【3社連動企画】強力タッグでのCREATIVE SURVEYサイトリニューアル解説:クライアント編
クリエイティブサーベイ株式会社は、「CREATIVE SURVEY」というBtoB SaaSアンケートシステムを提供しています。
CREATIVE SURVEYのサービスサイトのリニューアルを「株式会社シフトブレイン」「株式会社ベイジ」という業界でも著名な2社にタッグをお願いしました。
こういった座組みでのプロジェクトは少ないと思いますので、マーケティング担当者をはじめとした、SaaSサービスのWebリニューアルに取り組む方々の参考になれば幸いです。
サイトリニューアルの背景
CREATIVE SURVEYには、微妙に違う2種類のサービスラインナップがあります。
「for Enterprise」と、Salesforce連携できる「for Salesforce」の2つ。それぞれで顧客ターゲットやニーズが微妙に異なっています。
私たちの商品を検討に至る流れとしては、プレスリリースやWeb広告、イベントなどのあらゆるマーケティング施策を経てサービスを知ることになり、その後、Webサイトに流入します。
きっかけとなる潜在的な検索キーワードは「アンケートシステム」や「Salesforce連携アンケート」「CX」「満足度調査」などと、さまざまな文脈で来訪します。
旧サイトでは、TOPページで機能紹介、階層ページにて各事例記事を掲載していました。製品ごとにサイト動線をしっかりと分けていなかったため、2つの製品の機能紹介と事例記事が混在してしまい、サイトに来た人に正しい情報を提供できずに混乱を起こしやすい構造でした。
結局何ができるのか分からない、よく分からないから一旦保留、といった行動につながる恐れがあります。
さらに、この状態から広告施策などを行っても効果が見えず、施策の最適化を図ることができません。要するに、Salesforce連携版でできる機能を訴求した広告をターゲットに出してもうまくいってるのかよく分からない、みたいなことが起こっていました。
クリエイティブサーベイは、これから事業としてさらに加速して行こうというフェーズです。マーケティング施策の効果が見えづらいということは大きな問題になっており、やみくもに費用をかけなければならない状態はなんとかしたい、という状況でした。
旧サイトが抱えていた課題を解消し、Webサイトを在るべき姿にすべくサイトのリニューアルを計画していきます。そして、これを機にクリエイティブサーベイのブランドイメージをアップデートし、全体のトンマナを統一したイメージにしていくことになりました。
1:CV向上を目的とした情報整理とサイト動線の確保
情報構造を整理することで、潜在顧客が必要とする情報を適切に提供できるサイト動線を確保し、製品理解を深めてもらうことでCVを増やす。
2:インバウンドマーケティング成功に導く良質なコンテンツの拡充
「for Enterprise」と「for Salesforce」、それぞれの製品で何ができるのか。機能紹介や事例を増やし製品の特長を紹介することで、継続的なインバウンドマーケティングの成果を向上していく。
3:認知拡大のためのブランディング強化
調査会社や他のアンケートシステムとの差別化を図るべく、「アンケート=企業と顧客の対話を促すコミュニケーションツール」を表現し、顧客中心のイノベーションや顧客体験の改善を通じて、ビジネスにどのように貢献できるかを訴求する。
Webの長期的価値と機会損失によって大枠の予算を決定
コロナ禍において新規商談や営業活動の減少が多くのビジネスの課題となっている昨今です。一般的にはマーケティング予算は削減傾向にありますが、Webサイトはコンテンツ追加などの改善を繰り返しながら長期間利用でき、持続的な効果が期待できることから資産になり得るという考えと、獲得までのパイプラインが一定の改善が見込まれると想定し機会損失を金額として換算することで予算の大枠が決定します。
クリエイティブサーベイにとって、確実にWebは重要動線であり改善は必須という状況の中で、中途半端で場当たり的な予算の付け方はむしろマイナスに働くと判断しました。しっかり今の問題点の改善と、予算が大きくなりがちな広告効果も見えるようにすることで、事業にとってプラスのサイクルを生み出す効果も期待してしっかりした予算をつけています。
Web改善によるリード獲得効果が1ヶ月〇〇件 × リード単価、それとサイト運用期間を掛け合わせて最後に不確実性の割引をしています。
実際には、サービスWebリニューアルだけで2000万以上。それにサービス動画、広告画像のテンプレート、パンフレット関連のサンプル、などブランドに関わるアウトプットも含めると3000万近い予算になりました。
Webサイトと聞くと、予算が割と感覚的に決まることが多いと思います。特にブランディングなどの要素が入り込むと、費用対効果が見えづらいのでなんとなくの気持ち次第という状態になりますが、BtoBに関してはある程度合理的に予算設定ができます。どこに比重をおくのか、解決したい重点的な課題はなんなのか、といった形で、どこに発注すべきかを検討する流れが良いと思います。
課題を解決できるチーム編成
今回のサイトリニューアルに関しては、マーケティング課題とブランド課題が両立していたため、両者を高いレベルでアウトプットできる体制を求めていました。
代表の田口はFOURDIGITというデジタルデザインの代表も兼務していることもあり、田口のつながりでBtoBマーケで実績のあるベイジ。ブランディングに強いシフトブレインの2社とタッグを組むことになります。
通常であれば、こういった組み合わせでプロジェクトを行うことはほとんどありません。クライアントサイドの立場としても2社に発注するということ自体が珍しいですが、業界を詳しく知るメンバーがいることで今回のタッグが実現しました。
※3名の対談記事はこちらをご覧ください!
以下は記事からの一部抜粋になります。
田口(4D/CS):そもそもクリエイティブサーベイの課題としてマーケとブランド両面があったんです。シフトブレインはデジタルブランディングというイメージがあったし、ベイジはBtoBマーケというイメージがありました。
加藤(SB):ベイジさんは強みが明確で、しかもシフトブレインとは異なる領域が強い会社なので、いつか一緒に仕事したいと思っていました。
枌谷(B):クリエイティブに強い会社と一緒にやりたいという気持ちはありました。ただ、どこでもいいという話ではなくて、ロジカルな部分とクリエイティブを両立した会社という意味ではシフトブレインさんぐらいしか思いつかなかった。
それぞれの特徴がある2社であり、両社の良いところを生かしたリニューアルができれば今あるクリエイティブサーベイのポテンシャルを最大化できると期待感の大きいプロジェクトスタートでした。
入念に練り上げられた戦略設計フェーズ
顔合わせも終わり、いよいよ本格的にプロジェクトがスタートします。
序盤戦はベイジさん主導で進行していきます。シフトブレインさんにも打ち合わせに参加いただきながら、ディスカッションベースで戦略フェーズを重ねていきます。
先述の通り、旧サイトでは「CREATIVE SURVEY」の商品の特長をしっかりと伝えられませんでした。ベイジにマーケティングのセオリーや選択肢を提示してもらいながら戦略設計を行っていきます。
SaaSサービスは機能だけを切り取ると類似したものもあるため、他社製品と何が違うのか、社外視点からCREATIVE SURVEYはどう捉えられるのか、といった議論が進んでいきます。
サービス提供者であるクリエイティブサーベイのメンバーは、「こう見られたい」「ここが伝わるようにしたい」「このポジションでサービス提供している」などの思いがあります。
ベイジの方には実際の営業商談に同席いただいたり、商談議事録を読み込んでもらうなどCREATIVE SURVEYを理解するための努力を姿勢で示してくれました。制作会社としてここまでの姿勢を示せる会社もあまり多くないと思います。
このタイミングで出たハーバードビジネスレビューの記事も、ベイジの代表の枌谷さんからチームのSlackチャンネルでシェアしてもらったり、サービス理解がだんだんすりあっていく感覚がありました。私たちも「しっかり理解してもらおう」というモチベーションに繋がっています。
SMB(中小企業)向けSaaSでは、Webで商品の説明を詳しく行って情報提供することが多いですが、エンタープライズ向けのサービスだと詳しい機能説明というよりもビジネスの効果や事例記事をメインに持ってくることが多くなります。
CREATIVE SURVEYも、商品の詳しい説明は、セールス担当が製品デモを行い、より深く製品を理解いただいてから導入いただくことを現状のベストシナリオとしています。今回のリニューアルで設定するサイトのゴールは「営業商談につなげること」これを踏まえて設計に落とし込んでいきます。
ベイジさんによる戦略フェーズはだいたい2ヶ月。ヒアリング・ラップアップとディスカッションを、テーマごとに進行していきます。
しっかりとしたフレームワークのもとで順を追って言語化していくため、認知から獲得までの流れが明確になり、情報として何が必要かということがハッキリ整理されていきました。
これが土台となって、次のブランドビジュアルデザインフェーズに進んでいきます。
序盤戦の進め方に触れたベイジさんの記事はこちらになりますので、合わせてご覧ください。
戦略とクリエイティブを接続する
今後の進め方などを整理しながらシフトブレインさんの仕切りにバトンタッチ。ブランドのコンセプトやアイデンティティについて、クリエイティブの議論に変わっていきます。
クライアントサイドとしても、この時点でガラッと雰囲気が変わっていきました。ロジカルに組み立ていく戦略フェーズはもちろんですが、そこに重ねてクリエイティブな質感が混じっていきます。慣れないクリエイティブの議論ですが、ビジュアルとコンセプトを組み合わせていくシフトブレインさんの進め方はとても刺激的でした。
ワイヤーフレームをビジュアライズする中で、戦略性とクリエイティブを接合する、しかも、ベイジ・シフトブレインという会社をまたいだ接続だったので、最初チグハグになりそうなこともありましたが、最終的には、担当同士が密にコミュニケーションをする場をつくり、プロジェクト全体が大きく前進する流れができました。
戦略フェーズで整理されたユーザーのサイト利用プロセスとユーザーの状況、そういった方々が問題なく閲覧できるような構造と、ナビゲーション、レイアウト、色使いなどを検証しながら、私たちの意見を取り入れてもらいつつ、サイト全体のトーンを決定していきました。
その後もサイト訪問者の心理状態に訴える表現をできるかを議論しながら進行していきましたが、トップページのメインアニメーションだけは、サイトの顔となる部分なので、最後の方まで残っていました。
そんな中、サイトリニューアルと並行して、Ruby会議に向けてカンファレンス用動画を制作することになります。この動画制作をサイトリニューアルと同じチームで取り組むことで、サイトの表現とアニメーションのテイストが相乗効果になっていきます。
動画の最後のシーンです。曲線で世界地図のようなものを描いていて、これは、私たちが掲げるvisionから「顧客とビジネス」「人と人をつなぐ」というキーワードを抽象化したイラストを提案していただき進化させたものです。(実際に世界地図がベースになってるんです)
この動画制作を同時に同じチームで取り組んだことで、クリエイティブの方向がピシッと定まり「アンケート」と「人」をつなぐ線の一部を拡大したものをサイトのメインアニメーションに決定できました。
※クリエイティブ部分の進め方に触れたシフトブレインさんの記事はこちらになりますので、あわせてご覧ください。
クライアントとしての立ち位置の役割
この戦略部分とクリエイティブ部分の接続点は、サービス提供者として非常に重要なフェーズだと感じます。どちらかに転べば何かが崩れるようなこともありますし、どちらかが強くなればもともと持っていた課題を解決できなくなることすらありうる重要な判断が伴っています。
さらに、SaaSビジネスは展示会やソーシャル、Webなど、あらゆる接点があります。今の状況をきちんと把握してもらい、全体の世界観をすり合わせ、デザインパートナーシップをつくり、小さい違和感もシェアしながら解決に向かっていける体制を作ることは非常に重要だと感じます。
結果どうだったのか・今後の課題
サイトは2回に分けて公開しています。
9月末日の第1回目の公開直後、一時的にサイト全体のアクセス数は減少しています。
これは同じタイミングでWeb広告の整理を行うなどの別要因が重なったことと、リニューアルにあたり不要なコンテンツやページを削減しシンプルな構造にしたことでトラフィックが減少しました。
一方、11月末日の第2公開以降、サイトTOPはアクセス数の変化が大きく、リニューアル前と比較して141.50%増、お問合せページへのアクセス数も112.08%微増という結果です。
公開してからの数ヶ月の期間と、昨年の同じ期間とを比較した場合は、平均ページ滞在時間 45.62%向上、閲覧開始数 15.16%向上、離脱率 28.67%解消、ページ別訪問数 0.75%向上などがあります。ユーザーに対するコンテンツがフィットしているようにも見て取れるので、こちらはシナリオに対するポジティブな結果として捉えています。
ただし、第2公開から日が浅いこともあり、一概には判断しがたい部分はありますので、本格的な結果としてはこれからですが、まずは製品ごとのトラフィックの整理ができたことで、打ち手に対する検証ができる土台が整いました。今後コンテンツの拡充などアップデートを続けることで徐々にアクセス数やコンバージョン数を改善していけるという見込みをつけることができました。今後の打ち手や拡充によって、着実な成果を積み上げたいと思っています。
Web・デジタル・デザイン会社といっても得意領域が全然違う
今回のコラボレーションで強く感じたことですが、デジタルデザインの会社、Webの制作会社、デジタルを中心としたブランディングの会社、といった形で、Webサイトを依頼できる会社は色々あります。呼び方やカテゴライズもさまざまです。しかし、全ての会社が同じことができるわけではなく、やはりそれぞれの会社に持っている強みや得意領域が違う、ということです。
とはいえ、外側から見ても正しい理解を得ることが難しく、実際に体感してみなければ、正確に見極めることはなかなか難しいのも実情だと思います。発注サイドに業界に詳しい人がいるケースは稀ですし、巷には「安くやります」「なんでもできます」をセールスポイントにしている会社もあります。その中で、知名度や予算だけでなく、正しい情報や実績範囲、フォーカスしているポイントなど、できる限りきちんと見極めていくことが大事だなと思います。どこに発注するか?という話の前に、早めに相談するなども有効だと思います。
CREATIVE SURVEYは、大手企業を中心に幅広い業界でご利用いただいているエンタープライズ向けアンケート・コミュニケーション・プラットフォームです。
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