不動産株・REITに売り 金利上昇で利払い増懸念

3月ぶりにREITが1750pt割ったタイミング出てきました。REITが下がると不満がたまってなに書きたくなります。

さて、今回の題目は日経の記事のそれをそのまま引っ張ってきました

それっぽいことを書くのが得意な日経くんですが、足元のREITの軟調は利払い上昇懸念なんでしょうか??

どの金利をみるべきか??

一般的に金融さわっていない人にとって、金利といえば10年国債金利(をニュースなどでみるから)でしょう。
なので10年国債の金利推移とREIT指数の推移をみてみましょう。

たしかに、5月以降急速に金利は上がってREITが少し遅れてたれて来ている雰囲気です。

10年国債金利は利払いに影響を与えるのか?

ただ、10年国債金利が上がった→REITの利払い増加懸念→REIT軟調というストーリーは短絡的かと思います。
10年金利は「直接は」REITの利払いに影響しません。固定金利で借りるのであればその期間の金利(例えば5年借りるのであれば5yの金利といったように)、変動金利で借りるのであれば短期金利が利払いに影響を与えます。
金利上昇フェーズに入ってREITは借入戦略を変えています。一昔前はみんな「長期・固定」でやすい金利で借りまくっていたわけですが、
金利があがってくると、「長期」、「固定」、「低金利」を3つ同時に実現するのは困難なので、各社自社の状況に合わせてデット戦略を考え、何かを優先し何かを諦める状況になっています。
とはいえ、過去に低い金利で固定したローンがいっぱいあるので、そう簡単にはまず利払いは増えません(固定比率はREIT全体で80%くらいはあるんじゃないでしょうか。多分)
また、REITにとって10年の借入は長く、平均8年くらい。足元は金利上がって少しずつ短くなっているという感じです。なので、REITの新規借入コストにダイレクトに聞いてくる5yの固定金利としてSwap Rateを見てみるとこんなかんじ。

5月に入ってから10bpsも上がってないんですよね。これで利払い上昇懸念でREITが下がっているというのは無理があります。また、多分金利のREITの分配金に対する感応度は「全借入の金利が30bps上がって、5%程度」じゃないかと思います。先ほどいったように過去に固定で引っ張っているローンがいっぱいあるので、全借入が30bps上がるのはそもそもだいぶ先です。

REITは債券

足元のREITの軟調は金利上昇に伴うものだろうということは否定はしませんが、理屈としては10年金利の上昇→相対的にREITの配当利回りの妙味減少のほうが強いかと思います。つまりREITは債券。
そして10年金利が上がったのは日銀が国債の買い入れを減額したから。日銀が金利を上げにかかっているのは円安に歯止めをかけたいから。円安に歯止めがかからないのはアメリカ経済が強すぎて米金利が全然下がらないから。
というのが足元の状況かと思います。
そういう意味ではREITのような金利感応度が高いプロダクトに投資を足元で検討するのであればアメリカの動向をしっかり見ときましょう。というのが今日の結論です。

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