浜松 アツミテック|初めて開催したアクセラレータープログラムで培ったノウハウを土台に、新しい分野での新規事業開発を進めていく
会社概要
アツミテックは静岡県に2つの工場、海外7カ国に拠点を構え、四輪車・二輪車・汎用機のチェンジコントロールシステム及びエンジン機能部品の開発・製造・販売をグローバルに展開している、静岡県浜松市に本社を構える自動車部品メーカーです。
100年に1度の変革期と言われている自動車産業において、自動車部品だけではなく、事業を拡大していきたいといった会社の方針の元、新事業企画室を2021年に発足しました。
そこで新しい分野に向けて、企業リソースを活かして新規事業を創出していくという取り組みを始めました。
スピーカー:中村 竜二氏(新事業企画室 BRブロック)/三輪 竜実氏(新事業企画室 BRブロック ブロックリーダー)
アクセラレータープログラムを開催した背景を教えてください
新事業企画室という部署が2021年に発足しましたが、それまで私たちは新規事業開発の経験がなく、「どのように進めたらいいのだろう」「何を決めていけばいいのだろう」と、企画のノウハウがないことが課題でした。
そのような課題を持っていたところ、Crewwを紹介いただきました。Crewwのアクセラ レータープログラムに参加すれば、そういった課題を解決できるのではないかと考えていま した。 ちょうど同じタイミングで、弊社の本社が位置する静岡県浜松市が自治体として、Creww のプログラムを使った、オープンノベーションの取り組みをするということを聞き、そちら のプログラムで展開することになりました。そのオープンイノベーションプログラムが「浜松アクセラレーター 2021」です。
「新規事業開発の経験がなく」とのことですが?既存事業の中ではご経験がおありかと思うのですが?
要素技術として、 例えば環境技術分野など新しい分野の技術開発にチャレンジはしており ました。今回は、既存事業の延長線にとどまらず、もうちょっと幅を広く新規事業を開発し たく、スタートアップとの共創による新規事業開発という形を選びました。
具体的にどのようにCrewwのサービスを活用しましたか?
アクセラレータープログラムで1番大事なところは、やはり共創案の中身をスタートアッ プとどれだけ作り上げていけるか、というところだったと思います。
そういった中、我々が経験のない中でも、共創案のブラッシュアップの際に「両社で目指す 世界観」や「解決したい課題」「想い」「ビジネスモデル」などが項目として用意されてお り、これをスタートアップと共に意見交換をしながら更新を重ねてつくり上げていく、とい う点で「自分たちが何をすべきか」が明確となりプログラムを進めていくことができました。 オンラインプラットフォーム上で、リアルタイムでスタートアップと意見交換しながら作り 上げていくというブラッシュアップの機能を1番活用しました。
他にも、コミュニケーションツールとして、連絡の手段としてメッセージ機能を活用しまし た。また、1次選考、2次選考と進んでいく中、社内で各共創案の評価を共有しながら、 認識を合わせて進めていけるといった点でも活用しました。
今回アクセラレータープログラムを実施してみていかがでしたか?
最終プレゼンで2社のスタートアップからのアイデアを採択させていただいております。1 つは健康分野で、テーマとしては「装着するだけで健康になる フィットネスギア」で、主 にヘルスケアプログラムで提供されているEWP株式会社と、我々の製造業で開発した技術 というものを活かして、新しい商品をフィットネス業界、ヘルスケア業界に出していけない かというところが1つの事業になります。
生活習慣病の予防には必ず運動が必要です。今回のアイテムのコンセプトとしては、よくバ リアフリーと言われる日常の障害を取り除くのではなく、 あえて日常の生活に負荷を与え ることで、いつも通り生活しているだけで適度な運動がいつの間にかできている、そんな装 置ができたら面白いのではないかと考えました。 我々の技術を活かして、実際にプロダクトを作り、上記のようなコンセプトを実践できるの かといったことを検証しました。
検証の結果、技術的な部分に課題があり、いったんこの共創案に関しては終了となりました が、その後も関係性は続いており、EWPとEWPからご紹介いただいた企業さんも巻き込 んだ3社で新しい商品開発に向けて検討を進めています。
また、2つ目は「室内農業でカーボンニュートラルの貢献」というテーマで、 大阪のスパ イスキューブ株式会社からの共創案を採択しました。植物工場を実際に運営されながら、植 物工場の事業化支援をコンサルティングと農業装置の設計開発で実施しているスタートアッ プでして、彼らと共創して新しい事業を作っていこうということになりました。
植物工場の植物が育つためには、二酸化炭素が必要となります。そこで、植物工場内の光合 成速度を高めるためにCO2ガスを使って育成効率を高めます。
我々としては、実際に製造過程で大量のCO2を出しているというところで、それを植物工 場に活用できれば、我々が排出しているCO2が削減でき、かつ植物工場の育成効率を高め るといった、カーボンニュートラルに貢献できる事業になるのではないかと考えています。
狙いとしては、自分たちが排出しているCO2を回収して有効利用して、育成効率アップや 光熱費の削減という点に定めていました。
検証内容としては、工場から排出されるCO2を回収、分離、貯蔵し、本社事務所内に野菜 育成棚を設置し、育成ノウハウを集めながら、CO2の回収と利用が実際にできるのかどう かを検証しました。こちらは今も継続して推進していますが、当初の狙いからは少々ピボッ トさせ、ビジネスモデルを現在再構築しています。
スタートアップという風土もビジネススタイルも全く異なるパートナーと共創することで得られたことはありますか?
事業化に向けて考えていく中で、自社の強みが活かされているのかどうかということが、プ ロジェクトを進めていく中で後から問われてきました。自社のリソースがどのような場面で 活かされるかについて、はじめに整理が不足していた部分もあり、ピボットする中でどうリ ソースを掛けあわせていくかについて苦労しました。そのような経験を踏まえ、「自社の強 みを始めにしっかりと整理した上で、いかにスタートアップに理解してもらうかが重要」か、 という気づきが得られました。
また、実際にスタートアップの皆さんと共創することで、創業者の方の思いや様々な考えを 聞くことができたこと。外部の方との意見交換ができたことは、我々にとって大きな気づき をもたらしてくれました。
そして、もう一つ得られたこととしては、今回のオープンイノベーションで出会ったスター トアップだけではなく、そこから派生してさまざまなところにネットワークを広げることが できたことです。オープンイノベーションに限らず新規事業を創出していく上では情報のつ ながり、人のつながりが重要なのだということを経験させてもらいました
今後の展望
我々としても、これまで取り組んできたオープンイノベーションで得た経験を活かして、別 の分野で、色々新しいアイデアを、さらに探していきたいと思っております。得た経験値と しては、Crewwのオープンイノベーションプラットフォームを通じて、オープンイノベー ションを進めていく上での考え方や進め方のノウハウを得られたこと。そして、スタート アップの皆さんとのコミュニケーションから得られた、ビジネスの考え方、スピード感、自 分たちの業界ではなかったものを活用して、 自分たちがこれまで参入していなかった分野 においても、新しいアイデアを探していきたいと思います。
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