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火の用心┃ 町家に住むということ

初回投稿に引き続きまさかの同日2本目。
2月1日の今日中に書いておかなければならない事があります。

実家一帯は雪国高田を象徴する雁木通り。町家なんて言い方をすると聞こえも良いですが間口の狭い奥に細長い長屋が連なる街並みです。

・2月1日の思い出

そんな私の実家は今からちょうど36年前の平成元年2月1日の夜中に貰い火で全焼しました。干支が3周しましたね。私が小学生の時です。

夜中の2時前だったかな。遊び疲れて爆睡中でした。兄弟3人いきなり母に叩き起こされて何事かと思いましたが、周りは消防のサイレンがウーウー鳴ってるし(消防団のポンプ小屋が近所)、母は血相を変えて「火事だよ」と。

私「どこが?」
母「3軒隣りだよ。火は家とは反対側の西側へ行ってる」
私「えっ(゚o゚;;」
母「みんなランドセルに教科書詰めて‼︎今のうちに逃げるよ‼︎」
私「どこに逃げるの?」
母「大町のおばちゃん家に行って」
私「分かった」

母は(自分も)とにかく落ち着いて行動するようにと着替えを用意してくれて、すぐに着替えました。真冬の夜中でしたので防寒着を着てランドセル背負って、家の貴重品を入れたバックを持たされた私は隣の町内に住む大叔母の家へ兄弟3人で雪降る夜道を進みました。
何軒か隣の家々は炎に包まれ道路まで離れているのに熱気で凄く熱く感じたのを今でも覚えています。大叔母の家へむかう途中火事現場へ向かう大人たちとすれ違い、その度に皆さん振り返って見てきました。まあ普通なら真夜中にランドセル背負った小学生3人が歩いてるわけがないですもんね。大叔母の家に着くと玄関の鍵が開いてて電気もついているので「おばちゃーん」と入って行ったのですが、私たちを心配した大叔母が迎えに出てしまい丁度入れ違いになってしまいました。とりあえずコタツに入って待っていたら外で遅くまで飲んでいた大叔父が帰ってきて「どうした!?」と。火事のことは知らなかったようです。程なくして大叔母も帰ってきて。そこからしばらく兄弟3人お世話になることになりました。


・町家に住むということ

家々が連なる町家で火災が発生すると一気に燃え広がります。隣り合った家同士の間に厚い外壁が入ってはいないので(どちらかの家にしか壁がない部分がある)、薄いトタンや木の壁材はすぐに燃え屋根裏を火が伝って行くのです。断熱材も土だったり竹だったりする古いお宅もあります。
ストーブなどを使う冬の寒い時期はとくに注意が必要です。タバコの火の不始末もそうです。
しかしもっと注意しなければならない出火原因が「電気関係」です。

上越地域消防局から今週1月27日に発表された「令和6年消防概況(速報値)」によると
・火災発生件数 50件(前年比△22件)
・火災による死者 2人(前年比△ 2人)
・主な出火原因
① たき火等 10件
② 電気関係 6件
③ こんろ・ストーブ・放火(疑いを含む) 各4件
だそうです。

近年、UターンやIターンで上越市に来られ高田の町家で商売を始められたり住まわれたりする方も見受けられます。中古物件を購入し町家をリノベーションする場合は天井裏や壁内の電気配線のやり直しがされると思いますが、そのまま住む場合には注意が必要です。必ず電気設備や配線の点検を受け電気設備技術基準に適合しなかったり異常が見られた場合には改修が必要です。古い電気設備や配線は経年劣化や動作不良や腐食などの可能性があり漏電火災や感電の危険性も考えられます。

これは今現在築年数の長い家に元々住まわれているご家庭にも当てはまることで、新しい古いに関わらず4年に1回は国から委託された〇〇電気保安協会等が電気設備の安全調査に来られていると思います。建築年数も長く心配であればご自身で電気の点検を依頼されるのも一つの手かなと思います。

そして厄介なのは空き家です。所有者はいてもその場所に住んでいないとか近所に住んでいるけど倉庫として使っていて住んでいない。「普段電気なんて使っていないからたぶん大丈夫」そんな事はありません。空き家でも電気契約が最低限のプランで継続契約されている事があります。たまに帰って来て片付ける。何か物を取りに入る。そんなとき電気がないと不便ですのでだいたいは契約されてますね。人が住んでいない、人の手が入っていない古い家は何か重大な事態になっていても気づきにくい傾向にあります。天井裏や壁内の配線、梁などの露出配線をネズミが齧るとか、雨漏りによる漏電火災など色々考えられます。

町家に住む人々それぞれが「自分の家を守る。火を出さない。そのことで街を守る。」その思いが軒を重ねる高田の町家の雁木のように連なっていけば永くこの雁木のある高田の風景を残していけるのではと考えます。

町家に住むということ…町家でなくとも「火を出さない」という心掛けが大事ですね。改めて火の用心を心掛けようと強く思った2月1日でした。



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