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(18)合成品デアザフラビンの真実【ヨーロッパで薬に!?】

結論)ヨーロッパで実施されているデアザフラビン(TND1128)の公開されるべき臨床研究の情報がみあたりません。

デアザフラビン(TND1128)の安全性の話の続きです。

またネットで興味深い情報を拾いましたので、少し寄り道になりますが、その情報について考察したいと思います。

去る10/12(土)にデアザフラビンのセミナーが行われ、デアザフラビンメーカーの社長から以下のような発言があったとのことです。

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(抜粋)5-デアザフラビンの研究・開発を行の○○代表取締役は「5-デアザフラビンはヨーロッパの製薬会社で臨床試験の真っ最中で、今後はアルツハイマー病の製剤が行われるだろう。マウスの実験では記憶力の向上や、神経細胞間の情報伝達を担うシナプスの活性などの結果が出ていて、幹細胞やIPS細胞の増殖にも効果が期待できる」といい

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デアザフラビンは、ヨーロッパで(アルツハイマーの)臨床試験が行われているとのことでした。

前回お話しましたが、安全性試験は非臨床試験と臨床試験に分かれます。
非臨床(細胞や動物)で安全性が確認されたら、いよいよヒトへの投与が始まります。

医薬品開発の場合、ヒト試験はPaseⅠ~Ⅲまで実施されます。
PhseⅣというのもありますが、これは医薬品が世に出てからの市販後調査を指します。

ヒト臨床研究の場合多くのルールがありますが、医薬品開発の場合のポイントは以下の3つです。

・ヒト臨床倫理委員会(IRB)へ試験計画の提出
・PMDA(厚生労働省)へ届け出
・GCP(Good Clinical Practice)に基づいた試験運営

まず医薬品でも健康食品でもヒトを介入する試験では、必ず「ヒト臨床倫理委員会(IRB)」に関係書類を提出して試験開始の承認を得なければなりません。
これはヘルシンキ宣言の精神に基づく、被験者(患者)の権利保護を最優先とする最も重要な倫理規範です。

このルールは国際的にほぼ統一されています。(国際ハーモナイゼーションと言います)

デアザフラビンがヨーロッパで臨床試験をしているということなので、「IRBの承認を得て、医薬品レベル(GCP)のルールにのっとって、すでにヒトへの投与が開始されている」と解釈できます。

IRBは前述の通り、被験者の権利保護を最優先するために、かなり多くの書類を用意する必要があります。
もちろん、デアザフラビン原料のGMPレベルでの製造証明、合成方法、品質保証、各種非臨床における安全性データ一式が提出されているはずです。

⇒ これは非常に重要な情報です。

このデアザフラビンの製造から非臨床に至るまでの安全性データは特に秘密にする必要がないですし、人種差はあれども日本で安全性を担保する非常に重要な資料になります。
この資料を日本国内で公開していただければ、私が懸念しているような「むやみにヒトに飲ませて大丈夫?」というところがかなり払拭されるからです。  

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さらに臨床試験の概要も国際的に公表するルールになっています。
これは医薬品の場合にも、健康食品の場合にも同じで、EUであれば「EU crinical Register」、日本であれば「UMIN]というサイトに登録されて誰でも実施された/実施中の臨床研究の概要が閲覧できるようになっています。

かなり小規模な研究でもヒト介入試験であれば、たいていこれらのサイトに登録されています。(といいますか登録するルールになっています)

理由は、臨床試験が終了して論文を書いた時に、その論文中に「その試験がある条件を満たした登録機関にあらかじめ登録されていること」を明記することが必要条件となっているからです。

早速、デアザフラビン、TND1128、deazaflavin と思いつく単語で検索をかけましたが、残念ながらヨーロッパにおいても、日本においても、デアザフラビンのヒト臨床試験の実施記録がまだ出てきませんでした。(私が見つけることが出来ていません)

臨床試験の情報公開に関する厚生労働省の見解もお示しします。

抜粋)治験・臨床研究については、原則として事前に情報を公開することで、その透明性を確保し、もって被験者保護と治験・臨床研究の質が担保されるようWHOが主導して世界的に取り組んでいるところです。

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以上のことから分かったこととして、

・ヨーロッパで臨床試験を開始した際のIRBへ提出した、デアザフラビンに関する安全性情報一式を日本国内で開示していただければ、私の品質、安全性への疑念もかなり払拭しますし、販売している企業、消費者への大きな朗報となります。

・しかしヨーロッパ、日本におけるデアザフラビンの臨床試験情報が出てきませんでした。これは、私の検索の方法が合っていない可能性もあります。

いずれにしても、これらの情報は非公開にする理由がないため、メーカーさんにはデアザフラビンの合成方法、安全性、ヨーロッパにおける臨床試験の概要情報を公開していただきたく強く思います。

【追記】

ヨーロッパの製薬メーカー「レシファーム」でデアザフラビン(TND1128)が研究されているとの情報がありました。
臨床研究に入る前までは内容を公開しない場合もありますし、メーカーによっては開発に着手した段階で積極的に情報公開するところもあります。

特にスタートアップ企業は、医薬品の開発プロセスに入るとすぐに情報を公開して資金を集めたりします。

COVID19のワクチン開発の着手を多くの製薬企業が公開したのは記憶に新しいかと思います。

そうして、いよいよ臨床研究に入ったら概要を一般公開するのが世界的なルールになっています。

この「レシファーム社の研究」とケミテラス社が語った「ヨーロッパの製薬会社で臨床試験の真っ最中」との説明がリンクするのであれば、公開されている臨床研究の情報がどこかにあるはずです。

通常、製薬会社はこのように開発中のシーズについて、WHOの取り組みの観点からも積極的に公開しています。

例)

最新の主要開発品 | 研究開発 | エーザイ株式会社

ですが、そもそも海外で医薬品としての研究がすすめられている化合物を日本で簡単にサプリメントとして使用できるものでしょうか?という疑問もあります。
医薬品開発の国際ハーモナイゼーションの観点から、欧州、日本で足並みを揃えた方が良いような気がします。

レシファームは医薬品開発の受託会社なので、メーカーのケミテラス社のホームページで臨床研究の情報を公開すべきかと思います。

※レシファーム(Recipharm AB publ)は医薬品メーカー。医薬品の受託開発・製造に特化 。錠剤、顆粒剤、粉末剤、滅菌液、凍結乾燥品、半固形、ホルモン薬、経口薬液、スプレー、粉末吸入器などの製品を製造。世界各地で事業を展開。

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(1) 合成品デアザフラビンの真実

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