鎌倉の子供
私はその日、鎌倉の小町通りにあるギャラリーにいた
扇子と団扇の展示即売のお店番をしていた
初日は平日のため、ギャラリーの客層よりも遠足の小学生や修学旅行生が多かった
鎌倉に来たのはこれが初めてで通りを眺めているだけでも飽くことなく
いつにも増して気分が優れていた
通りに出て「こんにちは〜」と目が合う人に声をかける
外国人やおじちゃんおばちゃんと何気ない短い会話を交わす
そうしていると次は向こうからも声がかかるようになる
「わー!この猫のうちわかわいい、欲しい」
小学生グループが店頭に飾ってあった鎌倉の日本画家の手書きの猫の団扇に見惚れたようだ
「これかわいいでしょ。猫好きなの?」
「お母さんが猫好きなの。おみやげに買っていってあげたい」
「お母さんにかー。でもね、これ画家の人の手書きだから少し高いよ」
と説明して、値段をみせた
「あ、ほんとだ。今日買えない。うちに帰ればお小遣いあるんだけど、今日はたくさん持ってきたらダメって学校で決まってるから」
「そうだよね。ごめんね。で、君たち何年生?」
「5ねーん」
「5年か。。私もね田舎に同じ年頃の子供がいてね。。今どうしているかしら。大きくなってるだろうな〜」(←サスペンス風にしばらく我が子に会っていない訳あり中年女性の雰囲気を出してみる。実際は今朝会ったばっか)
「では、いきます」
(聞いてなかったんかーい)
(いや、子供には触れにくい話題だったか)
てな感じで、優れた気分がいつの間にか完全に調子に乗っちゃっていた
まあ、いつものことだ
そして今度は素敵なマダムが私の顔をみて
「あらっ!!」
と、にっこりして近づいてきた
どこかで会ったかな?知り合いと勘違いしてる?
と思ったら
「あなたの写真撮ってもいい?」
ときいてきた
「わ、わたしの?」
「あ、恥ずかしかったら頭だけ撮らせて。貴方の髪の色素敵ね。写真撮って美容院の人に今度同じにしてって見せたいの」
「あ、はい。恥ずかしくないです。撮ってください。でもこの色と同じにしたいんですか?派手ですけど。。。」
「そう。ほんと髪の色だけじゃ無くてあなたも素敵よ!明るくて。だから初めてなのにこんな事お願いできるの。それって凄いことよ」
「わーもーおかあさん。そんなこと言ってもらえて嬉しいです!!」
そう言って、写真を何枚か撮って、握手してマダムは満足して去って行った
(その日撮った自撮り画があったので晒す)↓
この町、地元の金沢の東茶屋街に似てるな
と初めて来た鎌倉にホーム感を感じたりしていた
(まあ、これもいつものことなのだが)
すると、さっき話した5年生達が鶴岡八幡宮の方から戻ってきて
私を見つけ話しかけてきた
「あのう、これ。元気出してくださーい!」
と飴を私に渡すと、みんなで走って去って行った。
あちゃー気を遣わせてしまったな
でもいい子達だった
鎌倉はいい町だった
また行きたい
【仏の顔も三度まで】
ちーんm(_ _)m
くりえ。