神経障害かもしれないレオパに試行錯誤する

 うちの一匹めのレオパ(ブレイジングブリザード♀、4歳)。
 一年前に病院での健診で神経障害疑いが出ていたのだが、この個体はとんでもなく病院が嫌いというか人間に触られるのが嫌いだったために治療を保留していた。

 それがこの頃ブルブルっと震えたり、ビクッと体を跳ねさせたりすることが増えた。
 病院に行けばいいのだが、先述の通りこの個体は異常に人間嫌い。特に先生に触られると一時的に脱腸を起こすほど体に力が入ってしまい、鎮静麻酔をかけても心拍が下がらないほどの緊張状態になってしまう。
 神経障害にはストレスが大敵。飼い主にさえ怯え、見るだけで警戒の仕草を取り、急に動くととんでもない勢いでシェルターに逃げ込んでしまうほど繊細な個体にとって、長距離の通院と先生の触診は耐え難いだろう。

 正直、病院に連れて行く方が寿命縮むのでは?

 そう思ったので自力で頑張ることにした覚書。完全に自己責任の世界なので、参考にする前に病院に行った方が良いと思う。

 そもそも神経障害は完治しない。何らかの感染症が要因だったりすると病気と一緒に治ることもあるようだが、基本的に不可逆である。
 我が家のレオパは小さい頃から壁に向けて首をくるくる回すなどの異常行動があったものの、餌の狙いは正確で首が傾いたりその場を回る行動は見られない。
 3歳で仮診断が下り、4歳になって緩やかに症状が出て来たことと、感染症や怪我の経験もなく、寄生虫がいないことも確認してもらっているので恐らく先天性。となれば治る見込みはない。
 そこで調べてみたのだが、どうやら病院での治療はビタミンB群の投与・維持がメインになるようだ。治らないので当然である。

 なら自分でも出来るんじゃね?

 まずビタミンBについて検索。B群全体が中枢神経に作用するようだが、特に重要なのはB1、B6、B12。B3(ナイアシン)も神経症状を抑制してくれるようだが、この場合の「神経症状」は鬱や神経過敏を指すようだ。
 ビタミンB群は水溶性なので、過剰症の心配はあまりない。ただB6とナイアシンは長期にわたり過剰な摂取を続けると過剰症を引き起こすらしい。B群の過剰摂取で重篤な問題が起きることはあるが、なにぶん水溶性なので摂取をやめれば時間はかかれど徐々に回復していくようだし、人間での死亡例はないようだ。抜けにくい脂溶性ビタミンほど過剰症に気を遣わなくて済むのは助かる。
 念のため爬虫類の水溶性ビタミンの貯留について論文を探したがヒットしなかった。そもそも水溶性ビタミンを貯留できるなら過剰症例もしくは原因不明死がかなりの数出て来そうなので、排出は人間と同じように出来るのだろう(人工餌を使っていた場合は特に過剰症になりやすいだろうし……)。

 とはいえビタミンB群のみの爬虫類用サプリメントは存在しない。マルチビタミンなどはD3やAの過剰摂取と紙一重なので避けたいところだ。
 そこで、人間用のビタミンB群サプリメントを買って来て粉砕した。1/1000ほど(ゴム手袋の先にうっすら錠剤の色が付く程度)の量を餌に混ぜて投与する。許容量が人間換算からして同等なのかは分からないが、そもそもレオパの食餌間隔は人間とは全く違うので、一週間に1~2度程度の投与なら問題にならないと判断。

 早速あげてみると、翌日からしばらく足が遠のいていた産卵床の上に常駐するようになった。この産卵床、今年の初夏に急に卵を持ってしまったために急遽作ったのだが、妙に気に入ってしまったので常駐することになったオブジェクトである。
 ご飯を食べたいとき以外はずっとこの上にいたのが、最近はシェルターにこもるようになっていて奇妙に思っていたところだった。
 家にいるときは一日一度は聞いていた気がする「キュ!」という鳴き声も、この十日ほどでは一度しか聞いていない。もしかしててきめんか!? と思って喜んでいる。
 喜んだついでに哺乳類レベルだが過剰症報告のないB1とB12を買い足した。今後はB群サプリにプラスしてみることにする。

 昨日は二度目の給餌だった。嫌がるそぶりはなく、毎度のことながらよく食べる。
 食餌後から呼吸パターンが少しおかしいが、二匹目が卵胞うっ滞で苦しそうだったときと似ているので、多分これは食べさせ過ぎたせい。猛省。
 今のところ状況も落ち着いているので、中長期的な影響についてはよく観察していきたいところ。

 この個体にももう一匹にもほとんど変わりない環境でほとんど変わりない食餌をさせているのに栄養の偏りが発生してしまうのは、やはり個体差なのだなあと思う。なにせ二匹目は血液検査でも全く問題が出ていない。
 レオパファーストで生活していることもあり先生から生活環境の不備を指摘されたことはないので、多分環境がめちゃくちゃおかしいことはないのだと思う。
 それでも購入してきた個体がおしなべて虚弱ぎみだったり過敏だったりしがちで病院のお世話になっている。結果的に救命しつつえっちらおっちら4年を迎えたが、レオパ側の生命力に頼ってお祈りしているような感じもするし、果たして正しいのかは分からない。

 この個体が特殊なだけで本当は病院に行った方が良いと思う。最悪この自称「治療行為」で殺してしまう覚悟も決めている。どうにせよ後悔するのだろうが、病院に連れて行った結果、発作が酷くなるよりは悔やまない自信がある。
 やるなら自己責任で!

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