激闘のUFC274 振り返りと感想(メインカード編)
メインイベントにCharles Oliveira VS Justin Gaethjeのタイトルマッチを据えたUFC274は開催前に一つのアクシデントを抱えていた。
それはチャールズ・オリベイラの体重超過だ。
前日計量でオリベイラは計量をパスすることが出来ず、0.5ポンドの超過となった。
これでオリベイラが持つライト級の王座は剥奪され、ゲイジーの勝利時のみ王座が与えらることとなった。
ただ、このオリベイラの体重超過は計量後に様々な憶測を飛び交し、疑惑に包まれた一面がある。
ライト級に転向してからは体重でミスをしていなかったオリベイラだが、再計量の際も0.5ポンド体重が少しも落ちることはなかったのだ。
事実がどうであるのかは分からないが大会の要となるタイトル戦に傷がついたのは残念なことだった。
しかしその戦い自体は予定通り行われる訳だから、当然決着には大きな注目が寄せられる。
衝撃の決着
Michael Chandler⑤ VS Tony Ferguson⑦
ライト級の上位ランカー対決。勝っても負けても見応えのある試合を繰り広げる両選手。
チャンドラーは2連敗、ファーガソンは3連敗と負けが重なる両雄の戦い。
なんとしても一勝が欲しい両者は始めから交錯し合った。
最初にチャンスを作ったのはファーガソン。
左ストレートがチャンドラーの顔面を捉えるとチャンドラーは体勢を崩す。そこからすぐに立ち上がるもダメージがあるようで動きが鈍くなる。
しかし劣勢を迎えたチャンドラーはラウンド後半でタックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。
ピンチを迎えてから別の有効手段を選択しすかさず実行していくところからもチャンドラーが経験を積んだ優秀なファイターであることが分かる。
チャンドラーがトップポジションを取った状態からパウンド・肘と打ち込む中で下になったファーガソンも肘を当てながら応戦する。
下になりながらもアグレッシブに動くファーガソンの肘でチャンドラーはカットし流血する。
試合が大きく動いたのは第2ラウンド。ジリジリとプレッシャーをかけるファーガソン、チャンドラーはケージを背にサークリングする。そして2ラウンド残り時間4分45秒のところでそれは起こった。
距離を詰めたチャンドラーが放った右の前蹴りがファーガソンの顎を貫いたのだ。
この一撃でファーガソンは事切れたようにマットに倒れたままとなり、チャンドラーの劇的なKO勝利となった。
逆転とも言える劣勢からのKO勝利。見ていて思わず声が漏れるくらいに素晴らしかった。
Rose Namajunas (C) VS Carla Esparza ②
セミメイン?タイトルマッチ?
女子ストロー級タイトルマッチ。ローズ・ナマユナスVSカーラ・エスパルザ。
これはUFC274のセミファイナルに組まれたタイトルの掛かった試合。
それにも関わらず今大会一番と言っていい位のブーイングに包まれた非常に消極的な試合となった。
その要因はエスパルザではなくナマユナスの方にあったと思う。
5ラウンドを通してチャンピオンとは思えないぐらいに手数が少なくエスパルザから距離をとって、とにかくタックルを切ることが出来て打撃の届かない場所をキープする、それだけを行うラウンドばかりで積極的な攻撃がほとんど見られなかった。
それに対してエスパルザはアタックを仕掛けトップキープまで行かずともテイクダウンを成功させていた。
お互いにダメージはほとんどなかったが、積極性と要所のテイクダウンなどのポイント含めてエスパルザがナマユナスを下し新たなストロー級のチャンピオンとなった。
Charles Oliveira ① VS Justin Gaethje ②
王座を失いながらも実力を見せつけたDo Bronx
UFC274のメインイベント。ライト級タイトルマッチ。
ゲイジーはベルトを狙い、王座を失ったオリベイラはその強さを証明する為にオクタゴンに上がる。
ゲイジーの強力な打撃
1ラウンド、前に出るオリベイラに対してゲイジーはカーフキックを繰り出す。それに対してオリベイラは右ストレートを返し、これがゲイジーの側頭部にヒットしゲイジーはややよろける。
そこから首相撲の膝をオリベイラは打ち込んでいく。それからなんとか逃れると再び打ち合いとなり、その中でゲイジーが打撃をヒットさせオリベイラをダウンする。
マットに寝転がるオリベイラに付き合うことはしないゲイジーは一度離れて再びスタンドを要求する。
スタンドに戻るとオリベイラは再び前進し始めゲイジーに攻撃を仕掛けていく。その中でゲイジーの打撃がオリベイラの頭部にヒットする。するとオリベイラは後ろに倒れマットの上でゲイジーを誘う形をとる。(この一撃でオリベイラは左こめかみの辺りから出血する)
空になった腰に宿る王者の輝き
スタンドに戻った両者は躊躇することなく強打を振り合う。どちらも一撃入れば終わってしまう緊張感の中、カーフから上へ、飛び膝から首相撲とバリエーション豊かな攻撃を繰り出す。
その中でオリベイラが一度グランドに引き込むがこれは簡単に抜け出されてしまう。
そして1ラウンド残り時間2分16秒のところでヒットしたオリベイラの右ストレートでゲイジーが初めてダウンする。
オリベイラはそこを逃さず組み付きに行き、バックを取ると上三角を狙いに行く。そしてそれを嫌がったゲイジーの動きに合わせて再びバックを取ると首に腕を掛けてバックチョークを仕掛けにいく。
外そうとするゲイジーだがしっかりセットされた腕は解けず、締め上げたオリベイラがタップアウトを奪った。
体重超過という結果が悔やまれながらも改めて実力を証明したオリベイラ。
これでダスティン・ポイエー、ジャスティン・ゲイジー、マイケル・チャンドラー、トニーファーガソン並いるライト級の強豪たちを下したオリベイラ。
あとは不気味なほどの支配力で勝ちを量産し、タイトルに手を伸ばしてきたダゲスタンの強豪「イスラム・マカチェフ」を退けることが出来るのかどうかというところがオリベイラがライト級を支配することが出来るかどうかの大きなポイントになってくると思うので、後に組まれるライト級王座決定戦含め今後の動向に注目したい。
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