【Salesforce】小売業界向け!商談を管理する上でのオブジェクト構成の最適解
CREFILのシニアコンサルタントの永井です。
弊社では大手消費財メーカー向けのSFA(営業支援システム)構築のプロジェクトを複数手掛けてきました。
本記事ではSales CloudやConsumer Goods Cloudを活用した、商談管理の考え方についてのナレッジを共有できればと思います。
消費財メーカー営業の様々な悩み・・・
私が担当させていただいたプロジェクトではこのようなご相談をいただく事が数多くありました。
現場セールス ➡ Excelや複数のシステムへデータを入力しなければならず、営業業務に集中できない。
マネージャー ➡ 入力されたデータを加工して報告用の資料を作成しながら、並行して部下のマネジメントを行わねばならず管理業務に忙殺されてしまう。
…..このような状況では中々業務を回すのは難しいですよね。
現場セールス ➡ 商談の進捗報告もデータ入力も1つのシステムで完結できる。今何をやらなければいけないのか?あとどのぐらい売上を立てれば目標達成できるのかが一目でわかる。
マネージャー ➡ 部下の進捗状況と売上見込を簡単に把握し、管理業務を削減できる。削減できた時間で(どうやって売上を伸ばせばよいか)の施策を考える時間に充てられる。
….もしそのように改善できれば、みんなハッピーですね!
売上見込がわかる状況を作りたい!
では(いざSalesforceでSFAを構築しよう!)…の前に、売上管理の考え方についてざっくり把握しておきましょう。
売上管理の指標として、大まかに分けると以下の3つに分類できると思います。
ここで注意したいポイントは実績値が出るまでに時間がかかってしまうという点です。
消費財メーカーの営業活動では、実際に商品が店頭に並ぶ2~3ヶ月前に商談をしているケースが多いです。
つまりお客様と商談をしてから実績データが出るまでに3ヵ月ほどのタイムラグが生じてしまいます!
――実績値が出るまでにタイムラグがあるとどのような問題が起きるのか
交渉成立した時点での見込売上が把握できれば、売上目標達成のための道筋が立てやすくなったり、機会損失を防ぐことが可能になる…というのがご理解いただけましたでしょうか?
計画値 vs 見込値 vs 実績値がわかれば、「部下から報告を受けた売上と実際の売上が違うじゃないか!怒」なんてことは起こりませんね。
では次にSalesforceで商談管理を行うには、どのようなオブジェクト構成が良いのかを解説いたします。
商談のオブジェクト構成をおさらい
先ほどの説明を踏まえて、メーカー営業の商談を管理するオブジェクト構成を考えてみましょう。
まずは、営業にまつわるSalesforceの基本のオブジェクト構成はこちらです。
テーブルの中身を簡易的に表すとこんな感じです!
商談オブジェクトには標準項目で「金額」という項目が用意されているのですが、できれば計画値と見込値の項目があると嬉しいですね。
また、商談を月単位で管理する場合、得意先オブジェクトの関連リストを見ると….
毎月1レコード作成されたとすると、過去の商談情報を見たいときに一苦労ですね……
さらに商談の種類(=レコードタイプ)が複数存在したとすると、2~n倍増えてしまいます。これではなかなかパっと見たいレコードが見れない。
もう1つ問題があります。年間の売上が一目でわかりません。
もちろんレポート・ダッシュボードで集計すれば見ることができますが、できれば気軽に見たいですよね。
標準オブジェクトだけで実装をする場合の課題点を整理してみましょう!
オブジェクト構成の改善案
本題に入るまでお待たせしました。
ではオブジェクト構成を考えてみましょう。
まずはオブジェクト構成図です。
実際にはお客様の営業スタイルやご要件によって、もう少し複雑な構成になるのですが、シンプルな形で作成してみました。
オブジェクトの箱だけでは理解が難しいので、順を追って説明していきます。
まず、商談をまとめるための年次売上管理オブジェクトを作成しました。
こうすることで、取引先を見たらひと目で年間の売上額が見やすくなりましたね。
実際の商談を管理するのは商談オブジェクトです。
ここでは進捗ステータスや受注確度、商談結果を管理しますが、計画売上と見込売上を入力する項目も追加しました。
計画売上を商談開始前に入力してもらい、商談が終わった段階で見込売上を入力してもらいます。
もし交渉不成立、失注してしまった場合は見込売上はゼロです。
商談明細オブジェクトはその商談でどの商品をいくらで何個売り上げたのか?を管理するオブジェクトです。
Salesforceで標準搭載されている機能として、商品・価格表・商談商品オブジェクトを使った自動計算機能がありますので、そちらをカスタマイズして活用いただいても問題ありません。
商談オブジェクトでは、実績売上は管理しません。
売上の実績データは基幹システムに登録されるため、Salesforceへデータを連携する必要があります。
システム連携の詳細の内容についてはお客様によってご要件が異なるため、説明を割愛させていただきます。
基幹システムから連携された月単位の売上実績データを格納するための中間テーブルとして、実績管理オブジェクトを作成します。
基幹システムから連携された実績データのレコードは、この時点ではSalesforce上のどのオブジェクトとも紐づけがありません。
ですので、実績データが”Salesforce上のどの商談レコードに対応しているのか?”を対応付ける必要があります。そこで登場するのが月次管理オブジェクトです。
商談オブジェクトで保持している計画売上・見込売上と、実績管理オブジェクトで持っている実績売上をまとめて保持させるためのオブジェクトが月次管理オブジェクトです。
・商談⇒月次売上管理
・実績管理⇒月次売上管理
へのデータ連携の方法は色々と考えられますが、フローorAPEXを使用することを想定しています。(※本部コード、年月、取引先名などを複合的なキー項目とし、一致した月次売上管理のレコードへ値を代入する…といった処理を組みます)
月次売上管理オブジェクトと年次売上管理オブジェクトで主従関係を結んだら完成です!!!お疲れさまでした!!
これで、月々の計画値 vs 見込値 vs 実績値が比較できるようになり、年次売上管理オブジェクトでは現時点での売り上げの達成率がわかるようになりました。
(※Salesforceは表形式での表示がニガテなので、Mashmatrix, SkyVisualEditor, RaySheetなど画面カスタマイズができるAppExchangeも併せて導入いただくのが良いかと思います◎)
おわりに…
小売業界向けのルート営業の商談管理について、Salesforceでどのようなオブジェクト構成が最適なのかをお伝えしました。
本記事では「これが最適解!」という前提でお伝えしましたが
現場のセールスさんが使いやすいかどうか?
管理者が部下をマネジメントしやすいかどうか?
外部システムとの連携が考慮されているかどうか?
これらの観点が網羅されているかどうかが、SFA・CRM構築では重要となります。
ぜひ参考になりましたら、スキいただけると幸いです。
また、ご質問等ございましたらお気軽にコメントいただければと思います。