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街づくりの撤退戦 コンパクトシティ

日経にこんな記事がでました。

「あー、寝て起きたら持ってる地べたの容積率増えてないかな」と不動産に携わる人であれば一度は妄想したことがあるであろう夢が実現しています。すごいぞ名古屋。

容積率が増えれば同じ土地に建てられる建物の規模が大きくなります。当然その土地の価値は増えます。
容積率の増加は被害者がない政策に見えますが、例えばその土地がマンション適地であれば、そのマンションを買う人が他に検討したであろう立地の戸建て素地など(鑑定評価的に言えば同一需給圏)の価値を薄く広く巻き上げているという感じかなと思います。
容積率増やすエリアを便利にするからお前ら集まってこいというのがメッセージです。


名古屋に限らず人口減少は日本の大体の都市でもはや確実な未来です。政策当事者に求められるのは脳味噌お花畑な出生数の回復シナリオではなく、人口が減ることを前提とした政策の立案です。(地方公共団体間では人口の奪い合い政策というのはある程度合理性があるとは思いますが)
日本の都市計画は高度経済成長期などの大都市への人口流入にあまり適切な解を用意できていなかったように思います。
人口流入に対処できなかった都市圏は住宅用地をもとめてどんどん拡大(スプロール現象)。サラリーマンは長距離通勤の苦痛を味わいました。
人口減少フェーズになり、その膨張した都市圏のペナルティをくらう局面となってきました。
広げた風呂敷を上手にたたむ必要があります。今度はうまくやってほしいですね。

人口減少に対応するコンパクトシティ

以下は国交省のコンパクトシティに関するスライドです。

https://www.mlit.go.jp/common/001273984.pdf

要するに今の広がった居住状況ではコストがかかりすぎてみんな不便になるので、みんなで集まって減った人口でも密度をある程度維持していきましょうというものですね。まあ、現実的にこの方法しかないでしょうね。
「ぽつんと一軒家」というテレビ番組があります。
文字とおり市街地から遠く離れた一軒家を特集する番組です。私は見るたびに「上下水道とかのインフラこの一軒のためにひいてるのかな。。。?」と心配になります。
残念ながらインフラは老朽化し維持する体力も徐々に減っていきます。上記の「ぽつんと一軒家」はその存在が社会的にはめちゃくちゃコストが掛かっている可能性があるのです。
かといって日本には居住の自由もあり強制的に引っ越しさせることは当然できません。持っている不動産を勝手に召し上げて転用することもできません。
私有財産と基本的人権は都市計画と相性が悪いです。

なので、政策としては移住してもらえることによるコスト削減分を上限として移転することへのインセンティブの付与や、名古屋のように薄く広く(わからない程度に)巻き上げるような政策を行うことになるでしょう。

余った土地は大規模に集めて、農地なり太陽光発電なりやっていく感じですかね。そうすると現状の農地法がクソすぎてそっちも整理が必要です。
あとは超大規模土地区画整理というのも選択肢としてはありますかね?まあ権利調整がめんどくさすぎて無理そうですね。

まあ、素人が思いつくようなアイデアは優秀な官僚の皆さんが検証した結果だいたいボツになっているわけですが、不動産業にかかわる一個人としては日本の都市・不動産が魅力的であり続けられ、ワクワクしながら仕事ができるような方向性進むといいなとおもっています。

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