クレイジータンク通信 vol.222 『消費者目線からモノ+周りの見えない価値を売る、へ』
クレイジータンク通信 vol.222
東京では土曜から日曜にかけて気温が乱降下し、今年一番の冷え込みになりました。やっと秋、かと思いきや急に夏から冬になったような気候に体も驚いています…
一方で、クレイジータンクが関わる保けん野菜サービスの提携農家さんからはこの暖かさによる虫の被害の情報も伝わってきており、今後、私たちの生活に直結する変化を身近に感じざるを得ません。
今週の通信では…
今後の農業の未来のために、11月に農業従事者の方々が集まり「のらくら農場で“農業をする”を学び合う」会が開催される予定ですが、クレイジータンク代表の竹鼻も2日目の「議論の部」に登壇いたします。
竹鼻の立場からは、野菜というモノとお金だけの交換ではなく、消費者が今後の時代でどのようなことを求めて野菜を買うのか、お金を払いたいと思うのか、という点について、テクノロジーやAIの進化という時代背景も踏まえてお伝えする予定ですが、その内容を吟味する中で整理された内容について、通信の中でもお伝えできればと思います。
ぜひご一読ください。
【モノを売る、から、モノ+周りの見えない価値を売る、へ】
11月8日、9日の2日間にわたり「のらくら農場で“農業をする”を学び合う」会が開催されます。
こちらには全国から農業従事者の方々が参加され、未来に向けた一歩をみんなで踏み出せるように、とさまざまな学びや議論がされる場として企画されています。
本会の2日目「議論の部」には、弊社代表の竹鼻が登壇いたします。
数年前より資材の高騰や気候変動の影響等、農業従事者の皆さんを取り巻く環境は非常に過酷な状況となっています。
のらくら農場代表の萩原さんの元へ1〜2年前より「農業を続けることが難しくなってきた」「難しくなる前にやめる」という声が聞こえるようになってきたことから萩原さん自身が危機感や寂しさを強く持つようになられ、「共に学び、確実な一歩を踏み出す」ための場を創りたいという思いから、この場の開催へと繋がっていきました。
ところで、クレイジータンクは農業従事者ではありません。
ミチクサ合同会社が運営企画する「保けん野菜」サービスのアドバイザーとして農業に関わる立場ではありますが、私たち自身も、このサービスの立ち上げ段階より、提携農家であるのらくら農場さんやないとう農園さんへ訪問させていただいたり、日々農場の変化を聞く中で、農業のこと、農場のこと、農業従事者の方々のことをまだまだ知り学ぶ段階にいます。
この会に参加される農業従事者の方にとっては「当事者ではない」と見えてしまうかもしれない立場でもあります。
だからこそ、この場への登壇オファーをいただいた時から、緊張感を持って、クレイジータンクの立場で何を農業従事者の方々へ伝えることができるのか、何を希望として渡すことができるのか、ということを改めて深く思考してきました。
そして深く農業を学び直し、農業だけではない社会全体の動きも理解しながら、複合的な視点を持って、当日にお伝えする内容を吟味してきました。
その過程で整理できてきたことがあります。
私たちクレイジータンクはずっと「生成AIが人間の仕事を代替する(奪う)時代が来たとしても選ばれる仕事・人づくり」をテーマに取り組んできており、保けん野菜もまさに当初からそのテーマを基盤に据えてサービス開発を現在進行形で進めています。
本会当日にも保けん野菜サービスを事例にお伝えしようと予定していますが、今後AIが台頭する時代にはさまざまなデータに基づいたものづくりや流通が一般的になっていくだろうと考えています。
人々の購買行動は、人の意欲さえも含めて、データで限りなく予測、設計化され、たとえば野菜であっても人々は「選んで買う」前に「選ばされて買っている」状態になっていくだろうと予測しています。(※実際に既にそういった事業をスタートしている企業もあり、クレイジータンクも一部関わったことがあります)
このように、社会の変化が起きれば、最終的な顧客となる「生活者(消費者)」が変化していきますし、顧客が変われば、店舗や流通の形もさらに変化を余儀なくされるでしょう。
だからこそ、私たちが関わる保けん野菜サービスでは、この「生活者(消費者)」の変化を見据えて、モノ=野菜、を届けるだけではない、モノ+そのモノの周りにある見えない価値を届ける、ということを大切にしています。
野菜そのものの美味しさや栄養価、安全性がトップレベルのものであることはもちろんお伝えしながらも、野菜単体の価値だけではない、野菜を通じて体験できること、野菜を通じて関わり合えること、野菜を通じて学べる社会の変化、さらに、それらを通じて人生の豊かさを感じることを通して、結果として「野菜」を手に取ってもらうことを設計しています。
併せて、未来のファンとも言える「しっかり選べる生活者(消費者)」を育てていくための地道な活動も行っています。
これらの活動は、一言で言えば、「めんどうくさい」のです。
相当の手間がかかりますし、一朝一夕で結果は出るものでは決してないため、覚悟と努力が必要です。
でも「だからこそ」AIと一線を画す唯一の形なのだ、と私たちは考えています。
さらに、これまでのように、この分野だけ真面目にやっておけば安泰なのだ、という時代ではありません。
「めんどくさい」ことでも許容できると思えて、かつ、自分が(まだ)好んでやれると思える分野で、決められた仕事だけではなく、自分の仕事をアップデートさせていくつもりで動き続けていく必要があると考えています。
それがモノにまつわる「周りにある価値」を発見し続けていく道筋につながると考えています。
皆さんにとって、「めんどくさいと思えることでも許容できて、かつ自分が好んでやれると思える分野」は何なのか。そこに今後のAI台頭時代を生き抜くヒントがあるのではないかと考えています。
私たちクレイジータンクはこういった社会の変化・未来に起こることの変化を、一つの軸から見るのではなく、複合的な視点から情報を取得し、ネットワークのようにつながり影響し合う状態を予測しながら事業展開している立場として、11月9日の「議論の場」では、この視点とともに実際に自分たちで行動し血肉となっていることを、農業従事者の皆様に熱を持ってお伝えできたらと考えています。