ファシリの「伝える力」をあげたい(整理編)ー教えて!ファシリテーターvol.23ー
はじめに
この連載ではファシリテーターとして、企業や行政の会議や議論の場をまとめ成果に結びつけてきた渋谷健さんが、毎回お題に沿って、ファシリテーションのコツや解決策を質問する連載です。前回から「質問編」がはじまりました。質問はこちらです。
会議でファシリテーションを経験している方かたの質問です。内容が複雑だったので、以下の5回に分けて解説を行っていきたいと思います。
1.発言内容が分からない時
2. うまく伝えられない時
-1. 情報を整理する(今回)
-2 意識して行う
-3 練習をして獲得する
3.上司が割り込む
4.時間が足りなくなる(全体の進行)
5.情報が整理できない
会議や議論で、うまく伝えられない時の対応法
教えて!さん:渋谷さん、「伝えたいことがうまく伝わらない」という悩みを持っている人は結構いると思うとおもうんですが、これはどんな風に考えれば改善できるんでしょう?
渋谷さん:「伝わらない」ってつらいですよね。一緒に考えましょうね。まずは、「話す前に、話の整理する」を意識してみてはどうですか?準備段階でしっかり考えるだけで、驚くほど伝わりやすくなりますよ。
教えて!さん:なるほど。整理するというと、具体的にはどういうことを意識すればいいんですか?
時系列の整理
渋谷さん:たとえば、一つ目は「時系列を意識する」ことですね。話が過去や未来を行ったり来たりすると、聞いている側は迷子になります。時間の流れに沿って話すだけで、一貫性が生まれますよ。
教えて!さん:確かに、過去の話から急に未来に飛んだり、時制がそろってないと混乱しますよね・・・。
視点の整理
渋谷さん:そうなんですよね。それからもう一つ、「視点を整理する」ことも大切です。たとえば、自分の個人的な考えと社会全体の話が混ざらないようにするんです。それぞれ分けて伝えると、聞き手にとって分かりやすくなります。
教えて!さん:ああ、それ、よくありますね。私的な見解というほどのものでなくても、「個人の意見なのか」「世の中で言われている事なのか」分かるだけで、受け取り方が変わりますもんね。
事実と意見を分ける
渋谷さん:気付かずにやってしまいがちなんですよ。最後に気をつけたいのが「事実と意見を分ける」ことです。
これは、事実と意見を書きだして整理するとわかりやすくなります。また伝えるときも、事実を伝えるときは「○○によると~」と情報源を示して、意見を言うときは「これは私の考えですが」と前置きすると、誤解を防げます。
教えて!さん:なるほど!たしかに、それだけで「信頼できる話し方」になりますね。
渋谷さん:そうですね。それ以外にも内容が難しかったり、伝えるための環境や状況が整わない事だったり、伝わらない理由はたくさんあります。
だからすべてを解決できるわけではないけど、この3つを意識して整理すると自分自身の理解も深ますし、少しは前進すると思うんです。
ぜひ一度お試しください。
教えて!さん:そうですね。思考を整理して準備するだけで、自分の理解度も上がる気がします。
さて次は、整理した内容を実際にどう話すか、教えていただけますか?
渋谷さん:はい。次回は「意識して行うこと」についてお話ししますね。楽しみにしていてください!
まとめ:整理することで伝わる話にするコツ
1.時系列を意識する:話の順序を過去→現在→未来に整える。
2.視点を整理する:個人的な意見と社会的な視点を分けて話す。
3.事実と意見を分ける:情報源や前置きを添えることで誤解を防ぐ。