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クレイジータンク通信vol.213 『農業の危機を適切に感じた”究極のとうもろこし”の現場』
クレイジータンク通信(通称:クレタン通信)は、2020年7月よりスタートし、現在まで毎週つづいている「クレタンの今」をお届けする2000-3000字程度の通信です。2021年10月までは、クレタン関係者やファンクラブの方、十数名の方に限定的にお送りしてきました。しかし購読者の皆さまからのフィードバックもあり、2021年10月下旬より、有料にてnote公開を行うことになりました。さらに、2023年10月からは、試験的に無料公開をスタートすることにいたしました。毎週、クレタンが何をしているか、また、何を考え行動しているのかについてお伝えしていく場です。クレタンは常に未来に向かって自分たちが「挑戦をつづける当事者」になることを大切にしています。変化する社会を生きるみなさまにとって、挑戦へのきっかけや原動力となれば幸いです。気になったときにふと立ち寄ってみてください。
クレイジータンク通信vol.213
あっという間に8月も下旬に差し掛かりました。日付だけを見れば夏ももうすぐ終わりだなと感じるのですが、外に出ると、まだまだ秋を感じられるのは当分先のことになりそうだと思い知らされる、そんな猛暑が続いています。
さて、今週の通信では、先日開催しました保けん野菜サービスの加入者向けイベント「究極のとうもろこしを味わうコーン期夏祭り」の様子もお伝えしながら、未来の危機に対する私たちの感覚値と行動への結びつきについて改めて考えてみたいと思います。
ぜひご一読ください。
農業の危機を適切に感じた”究極のとうもろこし”の現場
先日、昨年に引き続き、「究極のとうもろこし」を味わう保けん野菜オリジナルイベント【コーン期夏祭り】を開催しました。
当日の様子については、保けん野菜ブログにも記載されていますので、ぜひこちらも併せてご覧ください!
※以下は昨年2023年に開催した「コーン期臨時総会」のレポートです。
今年は、「究極のとうもろこし」を味わうべく、畑では採れたての「とうもろこしのお刺身」をシンプルに塩とお醤油でいただきました。
その他、とうもろこしとのストーリーペアリングとして、アルコール&ノンアルコールのドリンクが持つストーリーとともに楽しんでいただく時間を過ごしながら、蒸し・焼き・かき氷と姿を変えたとうもろこしを多角的に味わい、体感する場となりました。
当日の様子を、以下の写真ですこしご覧いただければと思います。
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今年も、上記の写真のように、究極のとうもろこしを非常に美味しく!楽しく!堪能させていただいたのはもちろんなのですが……
それだけでなく、非常に考えさせられることが多い会となりました。
たとえば、まず、畑の様子。
昨年は8/14に開催したこちらのイベントですが、今年は8/16開催とほぼ変わらない日程で実施したにも関わらず、畑の様子は大きく異なっていました。
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写真からは少し違いがわかりにくいかもしれないのですが(加えて今年はとうもろこしの収穫時期が早まり、収穫タイミング後半ということもありましたが)、全体的に葉や茎などが暑さに影響を受けた印象がありました。
元々、一年前、昨年のコーン期イベントでお聞きして驚いたのは
「とうもろこし単体で見れば、赤字の野菜。採算は合わない」
という事実。
その実態をお聞きして以降というもの、のらくら農場さんのように、化学肥料を使わず育てる有機農業を営む農家さんや土壌づくりにこだわり栽培する農家さんが作るとうもろこしは「来年も食べれる保証はない貴重なもの」だという意識を強く持つようになっていましたので、この畑を見た時にまたその意識が強くなった感覚がありました。
なお、とうもろこし畑で出向く前に、保けん野菜の運営を行うミチクサ合同会社秋山代表より、のらくら農場萩原代表のビデオメッセージとともに参加者へこのような話が伝えられました。
・とうもろこしは夏のたった3週間しか出荷できない野菜
・どう考えても赤字部門ではある
・単体では採算が合わなくても、野菜セットを受け取るお客さんに喜んでもらえることをやろうという想いで、今年のらくら農場ではとうもろこしの作付けを去年の2倍の面積で行った
・暑さによって虫の発生がとても多く、せっかくできたとうもろこしに虫食いの被害にあった
・ハクビシンやタヌキ、シカも大好きなとうもろこし。その対策にも余念がない
・それでも出荷できるとうもろこしの割合は全体の50%
「とうもろこし栽培の実態」を伺った上で、いざ畑に入ると…
至るところに、動物たちに食べられてしまったであろうとうもろこしや、出荷に至らなかったとうもろこしが転がっていて(これらはまた次の畑に向けての養分へと活かされていくことは教えてもらいつつも)私たちでさえ胸が痛む光景ですので、日々、この環境と向き合いながら、栽培してくださっている方々へ想いを馳せないわけはありません。
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畑から場所を移し「究極のとうもろこし」をさらに深く味わうべく、のらくら農場さんからまた鼻の先にある「森の時間」という施設に移動しました。
参加者の皆さんととうもろこしとのストーリーペアリングや蒸し・焼きとうもろこしを楽しんでいると、のらくら農場の萩原代表が仕事の合間を縫ってお越しくださりました。直接とうもろこしの栽培の実態についてお話を伺う機会を持つことができました。
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他地域の農家さんとも「とうもろこしの栽培をどう乗り切っているか?」と話をされているとのこと。しかしどの農家さんもとうもろこしはこの暑さに対応する方法を見出せていないという声が多いそうです。
畑の様子を見て、さらにお話も深くお聞きしていく中で、私たちは改めて、「国内農業の危機」が間近に迫っていることに背筋を凍らせる想いでした。
今はまだ、「収支計算はもちろん大切、だけど、お客さまに喜んでもらえる野菜を届けたい」という想いや「農業という仕事が好きで楽しいから続けている」という気概を持ち、世界的に見ても非常に高いレベルで安全性と美味しさを兼ね備えたお野菜を作ってくださっている農家さんが残ってくださっています。
しかし、この誰もが体感している猛暑や、気候変動にまつわる農業環境の変化、資材の高騰、働き手の不足、、、などなど、どう考えても国内の農業は過酷な状況であることが分かります。
のらくら農場の萩原代表の元へも、多くの農業従事者の方から、「農業を畳むことにした」「正直もう続けていくのはむずかしいかもしれない」という声が入ってきているとのこと…。
この事態を聞くと、消費者という立場の私たちにだって、一人一人が何かしら意思をもって動く方法を考えなくてはいけない責任があるのではないか、と思うのです。まじめに適切に農業を営む本当に価値高い農家さんたちが継続していける道を作るためにも、何か、具体的に行動して行くことが大切だと考えます。
この通信を読んでくださってる方の中に、「何かはじめたい」と思っていたり、「自分自身ももっとこの課題について当事者意識を持って考えたい」と思っていたりする方は、ぜひ一度「保けん野菜」に声を届けていただけたらと思います。
また、来る11月に、のらくら農場萩原代表の危機感を発端にし、ミチクサ合同会社の秋山代表が企画する「”農業をする”を学び合う」会が実施されます。弊社代表の竹鼻は、特別ゲストとして2日目の「議論の部」に登壇いたします。
今後起こりうるさまざまな社会変化の波を乗り越えながら「未来の農業」が継続していくために何を具体的な行動としてできるのか、についてディスカッションできればと考えています。
その他にも、私たちが出来ることを一つずつ「保けん野菜」というサービスを通じて当事者として取り組みながら、具体的に動いていく中で希望の道筋を見出せたらと考えています。
なお、保けん野菜の取り組みとして現在企画検討中の【究極野菜】も未来の農業に向けた希望の道筋になれば、と考え、進めています。
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すでに今年ののらくら農場さんのとうもろこし出荷は終了とのことで、来年また、究極のとうもろこしを味わえることを願いながら、さまざまなアプローチを考え、行動を続けていきたいと思います。