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雨の日の過ごし方

先日仕事で嫌なことがあり、ちょっとこのままでは心がもたないなと思ったので、半休をとった。

「雨の日の心理学」という本が売れているようで、多くの書店で見かける。
きっと、読書という営み自体が晴れの日というより雨の日に行われるもので、人生絶好調の人は(たぶん)本に助けを求めることも、書店に行く暇もないだろうから、このタイトルの本が本屋さんにあるのはとてもマッチしている…と勝手に思っていた。

この本を読んで印象に残っているのは、辛くなったときの対処法が非常に具体的に書かれていたこと。「大丈夫だよ」などの曖昧な言葉ではなく(もちろんそれらが助けになるケースがある前提は置いておいて)、非常に理系というかハウツー的な内容が文系の衣をまとってわかりやすく、親しみやすく書かれているのだ。

そこに、「贅沢」があった。
辛くなっているときは、必要最低限のニーズを満たすだけではもたなくなっている。心の水位があがっているので、いつもと同じ分の水をかき出しても溢れ出てしまう、という表現にとても納得した。贅沢とはいつものラーメンに50円の半熟卵をつけることで、そうすることによって半熟卵一個分の水をかき出してあげるという例えが面白く、笑ってしまった。

半休をとった私は、とりあえずスタバへ行き、本を読むことにした。
平日午前のスタバはガラガラで、いつもよりBGMが大きく聞こえて、結局本の内容はあまり頭に入ってこなかった。

それでも会社を休んで飲むコーヒーは不思議とおいしく、コーヒーのあてに購入したクッキーは普段より甘く感じた。

昔、父がときどき会社を休んでいたことを思い出す。
会社に自分で連絡する強さをもたなかった父は、母に電話させていた。
電話口で母が「本日熱がありまして…」と大袈裟な口調で話していた声を覚えている。

父の契約には有休がなかったらしく、休みはそのまま給料減に直結したけれど、それでもままならない日があったのだろう。

当時、母は「ズル休み」と言って父を詰っていたけれど、必要なことだったのだと今の自分には分かる。限界まで張り詰めた風船が割れないように、ちょっと手前で空気抜きをするのだ。

半休をとって、スタバ一杯分の水をかき出した私は、佐保川沿いをゆっくり散歩して家に帰った。時間にすると3時間ちょっとの休みだったが、どうやら気が済んだようで、その後また人間の仮面をかぶって仕事に戻ることができた。

そういえば、嫌なことの具体的な内容は、人を見下したような態度で失礼なことを言われたこと。頭の中で何度もリフレインしてしまって相当不愉快だったけれど、同じような経験をしたことがある人のためにこの言葉を載せておきます。

たとえ侮辱されても、やり返そうとするな。
川辺で気長に待てば、やがて敵の死体が流れてくる
-老子

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エヌ
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