「THIS SONG」で泣いてしまうオタクの話

かつて、くるりが唄った「愛なき世界」が、スーパーカーの「FAIRWAY」へのアンサーソングだ、という話があった。たしかに、歌詞を俯瞰して見ると、それらしいフレーズがあったりするので、聴く度にそれを思い出すことがある。
当時、リアルタイムでその動向を追えていたわけではないけど、相互にリスペクトしあっていたのだろうなと感じることができるエピソードだなと思う。

今回は、そのような”関係性”を感じた瞬間があり、とあるアイドルグループのライブを通じて得た所感を、見切り発車に、とりとめもなく、この2-3か月の心境の変化も交えながら、書いていこう。

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2023年5月5日、フラバルーが解散してしまい、特にこれといった予定もなくなってしまったあとの喪失感は想像以上で、その後、無意識的に楽しげな現場を求めていた先にいたのが、GREAT MONKEYSだった。旧体制では何度か観ていたし、見知ったオタクも多くて、タイムラインからでも伝わる賑やかな様子は、虚無虚無プリンだった自分としては、羨ましくもあり、きっと居心地もよい現場であろうということは想像に難くなかった。

そして、爆死から約1週間後、心のリハビリもかねて、マワループへ行くことにした。

フラバルー解散の余韻が一切冷めていない状態で臨んだマワループ。燃え尽き症候群といえば聞こえはいいが、まるで酒を飲むだけのゾンビと化しており、朝から、声出しはおろか、振りコピすら応じることができない地蔵を超えて化石のようなスタイルで、フロアの後方に直立したまま、所在なさげにライブを観続けていた。

ただ、結果的には、このイベントに来たことが「ターニングポイント」になっているなと感じている。

この日はいくつかのアイドルを観てはいたけど、GREAT MONKEYSはきちんと観に行かなきゃなという心構えで、期待値は高かった。そして、求愛18以来に聴いたThis songがぶっ刺さってしまい、あろうことか、人目を憚らず、突然ライブ中に泣き始めてしまった@Pangeaフロア最後方。

ツイートを振り返っても、すでに”This song男”の片鱗が見え隠れしている。

実はこのライブ中、脳裏にこびりつくような存在感で、引きずりすぎているとも言えるフラバルーの4人の姿が浮かんでいた。かたやThis songでキラキラ輝くグレモンのステージを目の当たりにしていると、なぜだかいい塩梅でその2つのグループが交差してしまい、涙腺崩壊不可避の状態だったなと我がことながら振り返っている。当時はなぜ泣いてしまっているのかもわからず、あまり自分の気持ちを丁寧に扱ってこなかったが、音源を聴きなおしたときに、点と点が繋がるような感覚で、合点のいく”関係性”が浮き彫りになった。そのヒントは歌詞にあった。

グレモン楽曲の歌詞情報は、ファンクラブ専用ページにのみ掲載されているので、万が一聞き間違いがあった場合は、恥ずかしいことこの上ないけれど、初見でも耳にスッと入ってきた詞をもとに、This song男の経緯をまとめていく。

前提として、This songを聴いていると、10代の頃を思い出すような甘酸っぱい気持ちになるから不思議である。ブルーハーツを聴いているときのようなワクワク感、と形容すると少し伝わりやすいか。(そうでもない)
そうしたことも手伝って、これまで観てきたライブハウスの情景が、スライドショーのように脳内を駆け巡る作用があったりして、安心感すら覚える。それらは、より感情を掻き立ててくるには補って余りある威力を持っていて、いつの間にか、心のベストテン第一位に上り詰めてしまったのがThis songということになっている。

見初めたときから、自分にとっての立ち位置がとても明確な楽曲で、その解像度が高さは、これまでの音楽体験としては珍しい現象でもあった。そのため、聴覚を通じて、まっすぐな歌詞が体内に入ってこようものなら、異常事態発生とばかりに、肩をプルプルと震わせ、泣きながらライブを観ることになることが日常茶飯事になった。

可能性はある ゼロじゃないんだ
でもね それが僕を困らせている

ただ歌を唄っていたいだけ
幸せの裏にツラいことがありそうで眠れない夜

ただ歌を唄っていたいだけ
吐きかけた弱音を飲み込んだ
恐れずいこう そんな歌

GREAT MONKEYS / This song

特にこのあたりの歌詞は、(半ばこじつけではあるが)一方的なオタクの妄想により、フラバルーの4人の姿を重ねて聴いていることが多い。

「楽しいうちに」という前置きはありながら、辞めることを選択した彼女たちも「ただ歌を唄っていたい」そういったピュアな気持ちを大切にしていただろうなと思う。そしていま、4人がそれぞれの人生を歩んでいる先の「可能性」に対して、こちらが自分勝手に「葛藤している」という設定を押し付けては、エゴなエモを感じていたりする。

そこでもう1曲。そんなThis songとの強烈な”関係性”を感じる楽曲を紹介したい。スーパーカーへくるりがアンサーソングを提示したそれとまではいかないものの、対になる曲として浮かんだ曲、それは「フィメール・フィールフリー」だった。

踏み出したのか はみ出たのか 知らないけど
他人より小さい足で人一倍走ってきたのは
あなたと隣で歌ってたいから
・・・・・
女の子は自由に無我夢中
こんな小さな夢だけが いつも僕を悶えさせる
・・・・・
喜怒哀楽じゃ割り切れないことばっかりあるなら
我慢いらない めいっぱい叫んでいいからね

HULLABALOO / フィメール・フィールフリー

This song。フィメール・フィールフリー。それぞれ質感は異なるけれど、アイドルとして生きる、やや対象的な女の子像が浮かび上がってきたときに、フラバルーからグレモンへのメッセージのような、もっと言うと勇気づけてくれているようにすら思えてきて、またそれをThis songが受け止め、前向きに、躓くことはきっとあっても、歌い続けるよと答えているように聴こえてきてしまい、涙腺はいつもガバガバになっていた。
※おそらく、このような聴き方をしているのは自分だけと断言していい。

あーりーさんのnoteには、
アイドルに、音楽に、真正面からぶつかって、このひとつの夢を納得いくまで存分に楽しんでほしいと思って書いた歌詞」とあるし、歌詞を書き上げた背景には「メンバーからのSOSがあったこと」にも触れられていた。

と、ここまで書いてきたような雑多な情報が、大げさにいうと、This songを聴いているときに、すべて降り掛かってくるような感覚に陥るのである。それはもう、泣かない理由がない。

細部にまで至るとキリがないのだけれど、もうひとつ挙げるとすれば、ざちゃんの過去ツイとの”関係性”を感じられる、好きなパートがある。

ただ歌を唄っていたいだけ
人生はぼくの主演映画 名場面だらけで困る

GREAT MONKEYS / This song

このツイートについては、ざちゃん本人と特典会で話したこともある。映画にしたい、と言っていたよなぁ、とこのパートを聴いているときに、ふと思い出す。実際に、爆死を発表してからの約50日は本当に映画のような日々だったし、大いに笑って、大いに泣いたから、「名場面だらけで困る」のフレーズで涙の大打撃を喰らっている。

ハッピーエンドのラストシーン
ぼくにはね 悲しく見えた

GREAT MONKEYS / This song

話はマワループに戻る。Pangeaの後方から、もみくちゃになるオタク越しに見えていたユニイチ、そしてその落ちサビが、真っ向からバカデカ感情が擬人化したように襲ってきて、ぶっ刺さった。あの『爆死』というラストシーンが、とても楽しくて、もうコレ以上ないというくらいはしゃぎ倒してなお、悲しく見えたというのは正直なところだったので、まるで気持ちを代弁してくれているかのような錯覚に陥る。そうした感情の延長線上でThis songはいつも泣かせてくれている。

だけどステキな明日がある
唄って 叫んで 声枯れて
またドキドキしてんじゃん

GREAT MONKEYS / This song

その落ちサビのあとに続く歌詞。とても前向きでいいし、予言者かというくらいに、いままたライブハウスで、ドキドキしている自分がいる。ありがたい。

そして、いつからかだったか、何度か現場を重ねているうちに、フラバルーの4人を重ねる意識が良い意味で段々と薄れていき、This songで泣くだけではなく、しっかりとグレモンの4人を観て、ライブを楽しむモードに切り替わっていた。10月に行われるワンマンのチケットを買うのも、そう時間はかからなかった。

その転換期、さらに大きな後押しとなったのが、MJ(ムイコジャパン)の存在である。干からびた感情に潤いを与えてくれたオンナさんである。突如現れた新星(自分の中で)。
屈託のない笑顔と、芯が通っていてハリのある歌声、のびのびとしなやかなステージパフォーマンスに、いつのまにか自然と目がいってしまうことが多くなり、「(…お。これは”気になっている”ね。)」と謎に自分自身に語りかけるように気分が高揚していき、いつの間にかMJの特典会列に並んでいた。

2023年6月10日の現場。はじめてMJとチェキを撮った日。
思い返したらThis songで泣きながらリフト上げられてた。

そして、こういう「流れ」が来ているときに限って、タイミングよく生誕も控えていたのでMJモチベをより一層高めるには、まったくもって申し分ない夏の始まりとなった。本当に良い生誕だった。

とはいっても、まだまだこれから。もっともっと楽しくなる。そんな機運である。

爆死からのマワループ、最高に楽しかった沖縄遠征、ディノギーガで泣いた名古屋遠征、MJ生誕、こぐまカリーイベの数々、造船所、少し振り返っただけでも、思い出深い積み重ねがあり、微笑ましい。

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J(ジュリ・ザ・ファイター)さんとは、味園ユニバースで泥酔状態で撮ったチェキのときに、猫宮さんのことも話したことがあったから、勝手に親近感が湧いてる。This songの歌詞の話、また続きが聞きたいわね。
ソイ(ソイマル)さんとは、その経歴から過去にすれ違いはあったものの再びここで会えてる感が嬉しいし、くるりの話はまた今度しましょう。チャンポーズ生みの親ですし。細かいところまで観てるので。
ユニイチ(ユニイチバン)は、グレモンに通うきっかけを作ってくれたオンナさんなので、2023最重要キーパーソンとも言える。This song男になってしまった責任を取ってほしいよね。(責任とは)
MJ(ムイコジャパン)。これから先、いつかこの夏を振り返ったときに確実にエモくなれる自信があるので。とにかく、ワンマンです。また「世界に花を」で泣かせて欲しさ。

近頃、4人それぞれともチェキを撮る機会も増えてきて、もっともっとみんなのことを知りたいなとも思っている。各々の個性や感性と触れ、それはそれは楽しく、ワンマンへの心の準備を着々と整えている次第なので。タイプはばらばらなのに、一体感があって、よい4人ですよね。こんな短期間での交流ですが、みんなが心底楽しんでいるから、こちらも活力が湧いてくる。オタク各位も「今日、良いライブでしたよね」と口癖のように発する現場が続いていて、なんという素晴らしいタイミングでこの現場に出逢えたのだろう、といつもホテルへの帰り道はホクホクした気持ちになる。

いつだって、そこにいる理由は自らの選択があったからこそで、その選択が間違ってしまったなということも、これが正しいよなと思うこともある。物事は、終わってみないとわからないことも多い。

何かが終わる時は寂しいものだけど、それとは別のベクトルで心を豊かにしてくれるアイドルと出逢えることは、幸せなことだなと思う。
少し時間が経って振り返ったときに、10/14の「This song」を観れたことは、絶対に自分にとっての正解なんだよなと、確信めいた感覚すらある。

音楽には、記憶装置の役割を果たしている側面があるから、これからもThis songは思い出出力MAX感は変わらない。もっと強度を増していくのだろうなと。

#1014ぐれもんBANANAワンマン

2023年10月14日(土) at BANANA HALL
GREAT MONKEYS ONEMAN LIVE 2023
「THIS SONG」

楽しみ。

と、今日から東京遠征。よっしゃ。

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