日経平均においていかれるJ-REIT
日経平均を中心とする日本株がフィーバーする中で、2023年末以降J-REITは低迷が続いています。
2024/2/15の終値で1727pt。これはクレディ・スイスがお星さまになった2023年3月の下値1750ptを下回る水準です。
コロナショックによる急落〜回復期以降は見たことのない水準に突入してきました。
足元の配当利回りは多分4.6%強くらい。これもヒストリカルにはリーマンショック、東日本大震災、コロナショックぐらいでしか観測されない「高水準」です。個人的にはAIだのNvidaだの盛り上がるのも結構だけど、REIT買って寝ておけばいいんじゃないの?という水準になってきました。(投資は自己責任です)
J-REITにおいても2022年12月のYCC修正で水準を切り下げましたが一旦反発。その後は2023年にはいる頃からはさらにレンジを切り下げてレンジでダラダラやってきたのに、ここに来て下げが止まらないという状況です。
不動産のファンダメンタルズはどうなのか?
日銀が金利上げるなら不動産は価格下がってそりゃREITもさがるでしょ!?
というのが割りと素直な考え方です。REITは金利上昇に弱いというのが教科書的な常識で、実際世界のREITは軒並み2022〜2023の金利上昇局面で派手にやられました。
ただ、現物不動産CapRateは日本の10年金利がコロナ後の0%から一時期は1%まで上昇したこともあったのにまだ下げ基調です。特に賃貸市況が相対的に堅調なレジ・ロジ、あとホテル。さすがにCapのコンプレッションは限界では?と言われてはや5年くらい経ってるんじゃないかと思います。まあ多少の現物不動産の価格調整は足元の軟調の前から織り込んでいる水準だったので、今に始まるのはどうも釈然としません。また、海外投資家は金利があがり過ぎた本国でまともに不動産投資できる状況ではないのでほぼ唯一の不動産投資天国として引き続き日本にお金を突っ込んできています。
金利の上昇はREITの運営において支払金利上昇→EPU/DPUの減少という経路でも悪影響を与えます。ただ足元のデュレーション、借り入れ金利のベースとなるSwap Rateの水準から、いうてEPUで年間1%もインパクトないんじゃないですかね。どうせ政策金利たいして上がらないから全部変動でかりちゃえよ
オフィス賃料がインフレに連動するという幻想は持ってる人がいればいますぐ捨てたほうがいいですが、インフレはレジ/ホテルには追い風になっています。それぞれ普通借家や賃料形態の影響で即座に値上がりを取り込める訳では無いですが、着実に売上のトップラインが上がっている印象です。レジはそろそろポートがボロくなってますが、まあなんとかなるでしょう。
ということで日本の不動産のファンダメンタルズは金利上昇への警戒は続くものの、いうほど悪くないというのがコンセンサスです。不動産株の方はもりもりあがってますしね。
誰が売っているのか?
ファンダメンタルズ要因でなければ、フロー要因が下落の影響と考えるのが自然です。
本格的な下落が始まる前の1月のデータですが、以下のリンクに東証が公開しているREITの主体別売買動向があります。
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/skc8fn0000001zmy-att/reit_m2401.pdf
足元の注目点は、個人が買い越し。海外は売り越し。投信の売り越し。
REIT特化の公募投信は毎月分配型がAUM上位を占めています。この毎月分配型は新NISAの対象外になっちゃてまして、11月くらいから資金流出がずっと続いています。みんなREIT投信を解約してSP500買ってるということですね。いつまで続くかはよくわからないですがだらだらと売り続けるという行動が続くような気がします。損してまでも資金捻出のために売るのか?という水準まで来ているような気もしますが。
一方、「個人」が買い越しというのは個別のREIT銘柄では買いに来てるということになります。こっちは新NISAの対象です。個別銘柄の半年ごとの分配と決算期がバラバラなREITユニバースをまとめたファンドの毎月分配との間に本質的な違いがあるのかは私には全然わかりませんが、金融庁の賢い人達には私と違う景色が見えているのでしょう。
海外の売りはよくわかりませんが、足元J-REITの値動きがグローバルなREITの値動きに近づいている印象があってそうすると主に米金利次第なのか?という印象を受けています。そうするとFEDがさっさと金利下げるのを祈るという戦略しかありません。そして相場の上げ下げは株式同様海外投資家のフローで決まることが多い印象です。
結論
今後の値動きはわかりません(あかん)。安い気はしますが、もう少しだらだら落ちてしまう気もします。ですが、ずっと独自の文脈で動いていたJ-REITが突然グローバル論理に組み込まれつつあるのが足元の状況なのかなと思ったり思わなかったりです。
※本文章はいかなる投資行動も推奨するものではありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?