見出し画像

「麒麟がくる」のあとに見たくなる 長谷川博己と染谷将太がかっこいい映画7選+α

2月7日放送の回で、大河ドラマ「麒麟がくる」が終わった。そして昨日2月14日からは吉沢亮主演「青天を衝け」が始まったが、興奮冷めやらぬ中、23日には総集編が4時間半ぶっ続けで放送された。ぼくは年間通して大河ドラマを1話も欠かさず見たのは初めてなので、1人で勝手に盛り上がっているだけなのかもしれない。けれど毎年低い視聴率ばかり話題にあがる印象だった大河ドラマでしっかり数字も残しているので、目の肥えた人が見ても名作だったのかもしれない。

長谷川博己演じる主人公の明智光秀と、染谷将太演じる織田信長、2人が互いを認めていながらもすれ違ってしまった。最終回では、そんな悲しみを誘う本能寺の変が描かれた。

脚本や演出もさることながら、両者の演技力の高さが放送中にたびたび話題になった(もちろん他のキャストも言うまでもなくめちゃくちゃ豪華だったけれど)。個人的に、長谷川博己も染谷将太もずっと前から大好きな俳優なので、1年間にわたって毎週2人をテレビで見られたのはとても嬉しかった。

そこで、2人をあまり知らない人のためにも、長谷川博己と染谷将太の魅力が詰まった映画を紹介していきたい。なお、「○○な△△選」だなんてすごくnoteっぽい記事を書いているがただ自分が好きな映画を羅列しただけであるので、詳しい人からしたら少し物足りないかもしれない。


①「シン・ゴジラ」 色々なものを背負って奮闘する長谷川博己


言わずと知れた、第40回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。日本国内制作では実に12年ぶりとなるゴジラシリーズの新作で、庵野秀明総監督と樋口真嗣監督のもと、徹底的に「リアル」が追求された。ここでは長谷川博己は主人公の矢口蘭堂を演じる。矢口蘭堂は内閣での立ち位置は内閣官房副長官。主人公でありながら上の立場の人がたくさん出てくるという点で、「麒麟がくる」で初めて大河ドラマの主人公となった明智光秀と少し重なる。ひと癖もふた癖もある内閣や巨災対(巨大不明生物特設災害対策本部)のメンバー達とうまくやっていきながら、自らの根底にある正義感みたいなものも時々垣間見得る。真剣な表情の長谷川博己がとてもかっこいい。

②「地獄でなぜ悪い」狂気に染まった長谷川博己

ここでは長谷川博己は主演ではないけれど、映画史に残るような伝説の監督を夢見る青年を演じている。ひょんなことから、本物のやくざの抗争を舞台にした映画を撮ることになってしまう。めちゃくちゃポップに血が流れるので、冷静に見てはいけない。常識ではあまり考えられない状況の中、笑顔でカメラを回す長谷川博己の表情が印象的。「麒麟がくる」で、松永久秀が亡くなったあと平蜘蛛を受け取った時、狂ったように笑いだした光秀を見て、この映画を思い出した。星野源の歌う主題歌がとても耳に残る曲調で、映画のポップな雰囲気を加速させている。

③「ラブアンドピース」 変な長谷川博己

この映画での長谷川博己は、言ってしまえば変な人だ(映画の主人公なんかだいたい変な人だけど)。ミュージシャンを目指していたものの挫折し、小さな会社で働く主人公・鈴木良一はうだつの上がらない日々を過ごす中、デパートの屋上で1匹の亀と出会う。ピカドンと名付けてかわいがり、ここから生活が大きく変わっていく。
クライマックスの特撮シーンは、「ウルトラマンエックス」や「ウルトラマンオーブ」など近年のウルトラシリーズを語る上では欠かせない田口清隆監督が担当。めちゃくちゃリアルな東京都庁が破壊されるシーンは見もの。
また、主題歌の「スローバラード」(RCサクセション)が、なんだかとてもしみる

ロックスター・ワイルドリョウと平凡なサラリーマン・良一というふたつの人格のはざまで揺れ動く、変な長谷川博己がかっこいい。「麒麟がくる」で初めて鉄砲を手に入れた時の喜びと驚きが入り交じった叫びを見て、この映画の良一を思い出した。

④「二重生活」 門脇麦と長谷川博己が共演

「麒麟がくる」でヒロインをつとめた門脇麦が主演で、長谷川博己も登場する。哲学を専攻する大学院生の白石は、教授のすすめで「何の目的もない、知らない人の尾行」を実行する。近所の妻子持ちの男性・石坂(演:長谷川博己)を尾行することになるのだが、順風満帆そうに見える石坂の生活も実はそうでないことが、尾行を続けることで明らかになっていく。
長谷川博己主演ということで「麒麟がくる」を見始めたが、駒役で早々から門脇麦が出てきて、この映画を思い出して嬉しかった。

⑤「ヒミズ」 「普通サイコー!」な染谷将太

「普通」であることを夢見る男子中学生・住田と、彼の魅力に取りつかれたクラスメイト茶沢を、それぞれ染谷将太と二階堂ふみが演じている。ぼくが高校生の時に初めて見た時は「こんな中学生いないだろ」の感想ひとつで終わってしまったけれど、コロナ禍で時間ができたので見返した時には、自分が恵まれていただけだったんだと思い知った。
住田は「普通」でありたいと思い続けているが、父親を殺してしまったことでもう後戻りできないと確信する。そこからは振り切った生活をしようとするも、変わらずつきまとう茶沢とのやり取りが見どころ。
「麒麟がくる」で織田信長を演じた染谷将太がところどころで見せた、気持ちのこもった目で魅せる演技は、この頃から既にできていたんだなと感じる。

茶沢が自宅の壁に住田の名言を紙に書いて貼っているのだが、「自分という人間がつまらないだけなのに、世界がつまらないと言うな」など鋭い言葉が多い。また茶沢がヴィヨンの詩(下記)を朗読していたりと、なにかと言葉の力みたいなものを考えることもある映画。

牛乳の中にいる蠅 
その白と黒はよくわかる 
どんな人かは 
着ているものでわかる 
天気が良いか悪いかもわかる 
何だってわかる  
自分のこと以外なら


⑥「さよなら歌舞伎町」 倦怠期カップルの彼氏・染谷将太

ここで染谷将太は、一流ホテルマンを夢見ながらも、歌舞伎町のラブホテルで働く青年・徹を演じる。AV撮影、不倫、枕営業と、それぞれ訪れる人々の物語が交錯する群像劇。昨年初夏に、NHKが緊急事態宣言下の東京都でタクシーにカメラをつけて、それに乗ってくる人たちについてのドキュメンタリーを放送していた。それに似ている。色々な人が違った目的で同じ場所を利用し、そして去っていく。生々しいけどちょっと儚い話。


⑦「バケモノの子」 声だけでもかっこいい染谷将太

最後はちょっと雰囲気を変えてアニメ映画。声優をあまりやっていない俳優をアニメ映画に起用することにいい気持ちにならない人もいるみたいだけど、ぼくは雰囲気が合っていればいいかなという気持ち。染谷将太は主人公・九太の大きくなった時の声を担当する。最初は宮崎あおいのかわいらしい声だったのが、あるシーンからいきなり染谷将太のかっこいい声に変わった時、映画館のいろんなところから「おおっ」と声が聞こえたのを覚えている。声だけのはずなのにところどころ染谷将太が強すぎるところもあったけど、それもまたこの人の魅力なのかなと思った。主要キャストが役所広司、宮崎あおい、染谷将太、リリーフランキー、大泉洋、広瀬すずと実写でもいいんじゃないかっていうくらいの人たちなのが逆に新鮮。宮野真守や山口勝平などしっかり豪華な声優も登場する。


おまけ


2人が主演のドラマも、とても好きなものがそれぞれちょうど1作ずつあるので書いておく。

「みんな!エスパーだよ!」

2013年、テレビ東京の「ドラマ24」枠で放送。原作は大分県が舞台となっているが、ドラマ版では色々な理由から園子温監督の出身地でもある東三河、愛知県豊橋市になっている。登場人物がみんな(東京から来たという設定のキャラ以外)が三河弁を話している光景は、なかなか全国放送では見られない。このドラマにおいて染谷将太は、ある日突然人の心の声が聞こえるテレパシーの能力に目覚めてしまった高校生・鴨川嘉郎を演じる。超能力をエッチなことに使いまくって楽しむ他のエスパーたちを冷ややかな目で見ながら、「この力があれば世界を救えるかもしれない」と考える喜郎。「ヒミズ」で染谷将太が演じた、達観した中学生の住田とは違って高校生なのに幼い。
思いを寄せるヒロインの浅見さん(演:真野恵里菜)の腹黒い内面をテレパシーで察知してしまうし、幼なじみのヤンキー・美由紀(演:夏帆)とはなんだか微妙な距離感。高校生というもともと悩み多い生き物なのに、エスパーになったことでさらに悩みが増えてしまった。
なお、このドラマは下ネタがめちゃくちゃ多い。「エロい」というより「ひどい」に近い。でも、それくらいくだらない人生でいいかなと思える明るい作風となっている。

この前見返してみたら、「麒麟がくる」で近衛前久を演じた本郷奏多も出演していた。
また、オープニングテーマを高橋優、エンディングテーマを石崎ひゅーいが歌っており、こういうのが好きな人(ぼくみたいな人)は最初から最後まで楽しい。
2015年にスペシャルドラマと劇場版も公開された。

「鈴木先生」
2011年放送。長谷川博己が、教師からも生徒からも厚い信頼を寄せられる、中学校の国語教師・鈴木先生を演じる。様々な問題が起こる中学生活を鈴木先生が独自の理論で解決していく。なんだか金八先生みたいだが、喫煙室での先生同士の会話だったり、変な妄想癖があったりと先生にも人間臭さがあってくせになる。

そして、まだ今ほど有名になる前の土屋太鳳や松岡茉優が生徒役で出演している(何をもって有名になったとするかはわからないし、少なくとも放送当時ぼくは2人のことを知らなかった)。あと2019年放送の「ウルトラマンタイガ」でヒロインを演じた吉永アユリもクラスの生徒役で出演。また、「麒麟がくる」で徳川家康を演じた風間俊介が劇場版で登場する。


追記:
よく見たら、ほとんどが園子温作品。「東京との魅力的な街を紹介!」と言って山手線沿いの街しか紹介しないみたいな、愚行をしてしまった。園子温監督以外のものでも2人の映画を積極的に見ていこうと思う。また2人が共演したらうれしいな!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?