つけペンで点描画を描く
ワタシは絵描きなんですけど、絵に関する記事は3ヶ月くらい書いていないようです。
絵を制作していないってことではなく、極めて進みが遅いもんで、ある程度まで形が見えてきたところでお伝えしないとワケがわからない、なんてことになるからなんですけどね。
そもそも描いているものは点描画なので、普通のペン画より時間がかかる上、キャップを外して使うペンではなく「つけペン」で描くために更に時間を要する、ってことなんです。
細かい作業は予想以上に手を酷使するため、手を休めながら描き進めないといけません。欲張って長時間作業すると手が使いモノにならなくなり、結果的に数日間ペンが持てなくなってしまうので、作業時間は1日4時間くらいまでに留めています。
B5サイズに3日ほどの制作で、これくらい↓
イヤになるくらい進みませんが、本気でイヤになってしまったら最後。
未完成で終わってしまいますから、これはある意味『自分との戦い』です。
こんなに時間かけてもこれだけか〜。
もっと短時間で仕上がる系にスイッチするか?
いや、そんなの誰でも出来るじゃないか。
ワタシにしか出来ないことをしないとな。
集中、集中、集中、集中。
あ〜〜〜〜
チョコ食べたい。
休みたい。
他のことしたい。
ゴールは何処?
みたいな。
誰も助けてなんてくれませんからね。
己を鼓舞して、やりきるしかありません。
受注したわけでも、販売するわけでもない作品制作って、精神的に強くないと続けられませんから、日々精進です。
「絵描きさんて、やっぱり絵を描くことが好きなんでしょ?」と、当たり前に言われてしまうとすごく違和感を感じ「なんかすいません」という気持ちになるのは、ワタシは「絵を描くことは修行」だと思っているからだと思います。
「楽しい」とか「好き」といった感情はないんです。
お金とか生活とかと同じフィールドで考えてしまうといろいろ辛くなるんでしょうけど、そうはならないので不思議ですけどね。
ここからは、『つけペンで点描画を描いてみたい』という方に向けてお伝えしたいと思います。
なんだかんだ、点描画の記事は書いたことがないことに気づいたので、これについてお話ししていきます。
「細密画」という言葉は聞いたことがあると思いますが、調べてみると "細部まで精緻に描き込まれた、リアリズムを追求した作品" と出てきます。
要するに、「細かい絵」ですね。
ペンや水彩を使って描かれる作品が多く、動植物、建造物、人物、幾何学模様など描かれるものは様々ですが、見る方が「細か!」と感じれば、それは細密画だとワタシは思います。
ワタシの主な作品は、細かさとリアルさが特徴のペン画なので、この細密画になるわけです。
一番最初のペン画作品はコレで ↓
ドローイングペンで描いています。
そして、より緻密な線を描きたいと思い、つけペンに手を出します。
で、つけペンの第一作目がコレ ↓
この作品をきっかけに、学んでいる哲学をテーマに作品を描くようになり、表現も更に細かくなっていきます。
いくつか作品を制作するうちに、点描はワタシの頭の中のイメージを表現するのには最も適している技法なんじゃないか?と、ぼんやり見えてきましてね。
きっかけはこんなザックリした感じなんですが、ここから、「人と同じことをしても面白くない」「どうせなら人がやらないことをやろう」というのが付け加わり、極めてめんどくさい『つけペンで点描画』に落ち着いたわけです。
次に、使用画材について紹介しましょう。
ワタシが愛用しているつけペンのペン先は、タチカワの丸ペンです。
ペン軸もタチカワで、3種類を使い分けています。
写真の真ん中と一番下のペン軸はフォルムが同じ。握りやすい形でグリップも滑らずとても使いやすいんですけど、一番上のペン軸はやや細いので、太さを補いながら滑り止めの役目も果たしてくれる "指サック" を装着して使っています。
インクは、無光沢・耐水性の「レタリング・ゾル」。
つけペンを使用したことがある方はご存知かと思いますが、つけペンにインクをつけて描くわけですから、"ボトルに直接ペン先をイン" するのが普通です。
でもこれだと口周りが汚れるし、ボトルのフタを開けっぱなしにしないといけません。
っていうので、絵を描く時に必要な量を別ボトルやインク壺に入れ替えて使う方もいます。
かくいうワタシもそうなんですけど、ガラスのボトルって結構使いにくくて好きじゃないんですね。
ペン先が見えないし、カチカチいうし。
で、考えたのが、これ ↓
フタがパカッと開くタイプの、コンタクトレンズケースです。
これだと、ペン先が底に当たってもカチカチいわないし、フタの開け閉めもラク。
洗うのも簡単で、カラーインクを数色使う場合にも便利です。
点描画では、インクを付けて描けなくなったら、その都度ペン先を水の入った容器で洗いティッシュで拭いてから、新しくインクをつけて描きます。
ペン先を常に綺麗な状態にしておかないと、細かい点は描けないので。
つけペンの点描画はこれくらい手間がかかる作業ですが、すごいのが出来上がっちゃうと自分でも感動してしまうっていう、とてつもない達成感があるのでやめられません。
細密画よりもさらに細かい、粒子のような点で描くので『粒密画』と自身で名付けましたが、細密画を描く点でいうと、デッサン力や明暗のグラデーションを描く技術は必須です。
更には、「技術をベースに描写力を限界まで追求していきたい」というのが、ワタシが点描画を描いている理由なんじゃないかと感じています。
ある意味、貪欲(非常に欲が深いこと)。
貪欲な向上心を持って、この先も制作を続けていきたいと思います。
制作中の点描画のリール動画はこちらから↓