immunity and regulate cell vitality(免疫改善、細胞機能調節)
・Improve allergic constitution, regulate the female mechanism(アレルギー改善、女性疾患調節)

とあります。

「ノーベル賞受賞チームが、こんなにヒト臨床研究をしていたのか?」とかなりビックリりました。

さらに、デアザフラビンは合成で得るか、細菌、キノコ、海藻、およびホウレン草、ビート(サトウダイコン)に含まれていて、そこから抽出するか、さらに大腸菌培養によって得ることも可能。

とありました。(ただし、一番効率が良いのが合成法か発酵法だそうです)

今までデアザフラビンは化学合成とばかり思っていましたが、ここでは大腸菌などを利用した発酵法も紹介されています。日本のデアザフラビンはいったいどこでどのように製造されているのでしょう?

そして、とにかくこのデアザフラビンの薬理効果はNMNを凌駕して、健康食品、医薬品、化粧品、農業資材、バイオテクノロジー分野など何にでも応用が可能だそうです。

ですが、、、、、、、
ここまで読む限り正直、かなり胡散臭い説明です。

なぜなら科学的根拠がどこにもないからです。英語とはいえ、科学的根拠(エビデンス)は世界共通なので。

そして、最後にとっても重要なことが書いてありました。

Currently, Deazaflavin is mainly used as a research tool and as a component of laboratory media for the growth and study of microorganisms. It is also used to produce flavoproteins and enzymes in various industries, including food, pharmaceuticals, and cosmetics.
(現在、デアザフラビンは主に研究用ツールとして、また微生物の増殖や研究のための実験用培地の成分として使用されている。また、食品、医薬品、化粧品を含む様々な産業においてフラボプロテイン(?)や酵素の生産にも使用されている。)

The FDA has not approved Deazaflavin as a drug or dietary supplement at this time. It is not included in the scope of GRAS either.

(FDAは現在、デアザフラビンを医薬品や栄養補助食品として承認していない。GRASの範囲にも含まれていない。)

とあります。FDA(アメリカ食品医薬品局)は日本でいう厚生労働省のような政府機関です。ここで安全な食品として認められるにはGenerally Recognized as Safe (GRAS)認証が必要になります。

私の知る限り、日本の健康食品原料会社は、さまざまな安全性・機能性データをFDAに提出して、GRAS認証を得てから正式に米国に輸出をしています。

ただあまり食経験のない食品原料だとGRAS認証を得るのはとてもハードルが高く、以前私の関わった素材は10年かけてようやくGRAS認証を得ることができた例もあります。

そのくらい、米国に新規の健康食品原料を輸出して普及するのは難しいです。

もし米国でGRAS認証を得たら食品としての安全性の強い信頼性になるので、日本国内でも大手をふって販売することができるようになります。
なので、日本の健康食品原料会社は米国FDAのGRAS認証を欲しがります。

一方で、GRAS認証を得ずに勝手に輸出して米国で販売できる法的な抜け道はいろいろあるようです。

ですが、デアザフラビンのような新規な合成品ともなるとやはりGRAS認証は必要でしょう。メーカーには頑張ってデータを出して欲しいところです。

もう少し読むと

However, 5-Deazaflavin can be queried in the FDA’s Global Substance
Registration System. 
(しかし、5-DeazaflavinはFDAのGlobal Substance Registration Systemで照会することができる。)

とあります。Global Substance Registration System.は、世界で規制されている(されていそうな)物質の情報を得るための登録システムのようです。
確かにこの登録システムにデアザフラビンは登録されていますが、単に「デアザフラビンの化学構造や性質はこうですよ」と掲載されているだけなので、これではFDAが安全な食品として認めている訳ではありません。

ですが、

Therefore, we can trust Deazaflavin’s safety.
(したがって、デアザフラビンの安全性を我々は保証できる。)

Of course, more research and experiments are needed to support Deazaflavin’s further application of value and safety.
(もちろん、デアザフラビンの価値と安全性のさらなる応用をサポートするためには、さらなる研究と実験が必要であるが。)

と結んでいます。Global Substance Registration System.にデアザフラビンを登録しただけなのに、どうして「安全性を保障できる」と言い切っているのか分かりません。

かなり読者を混乱させる乱暴な書き方ですね。

結局、このサイトを読む限りでは、

「米国のFDAは正式にデアザフラビンを安全な食品原料としては認めていないんだけど、NMNを凌駕するスゴイ素材だから欲しい人がいたら原料売りはできますよ。」

といった内容でした。

しかも、日本国内の情報と同じように、デアザフラビンの凄さについていっぱい書いてありますが、その科学的根拠がどこにあるのか良く分かりませんでした。

余計なお世話ですが、もしこの会社がTND1128もしくは、他の5-デアザフラビンを米国でバンバン売りまくったら(FDAの認可がないので難しいとは思いますが)、あっという間に日本国内でもAmazon等で米国製のデアザフラビンサプリメントが出てくるかも知れませんね。

じつは、別ページにデアザフラビンのサーチュイン活性のデータが紹介されてあります。こちらもツッコミどころが満載なのですが、また別の機会に解説させていただきます。

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↓↓↓↓ 
(1) 合成品デアザフラビンの真実

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