ソリューションアーキテクチャーデザイン連載(7/13):マイクロサービスアーキテクチャーとは何ですか?
本記事は2023.06.09に投稿したクリエーションライン Tech blogからの転載です。
マイクロサービスアーキテクチャーは、アプリケーションを複数の小さな疎結合なサービスに分割するアーキテクチャースタイルです。各サービスは、単一の責務を持ち、それぞれが個別に開発・デプロイ・スケーリングされます。
マイクロサービスは、大規模で複雑なアプリケーションの開発や保守を容易にすることができます。各サービスは小規模であるため、より小さなチームが担当できます。また、各サービスは疎結合に設計されているため、他のサービスの変更に影響を受けることなく、独立して開発やデプロイができます。
マイクロサービスアーキテクチャーのメリットは、次の通りです。
スケーラビリティ 必要なサービスだけをスケールアップすることができます。
柔軟性 各サービスが独立して開発や保守ができるため、新しい技術の導入や既存サービスの変更が容易になります。
信頼性 各サービスが独立しているため、障害が発生した場合でも、他のサービスに影響を与えることはありません。
スピード 各サービスが独立して開発できるため、開発速度が向上します。
再利用性 各サービスは独立して開発されているため、他のアプリケーションやサービスでも再利用できます。
マイクロサービスアーキテクチャーのデメリットは、次の通りです。
運用の複雑さ サービスが分割されることで、それぞれのサービスを個別にデプロイ・監視・管理する必要があります。これにより、運用が複雑になり、システム全体の管理が難しくなることがあります。
分散システムの課題 マイクロサービス間で通信が発生することから、ネットワークの遅延や障害が影響を与える可能性があります。また、データの整合性やトランザクション管理が難しくなることもあります。
サービス間の依存関係 サービスが相互依存する場合、一部のサービスの変更や障害が他のサービスに影響を与えることがあります。これを回避するためには、適切なサービス境界の設定やバージョン管理が重要です。
技術的な多様性 マイクロサービスでは、それぞれのサービスが独立しているため、異なる技術スタックを採用することが可能です。しかし、これが技術的な多様性を生み出し、開発者が複数の技術や言語に精通する必要がある場合があります。
開発コストの増加 マイクロサービスアーキテクチャーの導入には、開発や運用に関する追加のコストが発生することがあります。例えば、各サービスの開発やデプロイのための環境構築や、APIの管理などが挙げられます。
マイクロサービスアーキテクチャースタイルを採用する際には、これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
AUTHOR
モダンアーキテクチャー基盤のソリューションアーキテクトとして活動しています。
[著書]
・Amazon Cloudテクニカルガイド―EC2/S3からVPCまで徹底解析
・Amazon Elastic MapReduceテクニカルガイド ―クラウド型Hadoopで実現する大規模分散処理
・Cypherクエリー言語の事例で学ぶグラフデータベースNeo4j
・Neo4jを使うグラフ型データベース入門(共著)
・RDB技術者のためのNoSQLガイド(共著)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?