教えて!ファシリテーターvol.16「異世代間のコミュニケーション」その1
はじめに
この連載ではファシリテーターとして、企業や行政の会議や議論の場をまとめ成果に結びつけてきた渋谷健さんに、会議初心者でも取り入れやすい「ファシリテーション」のテクニックや、「会議における疑問・質問」をお聞きする「初心者向けファシリテーション」をお届けしています。
今回からは、読者の方の質問にお応えする「質問編」をお届け。テーマは「異世代コミュニケーション」です。
若手と話が合わない「ベテラン」
教えて!さん: こんにちは渋谷さん、今回からは読者の方からの「質問編」です。「仕事をしていると、大きく年齢の違う方と仕事をすることがあります。話題が合わないだけでなく、話の進め方が違って難しさを感じます。渋谷さんは、異年齢のコミュニケーションをどう考えますか?」とのご質問です。
渋谷さん: はい、こんにちは。このテーマは多くの方が悩むところですよね。
今回は視点を変えてみるため「若手と話が合わないベテラン」と「ベテランとのコミュニケーション術がわからない若手層」に分けて説明します。
教えて!さん: では今回は「若手と話が合わないベテラン」についてお聞きしておきます。どういう状況が多いんですか?
渋谷さん: まず、若手の認識を考えてみましょうか。自分よりだいぶ年上の方を話すことを想像してください。
僕の経験ですが「何か言われそうで緊張する、自由に意見を言うと指摘されそう、間違いを指摘されたくない」という声が多いように思うんです。
渋谷さん:指摘されたくはありませんから、自分から積極的に話すのではなく「話の主導権は譲る。当たり障りのないこと、聞かれたことだけに答える」という消極的な対応をしている方も多いのではないですか?
渋谷さん:ところが、ベテラン側は若者の反応に関係なく、どんどん自分の話をしてしまう。若手が遮りづらいがゆえに聞いてくれるのをいいことに、ずっと一人でしゃべってしまうベテランという構図、見かけませんか?
ベテランは詰問する
教えて!さん: なるほど、これが負のループにつながるわけですね。
渋谷さん: そうなんです。またベテラン側は親しくなろうと質問攻めをしてしまいがちなんですよね。なんで?どうしてそう思ったの?など。場を盛り上げようとか、悪意はないことが大抵でしょうけれど、「なぜ」を何回も繰り返されると「詰問」と変わらなくなるんですよね。
そうすると若手は自分を守るために当たり障りのない答えをすることになるのに、ベテランは頼まれてもいないアドバイスをしてしまう。このループがコミュニケーションを阻害してしまいます。
教えて!さん: 確かに、周りにもそんな悩みを持っている人がいますね。次回は具体的な対策を教えてください。
渋谷さん: もちろんです。次回は「どうしたらいいの?」という具体的な対策編をお届けしますので、お楽しみに。
まとめ
異世代間のコミュニケーションでよくある問題点
若手の認識
年上と話すという状況だけで緊張する
間違いを指摘されたくない
話の主導権を譲り、自分を守るために当たり障りのない答えをする
ベテランのやりがちなこと
自分が経験豊富で立場が上だと認識する
質問攻めをする
頼まれてもいないアドバイスをする
結果的に生じる負のループ
質問攻め→当たり障りのない答え→余計なアドバイス→距離が広がる
次回は、これらの問題を解決する具体的な対策についてお伝えします。お楽しみに!