クレイジータンク通信 vol.206 『資本主義的関係性をアップデートする -保けん野菜「カブ主総会」を事例に-』
◆クレイジータンク通信 vol.206◆
あっという間に7月に突入してしまいました。先週末の6月30日は、一年の折り返し地点でもあり、いよいよ2024年も後半に入ったということになります。
ジメジメと湿度が高く雨も降り止まない梅雨の時期ではありますが、改めて1日1日を大切に過ごしていきたいものですね。
さて、今週の通信では、先週行われました保けん野菜の恒例イベント「第2期定時カブ主総会」での様子をご紹介しながら、資本主義的なサービスを超えて、生産者や加入者(消費者)や運営者が、その立場や枠を超えて、相互に信頼し支え合うような状態を創っていくことが、今後の社会でとても価値あることになるという予測について書きました。
ぜひご一読ください。
【資本主義的関係性をアップデートする -保けん野菜「カブ主総会」を事例に-】
先日、クレイジータンクがアドバイザーとして関わる保けん野菜サービスの恒例イベント・「第2期定時カブ主総会」が今年も滞りなく開催されました。
このイベントは、保けん野菜の提携農家である「のらくら農場」の代表萩原さんの
というお言葉をキッカケにして「野菜との出逢い方」を改めて考え直し企画しているイベントです。
通常であれば、生産者から消費者に対し、野菜は流通に乗って、届けられて行きます。しかし、本イベントは、非常にデリケートな野菜のベストタイミングに合わせて、消費者が時間や労力をかけてわざわざ生産地へ出向き、そこでしか体験または目撃できない機会に出逢います。
そのため、再現性や汎用性が極限まで削ぎ落とされたイベントになっています。
今年の「第2期定時カブ主総会」は、昨年の「第1期」と同様に、まずはこのベストなタイミングのカブを、畑から収穫して数十秒以内に食す、ということから始まりました。
畑に到着すると、第1回(2023年6月開催)に参加した加入者からは、「去年とはカブ畑の景色が全然違う!」という声が上がりました。そこには、のらくら農場さんが栽培方針や方法を常にアップデートしながら栽培されていることや、今年の天気の影響などによって起こる様々な理由がありました。それらも、参加をした加入者の皆さんにとっては大切な情報として伝えられていきます。
カブというお野菜ひとつをとっても、これまでのさまざまな農家のみなさんの知見の集積や、毎日の天候という予測不可能な自然との巡り合わせによって、今年のカブができているのだということを体感する瞬間です。
参加者全員でカブを収穫した後は、カブをカブ洗い機械で洗います(この時のカブの動きが面白くて大変癖になります!この機械で洗われるカブの姿を見ていると不思議と心地よく癒されるのです…笑)。
そして会のプログラムは、収穫したカブを使ったカブ料理の食事会へと移ります。
カブの食事会は、第1期時(2023年)にも行いましたが、第2期となる今回は加入者の一人であるゴルゴさん(保けん野菜では加入者にそれぞれ野菜ネームとアイコンが配られています)がフルコースをプロデュースしてくださいました。
ゴルゴさんは、普段より、保けん野菜のお野菜で作ったオリジナルレシピを保けん野菜レシピ集へ提供してくださっています。ゴルゴさんと直接お会いしたことがない他加入者より「ゴルゴさんのレシピはすごい」とのコメントが届くほどのクォリティなのです。
今回、保けん野菜を運営するミチクサ合同会社秋山代表よりゴルゴさんへコンタクトをとり、今期のカブ主総会でのカブ料理のメニュープロデュースをご相談させていただいたところ、快く引き受けてくださり、ゴルゴさんによるカブのフルコースが実現することとなりました。
そのメニューの数々は本当に素晴らしく、参加者全員がその美味しさに舌鼓を打ち、お腹がはち切れんばかりにカブを堪能しました。
こちらの記事に当日の様子が詳しく掲載されていますので、ご興味ある方はぜひご一読ください!
本来であれば、世の中にあるサービスや商品には、生産者(提供側)と消費者(享受側)がいます。さらにその対価としてお金が介在し、経済活動が成り立っています。
しかし、保けん野菜では、その資本主義的な関係性をアップデートした状態を実現するサービス開発を目指しています。
それは、生産者(農家さん)と消費者(サービス加入者)がお金が介在する関係性だけで終わらず、情報や体験をしっかりと積み重ねていく中で立場を超えて思いやれるような信頼関係を構築する状態です。
なぜ、そのような状態を目指しているかといいますと、資本主義社会やテクノロジー・AIが台頭する超合理化が進む社会の中で、非合理的であってもお互いを思いやり、様々な状況下でも助け合えるようなそのような人間関係や環境が、私たち人間にはとても重要な生きる糧になると考えているからです。
今回のカブ主総会は、これまでの運営サイドのみでイベントを創り上げてきた状態から、消費者(サービス加入者)という立場を超えて関わり続けてくださったゴルゴさんにイベントの一部の運営を担っていただくという形へと進化していきました。
この「状態」は、まさに保けん野菜が目指す形を象徴するものだったと振り返っています。
今後、私たち人間は、非合理的であっても力になりたい、力を貸したい、という事象や環境に、より喜びや豊かさを感じるようになるのではないかと予測しています。
なぜならそれは、生成AIが発展する未来では人間よりもAIが合理的に物事を進められることは間違いない状態となり、だからこそ人間は、より人間らしく、良い意味で人間くささのようなものに改めて価値を見出していくだろうと考えているからです。
保けん野菜では、生産者・加入者・運営者といったそれぞれの枠や立場を超えて、それぞれがお互いをしっかりと理解し合い、大切に思い合うような環境を今後も創っていきたいと考えています。その環境や状態がきたる未来に保けん野菜に関わる方々にとっての救いとなっていくように、今後も資本主義的利益を超えたサービスへと進化を続けていければと思っています。
【おまけ】
第2回定時カブ主総会では、カブを堪能するために、カブで作るジャックオーランタンづくりにもチャレンジ!
かぼちゃのジャックオーランタンが一般的かと思いますが、実は、ジャックオーランタンははじめはカブで作られていたという事実が発覚!笑
カブというお野菜について、まだまだ知らない世界がたくさんありそうです。来年の第3期カブ主総会はどのような出逢いが待っているのか。楽しみに待ちながら、もう少しだけ野菜セットとして届けれられるのらくら農場さんのカブを自宅でも大切にいただきたいと思っています。
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