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クレジオ・パーナーズの齋藤と申します。
2020年は自分自身に取って大きな転機の年でした。

10年近く勤務していた「公務員」という安定した職業を飛び出し、M&A・事業承継という経験のない分野に転職しました。年末に2020年を振り返る機会が多く、改めて今の自分を省みると「転職前とは見える景色が随分変わった」と感じました。2021年を新しい気持ちでスタートダッシュし、必要以上に過去に囚われないため、禊の意味も込めてこのnoteに記します。

※公務員から転職した理由等については、以下をご覧ください。


2020年は「変態」の年

2020年3月に前職の中国経済産業局(経済産業省の出先機関)から、中国・四国地域を中心に活動するM&A・事業承継のコンサルティングファームであるクレジオ・パートナーズに転職しました。思い返すと、転職してから「全速力で走り続け、途中何度か息切れし、最後の12月で力尽きた1年」だったと思います。

「変態」の年としたのは、「態様が変わる」という意味で、決して変な意味ではありません。転職を契機に環境は一変しました。本音を言うと、環境は一変していたのですが、当の本人はあまり実感がなく「きっと何とかやっていけるだろう」と高を括っていました。転職した2週間を終えた金曜日に疲れ切って、その場で崩れ落ちそうにになりながらも、パソコンを叩いていた自分を思い出します。この年齢で環境が一変することは、私の脳と身体にとっては相当しんどかったようです。それでも、「まだやれる!」と思い、がむしゃらに仕事に取り組む日々で、自分のことを振り返る機会がゼロでした。年末に冷静に時間を取って内省すると、今年は自分と環境が変化し、それぞれの「変化を自分自身が受け入れ」「態様が変わった」年だったと思います。そういう意味で過去をそぎ落とすための禊の意味をこのnoteに込めます。

会社のマーケティング担当として見えてきたこと

私のクレジオでの職務は、マーケティング担当です。転職前は、マーケティングを実務で関わったことはありませんでした。なので、私はまだよちよち歩きの初心者マーケターです。

入社時「クレジオ・パートナーズとお客さまや関係者との関係性を構築していく」という役割を担いました。その点は今も変わっていません。マーケティングを会社にインハウス化するため、本を読み漁りながら、高速のPDCAを意識し、様々な施策に取り組みました。2020年に展開した取組は以下のとおりです。

①メルマガを開始。週一で送信(Hubspotを利用)。
②オンラインセミナーを主催。
③オンラインセミナーに登壇。
④オフラインセミナーを主催。
⑤クローズドの勉強会を開催。
⑥HPをリニューアル(2020年9月公開!)。
⑦SEOに取り組む。
⑧HPのコラム記事(M&A・事業承継のノウハウ系)をたくさん書く。
⑨メンバーインタビューコラムを開始。
⑩買手企業さまのインタビューコラムを開始。
⑪経産省の予算に関するコラムを書く(一番のヒット!)。
⑫White Paper施策を展開(カオスマップがヒット!)。
⑬Facebookの運用を開始。
⑭Twitter(個人アカウント)に注力しました(フォロワー400人!)。
⑮新しいサービスを打ち出す(全然広まりませんでした(´;ω;`))
⑯Youtubeを開設(チャンネル登録者20人超え!)。
⑰パンフレットをリニューアル。
⑱PR Timesの利用を開始。
⑲Google広告にチャレンジ。

上記以外にもやったような気がしますが、3~12月でこれらを一気に展開しました。転職前は「12月くらいに新HPが公開されたらいいですよ」と言われていたことを考えると、少し手を出しすぎた気がします。マーケティング施策は基本、当社のチームメンバーの力を借りながら展開しましたので、決して一人だけでやったと胸を張れるものではありません。そういった意味でいつもチームに感謝しています。
マーケターとして顧客理解に努めるため、M&Aコンサルタントのアシスタントもしています。ベンチャー企業の支援のための資金調達のご相談対応や、バリュエーションのアシスタントもしました。コネクターとして、色んな方を紹介し、お繋ぎしたりもしました。

マーケの気づき①阿修羅からの卒業!
当社は現在7名の組織です。マーケティング担当は私なので、私が動かなければ、マーケティング施策自体動きません。動いたら動いた分だけ、その結果が返ってきます。色んな施策を展開したのはいいのですが、結局、年末に常務から「阿修羅の言うことはもういいんです」と言われました。即ち、リソースが限られる中で、こんなことを続けるとギリギリの消耗戦に入ります。帰宅時間は遅くなり、土曜出勤が通常運転になる。12月頃はよくないループにハマりました。これは、私自身が人に任せるのが苦手なことにも起因します。一つ一つの施策のクオリティ、効果測定、何が有効でそうでないのかを考える余裕も少ないという状況に陥りました。今後の会社の成長を考えると、私個人が頑張ることは悪いことではないのですが、結果として私一人のリソースやクオリティがマーケティングの限界値になってしまっては、逆に会社の足を引っ張るようになります。

今後の課題は「頼ること」であり、それを「仕組み」にすることだと感じています。こちらを読んで頂いたマーケターの皆さま、デザイナーの方々、ぜひ私を助けてくださいm(__)m
来期もやりたいことはたくさんあります。そのために、まずは阿修羅から人間に戻ろうと思います。

マーケの気づき②地方は色んなチャネルがあり、繋がっている
マーケというとWEBマーケ施策を思い浮かべる方が多いと思いますが、3-12月の実証の中で、私は考え得るチャネルを試しました。WEB施策を展開しつつ、オフラインで新聞や商工会議所の方とのリレーション構築・紙媒体の広報等、様々なチャネルへアクセスを試みました。どのチャネルが有効かは、まだまだ実証中なので何とも言えません。これも課題です。その中で、各チャネルは繋がっているという感覚が強いです。「HP見ました」「メルマガ読みました」「広告見ました」「新聞で見ました」こういった声が連動しているように感じました。Webマーケは低コストのマス・アプローチとターゲティングが強みですが、ローカルマーケットで展開する場合、ユーザー数が首都圏と比較して少なく、各ユーザー層が分離しているため、複数のメディアが混在していると実感しています。加えて、これは地域に限りませんが、ユーザーの行動様式が変わるスピードが早いこともこの9か月で学びました。そのため、有効なチャネル探しの実証を重ねながら、様々なチャネルを連動するように展開することが必要なのかもしれない、というのが現時点の学びと仮説です。

マーケティング担当の実感値として、色んなところから、「クレジオの名前を聞く」という話を人づてに聞くことがあり、その時は素直に嬉しかったです。「クレジオが社会に受け入れられている」という感覚でした。事業承継は全国の課題ではありますが、その状況と「クレジオを利用してくれるか」かということは別問題です。事業承継という課題と、当社サービスが結び付いた時、その中で必要とされる存在にならないといけません。そういった中で地道に認知を拡大していく中で、市場・顧客と自分の会社が繋がっていく感覚をダイレクトに感じることができるというのがマーケティング担当としての楽しみかもしれないと思ったのが、私のマーケティング元年での気づきでした。

支援者からプレーヤーになって見えてきたこと

私は公務員だった時代、創業・ベンチャー支援が好きでした。スタートアップ・ベンチャーを理解したつもりで、創業者やベンチャー・スタートアップの皆さまを支援しているつもりでした。今思い返すと「何も分かっていなかった」と、恥ずかしい気持ちでいっぱいです。
実際に事業会社で、マーケティング担当として勤めると、「何が正解か全然分からない(´;ω;`)」「むっちゃ大変(´;ω;`)」というの正直な気持ちです(単純に私のマーケターとしての腕が悪いというのは自覚しています)。売上向上・ユーザー獲得が施策の要のベンチャー経営者の皆さまに対して、大した具体的な支援もしてないくせに、「支援者」というポジションを取っていた自分は、ただの「ベンチャー・スタートアップ好きおじさん」だったのような気がします。

転職を機に、明確にプレーヤーに切り替わりました。というよりも、「支援者という位置から物申せる程の余裕がなくなった」というのが本当のところです。「クレジオの齋藤」は、マーケティング担当・M&Aコンサルタントとして、お客さまに価値を届け、提供する立場です。転職して思うように成果があがらない中で、「自分はプレーヤーなのに何故誰も助けてくれないのか」と腐る時期もありました。

転職前は、ビジネスに対して「自分は支援者」と、一つ線を引きがちでしたが、今後は支援者という行儀のよいポジションを捨て、顧客である経営者に価値を提供することで、一緒に価値を高め合うことができる、「相手が成長することで自分も成長する」、そういう関係でいることが必要だと認識するようになりました。こちらも私にとって大きな気づきになりました。

事業承継の現場から見えてきた「スタートアップ」

公務員時代の私は「地域でスタートアップのエコシステムを創る」ことを目的に動いており、「スタートアップ」と「中小企業」を2項対立で見る傾向がありました。
クレジオの領域は「M&A・事業承継」です。この市場は最近急速に拡大しています。主なクライアントは「経営者」であり、ベンチャー・スタートアップを問わず、様々な経営者の方と接します。加えて、その事業価値を算定する機会が多いです。価値算定で利用されるのは数字です。例えDCF法で未来の数字を基準に入れたとしても、直近の足下の数字が出発点となります。単純な売上ではなく、様々なKPIを成果指標にしたとしても、やはりそのKPIをどれだけ積み上げているかという「実績」が評価されることになります。

転職した後に感じたことは、「地域にすごい経営者はまだまだたくさんいる」ということに気づかされました。M&A・事業承継は、企業の出口的な側面が多く、改めて考えると企業のライフサイクルを長い目で見ることができます。ベンチャー・スタートアップのように創業初期の企業群は、いかに売上をあげるかが重要な視点になるので、急成長する手法(特にマーケティング等)に注目が集まります。成長し、ある程度ビジネスモデルが確立され、それを拡大するフェーズになると、組織として機能することが重要となり、マネジメントが重要項目になります。更に事業が成長すると、税負担の関係もあり、株価をなるべく抑えたいと思うようになります。最近はエクイティファイナンスが発達したため、急成長して数年で出口までたどり着くビジネススタイルも出現しました。これは企業のライフサイクル自体が多様化したと捉えるのが正しいように感じます。現場で経営者の方と接する中で、「スタートアップ」か「中小企業」かは、成長段階と成長手段がそれぞれ異なるだけであって、単純な2項対立で議論する必要はないと感じるようになりました。

改めて「経営者はすごい」と思います。マーケットを見つけ、利益に変える。チームをつくって、仕組みにする。自分の想いや理想を、自分以外の人間の力を借りて体現し、社会に価値を届ける。規模の大小に問わず、経営者はすごいなと感じるようなりました。その規模を大きくできる経営者はもっとすごい!と感じます。

クレジオ・パートナーズは、ファイナンスに精通したチームです。デッドファイナンスとエクイティファイナンスの狭間に立ち、ベンチャー・スタートアップ、中小企業、大手企業を問わず、経営者にファイナンスで価値を提供することができる企業だと認識しています。転職前は、「スタートアップのエコシステムを創ることが必要」と謳っていましたが、エコシステムは結果論であり、本当の要は「すごい経営者をどれだけ輩出できる」だと感じるようになりました。帝国DBのデータで見ても、2019年の30代以下の経営者の割合は3.8%です。若手の経営者の絶対数が少ないという現状で、未来を考えると、経営者という存在は、希少性も相成り、更に尊くなるのではと感じます。そんな中で、地域から全国・世界へ伍する経営者を、ファイナンスでいかに成長させるか、もしくは、これまで努力・研鑽を続けてきた経営者の個人の側面にきちんと寄り添い、事業承継の課題を解決できるかを考え、実行することがクレジオが提供できる価値だと思っています。

地域でもスタートアップ・ベンチャー支援のプログラムはたくさん出るようになりましたが、本当の意味で経営者に寄り添った支援は数少ないというのが実感です。地域でスタートアップ盛り上げる取組は、それぞれのビジネスの成長という側面では必要だと認識する一方、資本政策のような経営者の個人の側面も含めてサポートできる環境の整備も必要だと感じています。また、スタートアップだけではなく、足元の地域のビジネスのエコシステムに存在する経営者についても認識することが大事だと感じています。首都圏とマーケットへのアクセス方法は異なるかもしれませんが、地域には産業があり、そこから更なる成長産業を生み出す可能性があるとまだ信じています。

転職後、私自身もこれまでとは違った形でベンチャー経営者の方々とも関わるようになりました。そんな中で思うことは、自分の実力・専門性はまだまだ足りないという反省と、公務員時代と違って少しはお役に立てたかもしれないという喜びと、これまでスタートアップのエコシステムと叫んできた自分は何の役に立ってたんだろうという後悔が入り混じります。それでも私がスタートアップのエコシステムへの想いは断ち切ることはできないのは、チャレンジしている方が好きという軸は変わっていないつもりです。市場の急速なパラダイムシフトとITの発達において、マクロ的にみても、市場の最先端にアクセスしているスタートアップの存在は非常に重要ということは間違いありません。なので、立場が変わっても、チャレンジしている方々に何を価値として提供できるのかは突き詰めていきたいと思います。

転職者して見えてきた「行政」の姿

元が公務員なので、「行政」と接するタイミングも多いのですが、行政の見方も少し変化しました。行政にいた時から感じていたことですが、「行政」という仕組みそのものが古いのでは、という直感はありました。行政という仕組みは、「何でもできる仕組みではない」と感じる一方、皆は「行政に何でもやって欲しい」と期待しています。このギャップそのものが埋まることは難しいと感じています。

細かな点でも違和感を感じた場面がありました。DXを掲げ電子決済に取り組みながら、同時進行で紙で決裁を回していたあの頃。転職してからも、補助金申請に関わる中で、採択までは電子申請と言いつつ、実績報告の時点では紙でも徴求するという現実。予算要求や政策立案に関わった経験もあるので、補助金に要件を課すことの必要性は理解するのですが、どんなに簡単と言われる補助金でも、「経営者が理解するには難しい」というのが実態です。そもそもビジネスに邁進する経営者にそんな時間はありません。色んな要件をつけて、書類を提出するような仕組みにしてしまうと、「経営者のために」が目的だったにも関わらず、経営者に足かせをはめることになります。窓口のユーザビリティを見ても、要件ありきの対応が目立ちます。補助金には「使い方」と、「上手く使えるビジネス」があります。上手く使えないビジネスで補助金を利用してしまうと気づかないうちに依存します。「補助金が出たらこれをやります。」「補助金が出なくなったので、もう継続できません。」これを聞くのは本当に悲しいと感じる時がありました。

改めて民間に移り、「行政の仕組みの限界」を感じるからこそ、行政の限界とニーズのギャップを埋める価値が提供できるような存在の重要性を認識しました。私自身も「元公務員」の経験やネットワーク、ノウハウはしっかりと基礎にしつつ、下手に依存することなく、「元公務員脳」から脱却し、我々だからこそチャレンジできる領域で実績を積み、立場を違えつつ、社会課題を解決できるのが理想形だと思うようになりました。れば素晴らしいと思いました。

2021年の目標は「100回失敗すること」

2020年を振り返り、ツラツラと最近思うことを書いてみました。本当はもっと書きたい個別具体的な出来事(嫌な思い出も含めて)もありますが、それも含めて、一旦2020年をこのnoteに封印して、禊としたいと思います。

2021年に新しく掲げる目標は「100回失敗する」です。クレジオとして、成長を目指す際に、まだまだ自分の枠では不足だと感じる部分も多く、枠を広げるためには、「失敗」という経験が不可欠です。また、「失敗するためにはどこまで踏み出すべきか」という思考回路になれば、現状に満足せず、果敢に攻めることも可能かなと思いました。そうまでしないと、会社の成長に振り落とされるのではという危機感が大きいです。正直に言うと、まだ慣れない部分もkなり多く、「自分で大丈夫なのか」「本当にできるのか」という漠然とした不安もあります。同時に新しいことにチャレンジできるという可能性と期待に胸が躍ります。2020年の「変態」を経て、2021年は改めて全力で「前進」の年にしたいと思います。

追記で、年末に親しい方から、「齋藤さんは”助けて”って言わないよね。もっと助けてくれる人いると思うんだけどな。」と言われたことも印象的でした。確かに”助けて”というのが下手だなと思います。2020年は自分と仕事で手一杯でしたが、2021年はしっかり”助けて”と言えるようになりたいと思います。転職して、きちんとお話できていない方もいるので、改めてこのnoteでお伝えしたいことの一つは、何かと迷子になっている私を助けてくださいm(__)mいつでもご連絡お待ちしております!

2021年はコロナの経済的な影響がより色濃く出る厳しい年だと感じています。自分自身としては、そんな中でも挑戦している方々と一緒に価値を創造できる存在を目指していこうと思います。こちらのnoteを読んで頂いた皆さまにとっても、実りの多い一年であって欲しいと願います。

2020年12月31日



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