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カメラ選びの先にある「本当の価値」
「結局、カメラなんかなんでも同じ。安いので良いよ」
これを心の底から言えるようになるまで、あと30年はかかりそうだ。
先日、Threadsでこんな投稿をした。
LeicaM11 とSonyZVE-10で撮影した4枚の写真から、Leica2枚を当てるというもの。
正直、自分でも写真だけ見せられたら判別つかないと思う。
さて、ここで一つの疑問が生じる。
同じような写真が撮れるとしたら、機材なんてなんでも良いのだろうか?
最初はただ写真を楽しみたくてカメラを手に取る。
しかし、使い始めると想像以上に奥深いカメラとレンズの世界に引き込まれ、次々と機材に手を出す羽目になる。
気づけば「最高級カメラ」を手にしている自分に驚くことさえある。
ただ、そのカメラで撮った写真が思い描いていた通りのものになるかというと、そうでもなかったりするから現実は残酷だ。
一度でもカメラに夢中になった人なら、この気持ちに共感できると思う。
期待と現実のギャップ
「良いカメラを買えば、良い写真が撮れる」。
これは多くの初心者が抱く幻想だ。
御多分に洩れず、自分もそうだった。
いや、今もそうか。笑
高価なカメラを手に入れることで撮影が特別な行為になる気がするし、そのカメラを持つだけで満足感が得られる。
しかし、実際に使ってみると、「良い写真」を撮るのが簡単ではないことに気づく。
最初のうちは、カメラの性能やスペックばかりを気にしてしまう。
その一方で、光の使い方、構図、被写体の選び方といった写真の本質に対する理解は浅いままだ。
結果、高性能なカメラを使っていても、どこか物足りないと感じる現実と戦うことになる。
成長とカメラ選び
自分自身がそうだ。
最初に買ったカメラは一般的なものだったが、次第に「もっと良いカメラが欲しい」という欲求が湧いた。
さらには交換レンズやNDフィルター、ストロボなどの周辺機器にも手を出し、少しずつ機材に投資していった。
その過程で撮影の楽しさは確実に増え、自分が何を撮りたいのかも見えてきたと思う。
同時にカメラの設定やレンズの特性を理解する必要性を痛感し、スキルの重要性を認識するようになった。
良いカメラを買うことは一種の「ショートカット」だと思っていたが、それは実は事実でもあり、また明らかに幻想でもあった。
高価な機材があっても、それを使いこなすには知識と経験が欠かせない。
自分のスキルが追いついていない段階での機材投資は、ある意味で無駄になりかねないというのは真実。
一方で、高価な機材が写欲を掻き立てて上達の近道となるのもまた真実だと思う。
好きこそものの上手なれ。とはよく言ったもので、やはり楽しい、好き、があるからカメラを持ち出すし、撮影機会も枚数も自然と増える。
撮らないより、そりゃ撮ったほうが上手くなりやすい。
どちらが正解か、ではなく、どちらも真実なのだ。
相反するようで、確実に共存するアンビバレンス。
カメラの沼
このことに気が付く前は、良いカメラを手に入れれば、それだけですべてが解決すると思い込んでいた。
しかし、実際には新しい機材を手に入れるたびに「もっと良いものが欲しい」という欲望が湧く。
撮影の可能性を広げたい気持ちと、新たな機材への興味が尽きることはない。
これがいわゆる「カメラ沼」だ。
ただ、この沼にハマる経験も悪いことではない。
新しい機材に触れることで撮影の幅が広がり、撮影への熱意が高まるから。
ただし、その先で気づくのは、カメラ選びよりも重要なのは「何を撮るか」という視点であり、どんな機材を使っても心に響く写真を撮れる自分になることだったりする。
写真の本質
写真の本当の魅力は、カメラやレンズの性能に頼らず、撮影者自身の視点や技術で生み出されるものだと思う。
機材の性能が表現の幅を広げることは事実だが、それを最大限に引き出せるかどうかは撮影者次第なのだ。
技術と経験があって初めて、機材のポテンシャルを活かした「見る人の心に残る写真」が撮れる。
良いカメラを買ったことによる満足感や楽しさは否定しない。
いや、ぶっちゃけ楽しい。
ただ、それ以上に、写真を通じて得られる成長の方が大切だと思う。
カメラを構えるたびに「今日こそは」という気持ちでシャッターを切る。
その積み重ねこそが、写真の世界の本質に近づく道だと信じている。
カメラ選びの旅の終わり
最終的に「カメラなんてなんでも同じ」と言えるようになるには、長い時間が必要だろう。
しかし、その境地に達するためには、さまざまなカメラやレンズを試し、自分自身のスキルと向き合い続けるプロセスも不可欠だと思っている。
大事なのは自分なりの納得なのだ。
結局、大事なのは「自分がどう撮りたいか」という目線と心。
それが撮影者にとっての最良のカメラを選ぶ基準になる。
機材選びに惑わされず、純粋に撮影を楽しむこと。
これが写真を長く愛するための秘訣だと思うし、だからこそ、その時その時で自分が大好きな機材をとことん使うのが良いとも思う。
そんなわけで、自分としてはもうしばらくはM11のお世話になりたい。
いつか、「結局、カメラなんかなんでも同じ。安いので良いよ」と、心の底から言えるようになるまで。笑
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YouTube ch 「Leicaに恋して。」
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