コロナ禍からの学校再開と子どもたちのメンタルヘルス
緊急事態宣言の解除に伴い、大阪府では6月1日から学校が再開することが決定しました。(5月22日現在)
また、現在東京都も6月初めから学校が再開できるかどうかを最終調整中です。
異例の休校期間が終わり、学校が再開することはとても嬉しいことです。子どもたちは友だちと一緒に遊ぶことができますし、保護者の方々も子育てから解放される時間が多くなります。
しかしながら、例年と異なり、三密の予防や手洗いうがいなど、配慮しなければならないこともたくさんあります。その中の一つには、長期休暇明けの子どもたちのメンタルケアもあげられるでしょう。
今回のしゅーいちでは、長期休暇明けの学校生活において、精神的に不安定になる子どものSOSサインとその原因、また、困ったときの相談窓口についてみていきたいと思います。
また、以前のしゅーいちでも子どもたちの相談先をまとめた記事がありますのでこちらもぜひご一読ください。
長期休暇明けの不登校児童・生徒の増加
毎年、長期休業(ゴールデンウィークや春・夏休みなど)明けは、子どもたちの学校に行きたくない気持ちが高まってくる時期でもあります。
事実、文部科学省の「不 登 校 に 関 す る 実 態 調 査」によると、7月~9月、4月~6月に学校をやすみはじめた児童・生徒が他の時期に比べて多いことが分かります。
(不登校に関する実態調査(文部科学省)より抜粋)
この原因としては、休み前までにクラスになじめなかったり、新学年になって勉強についていけなかったりすることなど、多くの原因が挙げられます。
※下の表の「いじめを除く友人関係をめぐる問題」と「学業不振」を参照
(平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)の概要より抜粋)
また、今年度は例年と異なり、新たな人間関係に慣れるだけでなく、オンライン授業による授業の質の低下や友だちとのコミュニケーション不足などによって、より一層子どもたちに不安が募っていくと考えられます。
さらに危惧しなければいけないのは下記の記事のような「コロナいじめ」です。いままでのいじめがコロナウイルスの影響で悪化することに加えて、少し風邪を引いただけでも「あいつはコロナだ!」と指をさされてしまうかもしれません。
では、私たち大人が子どもたちの変化にいち早く気付き、ストレスを少しでも和らげてあげるためにできることは何があるでしょうか。
そのひとつにSOSサインを見過ごさないということが挙げられます。
子どものSOSサイン
悩みやストレスが大きくなって、こころがダウンしそうなとき、私たちの体には様々なサインが現れます。それを通称「SOSサイン」と呼びます。
とくに、こころのSOSは睡眠、食欲、体調、行動の4つの面に出てくることが多いといわれています。
具体的には以下のような症状です。
■ 睡眠
・布団に入っても、なかなか寝つけない。
・遅くまで夜更かししている。
■ 食欲
・食欲がない、食べる量が減った。
・逆に食べすぎる。
■ 体調
・体がだるそう。
・腹痛や頭痛、めまい、吐き気などを訴える。
■ 行動
・学校に行きたがらない。
・無口になった。
・挨拶をしなくなった。
・独り言を言うようになった。
これら以外にも、子どもの過去のトラウマや家族構成の変化も注目すべき観点です。こういった着眼点や考え方は『学校における子供の心のケア(文部科学省)』や『こころもメンテしよう(厚生労働省)』により詳しい子どものSOSサインがまとめられていますので、ぜひご覧ください。
出展:学校における子供の心のケア(文部科学省)
子どもが布団に入ってもあまり寝付けなくなったり、ご飯を食べる量がへってしまったりしたときには、家族でお話をする時間をとってみるのは良いかもしれませんね。
もし、どのように話を聴いたり声掛けをしたら良いか分からないという方は、具体的なノウハウや姿勢が書いてあるこちらのページを参考にしてみてください。
困ったときの相談先
もし話し合っても子どもがつらそうなままである場合には、専門の相談先に連絡をすることも一つの手です。以下に行政が行っている相談所をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
■ひきこもり地域支援センター
ひきこもりの本人やご家族からの相談を受け付け、必要に応じて関係機関と連携した支援を行っています。全国のひきこもり地域支援センターの一覧です。
■保健所・保健センターなど
不眠、うつなど、こころの病気に関する不安や悩みほか、家庭内暴力やひきこもり、不登校など思春期の問題に関する相談、アルコール・薬物などの依存症に関する相談などを受け付けています。医師などのこころの専門家に相談することもできます。
全国地図から最寄りの保健所、保健センターの相談窓口を検索できます。
■こころの健康相談統一ダイヤル
こころの問題について、本人はもちろん、家族など周囲の人も気軽に相談できる公的な窓口です。地方自治体が運営しているので、相談は無料。秘密も守られます(※通話料はかかります)。
■いのち支える自殺総合対策推進センター
こころと体の健康・病気に関する様々な悩みを受け付ける公的な相談窓口を都道府県別に検索できます。
最後に
今週のしゅーいちでは、長期休暇明けの子どものメンタルヘルスケアについてみてきました。
日本ではまだまだカウンセリングや相談所へ行くことに抵抗がある人が多くいます。一概には比較できないかもしれませんが、海外には定期健診と同じくらいの気軽さでカウンセリングに行く国もあります。
ぜひ、子どもたちがSOSサインを出していたら、専門の方に気軽に相談してみてください。
また、これからもコロナウイルスの影響は続いていくと思われますので、皆さんもぜひお体をご自愛ください。
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