奥山由之さんの写真集『BACON ICE CREAM』に学ぶフィルムの魔法|Leicaに恋して。
最近、とても好みで、学びになる写真集を手に取りました。
それが奥山由之さんの『BACON ICE CREAM』です。
タイトルを聞いたことがある方もいるかもしれませんが、この写真集、実際に手に取ってみると、独特な世界観が広がっていて、思わずページをめくる手が止まりませんでした。
広告写真とアート、フィルム写真の魅力を巧みに組み合わせた一冊。
特にフィルム写真やフィルムっぽい写真表現に興味がある方にはおすすめです。
日常の一瞬に潜む非日常
『BACON ICE CREAM』の魅力は、日常の一瞬を切り取った写真が、どこか非日常的な空気をまとっているところです。
例えば、食卓の上のパンケーキを撮影した一枚。
普通なら主題である真ん中のパンケーキにピントを合わせるはずですが、あえて外したところに奥山さんのこだわりを感じます。
フィルム特有の質感と相まって、リアルでありながらも無作為に、でも作り込まれた美学が漂っています。
このような日常の中の非日常を捉える写真は、フィルムカメラとの相性が良さそうです。
フィルムでしか出せない独特の味わいは、やはりLightroomで後付するのは簡単ではないよなぁ・・・というのが私の最近の感想。
ペンタックスのハーフフィルムカメラなんかも試してみたら面白いかもしれません。
世界観を作り出すフィルム写真の力
奥山さんの作品には、広告写真の要素とアート的な要素がしっかりと溶け込んでいるように感じます。
それも、無理に作られた感がなく、あくまで自然に溶け合っているような感じ。
色彩や構図に対するこだわりが感じられる一方で、どこかアブストラクトな雰囲気も漂う。
これは、単なるドキュメンタリー的な写真とは違う、広告やデザインの思考をベースとしながらも、フィルムならではの撮影制限が、深みとなって影響しているのではないかと感じます。
『BACON ICE CREAM』に登場する写真は、すべてフィルムで撮られたものだそうです。
コンタックスT2などを愛用されているようで、フィルムカメラ特有の味わい深いトーンが作品に大きな影響を与えているのかもしれません。
私自身、けっして手を出さないと決めていたフィルムカメラを試すようになってから、多くの気付きや学びを得ました。
デジタルカメラはもちろん便利ですが、そこにはない情緒や色味、そして撮影制約は、また違った世界を広げてくれます。
作り込まれた美学とフィルムの魅力
奥山さんの写真には、フィルムの特性を最大限に活かした、計算された美学が光ります。
床にこぼれた物体やパンを使った演出は、広告写真のようでありながらも、あえてリアルさを追求していないところが新鮮です。
色彩の使い方にも特徴があり、リアルでも作り込んでも、同じ世界観を感じさせることができるのは、奥山さんの表現力のなせる技だと思います。
『BACON ICE CREAM』の魅力は、写真がただの一枚の記録で終わるのではなく、その写真を見た人が勝手に想像を膨らませる力があるところです。
写真というのは、リアルを写し取るだけではなく、その一瞬にどれだけの物語を宿せるかが大事だと私は考えています。
そして、奥山さんの写真はその点でリアルではなく、寓話を想像させるという意味で大いに影響を受けました。
奥山さんの作品を見ていると、「自分もこういうフィルムの世界を作り上げてみたい」と思います。
ソール・ライターよりも抽象的で幻想的、でも、どこか日常に根ざした写真。
これは、私が憧れ、追い求める写真の方向性となりそうです。
これからフィルム写真を始める人、あるいはもう一度その魅力を再確認したい人にとっても、この写真集はとても刺激的な一冊になるはずです。
フィルムならではの豊かな表現を、自分の手で体験してみるのもいいですね。
こちらの写真集については動画でもしっかり語ってますので、よかったらこちらもご覧ください。
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