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首斬り場
「ここの丸いオブジェが置いてある場所はかつての首斬り場だったから、人が踏まないように今はこんなのになってるのよ。上に建物を建てるワケにも行かなかったんだねぇ」
母は長年に渡り市内の区画整理の事務の仕事をしていた。なのでその土地の歴史に詳しい。
ここに首斬り場があった事はもちろん地元の者達は知らない。調べようとしなければ知る由もない。
それに加え、母は何処かしらオカルト好きと言うかそういう感覚を無自覚に持っている人だ。どの宗教にも属してないが、信心深い面があったり、霊能者の存在を否定する割には不思議な経験を沢山もつ。
翌日死ぬ人が枕元に挨拶に来たとか、パワーストーンで火傷をしたりとか、バリ島の遺跡で何かに憑依されたり、その業界でのジャンルを全く無視したラインナップだ。
そしてわたしが「あたい、占い師になる」と告げた時も「それいいね!」と想定外にノリノリで、更には「資格取るのお金かかるんでしょ?出したろか?」と、わたしがお金の事で相談に来たと思ったらしい。
なんとも気持ちのいい女なんだ。うちの母は。
母がわたしに絞首台だかギロチンだかの話をした時も「ちょうどその場所に斬り落とした首みたいな玉置いてさー。趣味いいんだか悪いんだか。ねぇ」ってハツラツとしてた。
ああ、わたしはこの人の血を濃く継ぐ者なのだなぁ。
くりえ。