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かくれんぼ。


あら? ? こっそり書いてたのに
見つかっちゃったのね。

「こんなところに居たのかやっと見つけたよ 」
という名の黄色いスケッチブックをもらった。

スケッチブックにしたかった。

かくれんぼにも
探すひとが、「ここを探そう!」と
隠れるひとが、「ここに隠れる!」と
それぞれの意図があるのでしょう。自由。
ことばと、音をもらう。

広げて、自由にかく。
なににもとらわれない。

わたしにしかない気持ち
そのときの気分
どこかの、だれかのものがたり

想像して描いてみる。


いつかのわたしに、
いつかのだれかに見つかったときの
心の絵日記になればいい。



「  ままごと  」


わたしはようちえんに入るから。
ようちえんを見に行って
いちばん嬉しかった。ままごとができること。
かわいい、おおきいお家。
りんご、さかな、やさい、おにく。
なんでもそろっている。うきうき。きらきら。
でもあのときは、いなかった。すきなこ。

おかえり、ご飯にする?お風呂にする?
それともわたし。なんて恥ずかしい
そんなに可愛くできはしないかも。
わたしを一番にしてほしいけど、
言えないし たわしで掃除。
してるから帰ったら後ろからぎゅっとして。

ズルくて ぬるくて だらしない人
たかがままごとって まるで人ごと

女のコがおかあさんじゃなくてもいいじゃない

わたしはおかあさんやくじゃなくて、
ねこがいい!ままごとでもねこになる。
わがまま 何様 お気に召すまま
寝る。にゃ〜。
とてもかわいがってもらいたい。

馬鹿だね 思わず 笑っちゃう人
かわいいままごと ごとまるごと

唇はまだ早いからここにね、なんて遅い
もうこどもじゃないんだから。

あのね、
恋っておままごとじゃないんだよ。
分かってる?


本当のおとなになったとしても
楽しく 、適当にやろう、
うきうき、きらきら 暮らそう。

はやくいっしょにあそぼう。


「  人と人と人と人  」

会社と家を行き来する。
なんか飽き飽きしてきたな。
毎日何してても なんか面白くない
世界中にこんなにも人が居るって本当なの?
わたしにはその現実が嘘みたいに思える。

移動だって誰にも会わないし。ひとりだよ。
帰ってからものすごく、部屋でぽつんとした

電車って、大変だけどいいね。
ひとりの人がたくさんいた。
誰かも知らないのに こんなにも肌が近くにいる
でも、あなたは誰ですか?なんて気持ち。
そんなぬるい距離が、わたしの心を
白湯みたいな温度で包む。暖かかった。
人と人と人と人が
まだ出会わないことで生きている街。

夜と帰る22時
寂しい 寂しい 寂しい 寂しい
だから 誰かの声に気づく わかる 同じ気持ち。
ひとりぼっちの心にそっと火が灯る
キャンドルみたいな柔い明かりだけれど。
それでもいい。それがいい。
ひとりが一緒だね。なんか嬉しい。
人に囲まれて話している人達には
見えていない世界。
ひとつにはなれないけど、ふたつでいる。
そういうのもたくさんあふれてる。
いつか始まる時に架かる桜の橋。
そのときまで。
繋いでくれた音楽と、人と人と人と人。


「  青梅  」

水色の空 。
カラッとそこに置かれた白い雲。
なんか分からないけどプールみたいな。
ゆらゆらと水面に透き通る予感。

寝ても冷めてもまだじゃあ
ふらりふたりになろうか  

運命を探り合う

出会ってる?
ねぇ「私たち」で合ってる?って聞きたかった

そんな気持ちはくしゃくしゃで、
しわしわの、まるで梅干しか。

まだ種から実にもなっていないのに
わたし種の実を潰したのかしら
青くさえなっていないのに。もう梅干し。
えっ?赤いの?終わり?干からびたの?

それとも熟しすぎて傷から液が出るみたいに
果汁が滲み出すから
お前なんか美味しくないよ。なんて
誰にも食べてもらえなかったのかな。

どうやらわたしには、未完成な
青梅らしき、真夏の軽やかさがないらしい。

恋って甘いものじゃなかったんだ。

やっと見つけた運命の人だとか
笑える そんな軽さで

いたらよかった。

快晴の下の横断歩道で、落ちましたよ
ありがとうございます
顔を見合わせて えっ ? なんてね。

プールサイドのバーでね。話しかけるような。

お酒といえば、スクリュードライバーでしょ。
なに?その男の子の工具みたいな名前。
でもものすごく、あまいお酒。

そんな誰かの夏物語も
掻き立てられるくらいにありあまる。


海の色って青いけど、すくったら白だね。
なんて。
すべてが透けていくほど
天気予報の明日も、晴れのち何もないでしょう。


「  生レバ  」


ねぇ、生レバってなに?

味を、教えて。

どんなもの?

炙られる肉って痛いのかしらね。


ごちそうさまの前に、

いただきますでしょ。

ふふふ。



「  I  」


愛は愛でしか塞げないのか。

そしていつしか、
人は自分があげた愛の威力にすら
気付かない事がある。

好きで好きで好きで好きで

好きで好きで好きだから好きを連呼する。

届かない。なんて思うからさらに
愛を固めて送ってしまう。

ひとりでに好きが歩き回って、
振りかざすナイフが
時に相手を苦しめる。
それはまるで形のない爆弾。

自分は、気付かなかったりする。
いつの日か、
私ってこんなに愛を届けてたんだと
倍以上に返ってきてからしか、気付かない。

気付かないふりの出来ないほどに。

たぶん 君は何も知らない
それならそれで別にいい

なんて、そんなわけないじゃない。

でもすこしのすれ違い。
行き止まりに気付く前に。

胸がくるしくなるほどに。

愛の怖さ。したたかさとあたたかさ。


「  インタビュー  」


わたしの彼は、野球をしてる人なの。
彼のことは大好きだけれど

インタビューなんていらない。
わたしは、読まない。


熱さと 勝利と 感動と 自慢   汗と涙 。

かっこいいよ。
でもオモテのことはおいておいて。

本当に核になるものは誰にも渡さない。
あなたは、そうでしょう。

本当に大切なことは、
言葉にはできないから。
いちいち言葉にしなくてもいいのよ。

ほらね。あなたは
それより そんなことより
"この何かが何か知りたい "
なんて言っているでしょう。
傍にいればきっと分かるよ。

インタビューが終わって帰ってくる。
力を抜きたいんだって。
いいじゃない。ゆっくりしたら。
全部脱いだら?
きっと美味しいご飯を食べるよ。
あったかいお風呂に入ったらいいね。

こんな時こそ話を聞いてほしい。
うん、いいよ。とテーブルに座って頷く。

そしたら本当に話したいことが出てくるのね。
わたしにはばらしてね。


やさしい時間がながれるね。


「感動も熱狂も全部くれてやるから」

うん。それも、いいんだけどね。


私が好きなのは、勝っているあなたじゃなくて
燃え尽きて、消え尽きたあなただよ。


武器のない、あなたなの。


いつか、もし武器がなくなったらどうする  ?
あなたには到底
考えられないかもしれないから、隠すけど
わたしはそのことも考えながら

「なにもなくなったら、こわい。何が残る?」

「なんでもない、あなたそのものじゃない?
 わたしが見てる、あなたそのもの。」

だから
武器のあるインタビューは見ないでもいい。
だけど
それは、あなたにはバレませんように。

今日もずいぶん
調子がいいのが一番いいでしょう。
たくさんかっこつけてもいいよ。笑顔で。
輝いていて。


だからなんでも。はなして。
また明日話そう。


「  べつに有名人でもないのに 」


べつに有名人でもないのにね。

可愛い飾りつけなんてしちゃって。
ホットケーキを焼いてみて。
赤いお花を飾ってみた。
写真にのこしてみる。
なんでもないことを話す。
誰にとってもどうでもよく
誰にいいと言われるわけでもないけれど。
活動自粛したって、誰にも
気づいてもらえないけれど。

有名人なら みんなから
たくさんのお返事もらえるのかな。
落ち込んだときも、きっと
たくさん励ましてもらえるのね。

それってとてもいいことだね。
たったひとり 居なくなったって
代わりなど多くいるから
きっと、寂しくないのでしょう?

でもいいや。
わたしには頭に浮かぶ人が
少しだけ、いればじゅうぶん。
なんか安心するから。

だから有名人でもない あたし。
だれにも気づかれない あたし。

好きな人との好きな君と
可愛い家と赤いお花。
まるでおままごとみたいな、まねごと。


「  星にでも願ってろ  」


星にしか、見えてない部分がある。

ねえ、生きてるの。死んでるの。
自分には見えないよ。
星様には見えてるんでしょ。教えてよ。
安心できない。

まぁ元気だったらいいんだけどね。
心の中、渦巻く灰色の煙草みたいな感情。
なにこの煙。もやがはれない。
この気持ち、どこに持っていけばいい。
あぁ言いすぎた。多分。
心が見えません。馬鹿。元々見えてないし。
まるで嘘の強がり、なんの意味すらない。

あの娘のアクティビティ記録が
ないとき、死んだと思う?

かく言う自分も、死んでるんだよ、こころが。
こんなんなら居なくなりたいってね。


アレを見た。禍々しいものを初めて感じた。
どうにかして闇に葬らなきゃ。壊れる。
一生開かない鉄の扉の中に封印してください。

左指ごとくれませんか なんて
言って歪んだ愛をねじ込んでほしい。
賑やかに寝てる人なんて嫌い。
虚しさを共有したい。 「 は ?  」

願うものが、星しかない。
あまりにも頼りなくて、
なんか馬鹿馬鹿しくて笑えて泣ける夜。

それなのに星がすごく綺麗だった。
どっちのことも見えてんでしょ、君は。
なら今後の行方をおしえて。

あの。生きてるか、死んでるかだけ
応答してください。
日常におまじない、かけて。


「  dmrks  」


「 後悔、先に立たず。」


ひと言で終わらせんなよ。

dmrks。


「  喉仏  」


ハズレのあみだを
引こうとしてる君を止めたい。

あぁ、やめとけよ。

だから、やめとけって。

見えなくても逆算したらわかるだろう?

くそ、あいつ2番好きなんだよな……

絶対引くよな。分かってる

このままじゃ、、でもそこじゃない

あぁもう横からこんな事言うなよ。

そこじゃないって!

うーん、やっぱり2番好きなの。

じゃねぇぇぇ!んだよぉぉぉぉおおおおおい!

そこが可愛い。うん。

ッて 馬鹿なのか?!

ぁぁ、、、選択ミスだこりゃ。

ぁぁ、、、選択ミスだこりゃ。

まだ間に合う。だから選び直せよアホ!

…… 🤷‍♂️

(外国人のやるもうお手上げポーズ)



ここからは全て見えてるのに
あいつには見えてないみたいだな。

誰を引こうとしている?

下から 引き摺りおろす。

出会える道を選んでくれ。
アタリはここだから。



「  本屋の  」


作業着を脱いだ。


本棚に近づくと、少し埃かぶっていた。

「本はいいや」


もう、だいぶ 会っていない。十年もなるか。



自分宛にという手紙をもらった。

正直 驚いたけど

すごく短い文章。

ただ、最近はこの本を読んでいます。
とかそんなことだけ書かれていた。


帰り、もらった手提げ袋を持って

本屋に寄りたかった。

一冊だけ。今日は選ぶ。



本屋で迷って何も買わなかった帰り道、

鍵を開けると腹が減った。

あのにおいが、なんとなく、蘇る。


「靴下」

遠いあの声。耳に残ってなかったはずなのに。


暗闇だけがひろがる。


黒い服と、靴下は風呂場で脱いだ。


古びた結婚写真がひときれ。
本棚の文字のなかに挟まっていた。


こどもはいなかった。
あれからも、ひとりだったのか。


「たぶん、あなたよりは長生きすると思う」

享年56。
いつかの言葉と埃が宙に舞う。



「  センチメンタルママ  」


高校生のころ

風邪をひいたのに、はじめて怒られた。

今までほとんど 怒られた記憶もないのに

病院につれていってくれる車のなかで

なぜか、鮮明に、怒られた。

怒られた内容はいまだに思い出せない。


更年期と思春期の

人生の風邪が重なってしまったのか。

重症。


それ以降、5年以上くらい

風邪という風邪をひかなくなった。

何をするわけでもなくまさに健康体。

インフルなんか10年くらいかからなかった。

センチメンタル時の、おかんの衝撃とは。



そんなこんなで大人になったら、連絡がくれば

治ってても、  1週間前でも

「風邪ひいてた」と言ってしまう。

そしたら あれとねこれとね

これがいいからあれも

あっ、というか今日家いる?って

絶対に、なにかを持ってくる。

4つのビニール袋を持って上がる階段は

かなり重い。

ふぅ、風邪なおっててよかったゼ…。


「  もうおしまいだよさようなら  」


咳をしても、一人。


誰のことばだったっけ。

少しかっこはつけたいけれど、
むずかしいことばが分からない。
教養の無さが目立つ。
文芸家気取りのゴミ箱。わたしか。


咳をしたら、一人。


そんなワンルームの狭い部屋に

テレビをつけたら笑いをとる人が
ひとりでに喋って、ひとりでに笑っていた。

部屋に声が響く。



はははははははははは


あれ、これ自分の声か。
こわっ。


そうだと気付いた瞬間、涙がほろり。

正直のところ興味はなかった。

だけど どうして画面越しの、「人」に
こんなにも救われることがあるのだろう。

人と、居た。


「もうおしまいだよ さようなら」と
ながれるあの曲。みんなが集まるエンディング。
みんなが手を繋いで、笑っていた。

ひとり、心が、こたつに包まれている。


もう、おしまいなのか。
でもわたしには、なんだかはじまり。

さぁ、洗濯かたづけよう。


ありがとう。寂しくなったらまたくるね。



「  あと5秒  」



最後かもな、と思った。

歩き慣れた道の先。
角を曲がれば、あのコンビニ。
何度 一緒に通ったのだろう。

なのに、久しぶりだった。


「ねぇ、コンビニで
一番いらないものってなんだと思う。」

「なにそれ 。…………靴下、とか?」

「いるし。めっちゃ履き心地よかったよ」

「コンビニで靴下とか買う人いるんだ。あー、そえばあの時。待って、思い出した!めっちゃ濡れてた時でしょ、あれほんと面白かった」

くたくたの顔で彼女は笑う。


あのときどうにかなってないかとか
心配で色々探したらあぁなったんだけどな。


なんでもあるのに 。

なんでも揃うこのお店で
ほんとうに欲しいものは手に入らなかった。

揃わなかった。


手っとり早くて

行けばすぐにある

どんなときも。

そうだろ?


何でもあるは、時にこわい。
選ばれない
何でもあるからこそ、選ばれない。

ないものを求めて すがったりする。


僕にないものはなんだった ?。


恥ずかしいことも全部
何でもかんでも話すのに
僕に向けられるあの気持ちだけが、ない。


どうやら要らないものばかり
かき集めてしまったらしい。


彼女がコンビニで買うものは分かる。


あまいのと しょっぱいのを交互に食べて
いつもサイダーで流し込む。

ほんとに、へんなやつ。


でも、今日は違った。


「好きなの」


「えっ?」


「あ、彼がね?すきなの、これ」


「……ふぅん」


彼女は見慣れないものを手に取った。
見慣れたはずの品揃えなのにな。

なんかむかつく。



「今度ねぇ、式場見に行くんだぁ。楽しみ」


しあわせでいればいい。


「ねぇー、なんにも食べないの?」
「どうせこれでしょ」



初めて彼女を見た、あの横顔と重なる。

なんで。



今ものすごく、ばかなこと。考えてる。

ばかなことを、考えてる。





なんかあまいの食べなくなった。
懐かしいなぁ。ここも。


あのとき、苦しくて。コンビニ。
帰りたかったのに雨。泣きそう。

ため息ついてたら、
見たことある人と目が合った。


多分、同級生。

わかる。

傘、貸してくれた。

なんか自転車で行くからいい、とか言われて。



彼には、素敵な恋人がいた。

わたしには到底、敵わないほどの綺麗な人。



分かってる。


いつか、好きになって欲しくて
何でも話した時もあったけど
それもそれで、よくなかったのかも。
今 考えれば恥ずかしい。



結婚したいと思う人に出会えた。



でも彼は、今日も塩おむすび。


コンビニで塩おむすび
買うひとの気持ちがわからないのだけど。


まぁいいや。

あなたって変わらないね。


美味しい塩おむすび
作ってくれる人と出会ってね。



「  天の声  」


お茶の間が眩しい。
リビングから徒歩3秒。
これはほんとの、わたしの部屋。
たったドア1枚分の距離。
けれども、死ぬほど遠かった。
こんなにも近くて
遠い距離を感じたことがある?
「家」という名の、「家族」という名の距離。

家族に 楽しそうだな。なんて、
他人事のように思ったことってある?
レストランで、2個先のテーブルのお話を
聞いているような気分なの。
いつからかずっとね

足音で誰か分かるの。
何万回それ以上に聞いた、足音。

お茶の間が眩しい。なぜ?って分からない。
別にあちらはこちらが眩しいと思ってる事も
分からないのだと思う。
おんなじ輪の中にいると思って。

私には入れない笑い声が ほとんどあった。
みんな喋る人がいていいな。
遮光カーテン。ゆっくりと目を瞑る。
まるで遠い昔
楽しかったあたたかな記憶の紐を解く。
時々 イヤホンで足音を塞ぎ、
料理する音を塞ぎ、音楽を聴いた。

なんとなく死にたい夜に
光も届かない窓に

なんとなくのその夜を知らずに
生きていける人が世の中にはいるみたい。
ほんとうに羨ましいよね。

いつもただ寂しい。なにが寂しいんだろ。
ねぇ寂しい。誰かに触れられたい。

私を見つめて。

触ってほしい。身体に。心に。
ぎゅーって抱きしめて。

こころから飛ぶ 本物の声が空しく、
行き場なく、そこの暗い地面に落ちる。
言わないから拾われることなど一度も無かった。

誰にも分かってもらえる訳もなく
こんな心の隙間は 何mm、?何cmなの。
そんな溝に誰の声が滲み入るわけでもなく
穴が虚しく でも そんな穴でさえ自分で愛しい。

鬱陶しいから触らないで。
これ以上、傷が浮腫まないように壁を作った。

君はひとり。そうね。
茶の間を気にしない距離がすごく楽になった。
それでも、他人の茶の間が賑やかで
眩しく感じるなんてことはついて回り
引き離せはしない。

お茶の間に家族の団欒。
クリスマスツリー。笑い声が溢れる。
そんな事を、ひとびとは人生で巡らせる。
当たり前じゃないからね。
そんな光景を、当たり前だと思わずに居てよ。
なんて、ぼやっとしても届かない私なりの抵抗

" お茶の間まで、あとちょっとだ "

ねぇ、どれほどの距離。
一生くるはずのない そのあとちょっと。
残り水ほどの涙がながれた。

どのみちダメな道、どのみち雨な道。
そのうち着くから、そのうち止むから。
寄り道しながら ずっとずっと。
辿り着けるかは分からないけれど。

寄り道の先。立ち寄ったそこで。
雨の滴る屋根の下。

「こんなところに居たのか やっと見つけたよ」
なんて、声をかけて
時々、わたしをぎゅっと抱きしめていて。

そのうち止むまで ずっと、ずっと。



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