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「ラジオから見るジェンダー論」

Webライターという仕事柄、気がつけば日がな一日ラジオを聴いていることが多い。

ぼんやりとラジオを聴いていたらふと、少しばかり引っかかる話が耳に入ってきたので、備忘録がてら書き留めておくことにする。

関西のローカル深夜ラジオ。芸人や新旧アイドル、声優などが気ままにトークを展開するタイプの番組。

金曜日を除く月~土の帯番組で、特にタメになるような番組でもないのだが、逆に言えば毒にも薬にもならず、放送時間も90分とちょうどいいので、原稿書きのタイマー代わりにいつしか定番で聴くようになった。

ある日の放送で、某アイドルグループを卒業したばかりの元アイドルがフリートークを展開していた。

「10代の頃はちょっとしたお祭りの出店なんか行っても(かわいいから持っていきなよ)みたいな感じでちょっとサービスしてもらえていたのに、20代に入ってグループを卒業してからはそんなこともほとんどなくなって……別にいいんですけど、やっぱりちょっと寂しいなって」

ここまで聞いて、(おやっ?)と思った。

要するに「若いうちは何かとチヤホヤされたけど年齢を重ねたらサービスされなくなった」という話である。

もっと言えば、「かわいい子なら堂々と差別されても構わない」、「一定の年齢を過ぎたら逆差別の恩恵にはあずかれない」という話なのである。

大げさに言えば、「ジェンダー的にあり得ない!」ではないか!

この話には大きく、2つの問題がある。

  • 店舗側が逆差別の意図に気づいていない

  • 逆差別を受けた元アイドル本人がそれを当然のように受け入れ、半ば肯定している

どのような理由があるにせよ、店舗側が特定の属性の客を優遇したり、軽んじたりすることは許されない。

堅苦しいと思われるかもしれないが、「出店のちょっとしたサービス1つ」にまでその都度立ち止まり、内心の違和感を言語化できるところまで理屈っぽく考えることは思考のトレーニングであるし、とりもなおさず、「自分自身が差別(逆差別も含めて)とは無縁でいられるため」の唯一の防御策でもあるのだ。

そもそもが毒にも薬にもならぬラジオ番組だし、元アイドルにしても軽い冗談のつもりでエピソードを持ち出したに過ぎないのだろうが、私としてはどうも居心地が悪くなってしまうのである。

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