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なぜ女性作曲家の演奏会をやろうと思ったのか、そしてその難しさについて

こんにちは。関西拠点の音楽系ギャルサー「Crazy Gal Orchestra」です。性別問わず、楽器演奏テクとギャルマインドを持った仲間が集まって、わいわいやってます!

そんなうちらが今取り組んでいる活動に、女性作曲家による作品の演奏とそれに向けた研究があります。今回、この活動を始めることにした経緯とか悩みとかを書いてみるので、ぜひ読んでみてね。


うちらで女のひとの曲、演奏してみようよ

きっかけは、よくある居酒屋での雑談――

確か、「オーケストラの選曲って、なんで偶然ほかの団体と被りまくるんやろ」みたいなことをしゃべっていたと思います(アマオケとかにいる人にとっては「あるある」の話だよね)。

その流れの中で、「そういえば女のひとの曲って全然演奏されてへんよな」という話になったんです。

確かに、オーケストラの団員には女性が増えてきたのに(かつてオーケストラに女性が全くいない時代もあったよ)、プロオケ・アマオケ問わず、コンサートで演奏される曲の作者はほとんど男性(それも白人)

これはなぜ!?

曲の絶対数が少ない?
知名度が低くて集客できない?
楽譜や音源が入手しづらい?
……きっと、いろんな理由あっての現状なんでしょうね。

確固たる理由を突き止めるには至りませんでしたが、その代わりうちらの中で、謎の闘志が湧き上がったよね。「じゃあ、もううちらで女性の曲、演奏してみたらいいやん」、と。

選曲がこんなに難しいとは

演奏会を開くにあたって、まずは、誰のどんな作品を演奏するか決めないといけません。

アマチュア奏者のうちらは、普段「ずっとやってみたかった曲」とか「最近聴いて、自分でもやってみたくなった曲」を演奏会で取り上げることが多いです。つまり、ほかのオーケストラのコンサートやCDなどを参考に、プログラムを決めていくことが多い、ってこと。

でも、今回はそもそも「あまり演奏されない作品を演奏してみる」というタイプの企画……先例がほとんどない状態からプログラムを組むにあたって、どういう基準で曲を選んでいけばよいのか。これは、うちらにとってめちゃくちゃ難しい問題……

もしかするとこういう難しさが、女性の作品があまり演奏されない要因の一つでもあるのかも? そんなふうにも思いました。

音楽の中身で選びたい、けど……

Crazy Gal Orchestraのメンバーは皆、「女性ならではの視点を活かした〜」「女流〇〇」と言ってしまうタイプの邪悪に対しては、人一倍に敏感でした。

だから最初から、「女性の作品だから」という理由だけで曲を選ぶという考えはゼロでした。だからこそ、何を基準に選ぶべきか、に悩むことになったわけ。

奏者としてはもちろん、音楽の中身を重視して選びたいという気持ちが大前提。でも、音楽の中身を検討するための知識すら、自分たちは持っていない。彼女たちの作品は、正統な音楽史から長らく見過ごされてきて、インターネットでは詳細な楽曲情報もあまり見つからないんだもんね……。

本を読んだら悩みが増えた

そこで、女性に焦点を当てた音楽学の専門書を買うことに。絶版で価格が跳ね上がり、入手困難なものもあった……でも、なんとか数冊の書籍を揃えて、インターネットで出てこない情報にもアクセスできる環境が整ってきました!

いくつか文献を読むうちに、だんだんわかってきたことがあります。それは「社会のせいで作品を発表できなかった女性」とか「夫のせいで作曲をやめさせられた女性」がたくさんいたということ。

こういった社会的な背景は、選曲の手がかりになるかも? と思いました。でも、ここでまた新たな悩みが。「抑圧されたかわいそうな女性」という物語を消費する企画にしたくない! という思いが湧いてきたんです。

うちらは、まだ研究の世界に留まっている音楽を、ふつうに「いい音楽」としてコンサートの現場に広めたいだけ。なのに、こんなに葛藤を抱えている……

これからやっていくこと

こんなふうに行き詰まり、ひとつだけ確実になったのは「人の助けを借りたほうがいい」ということです(すごく遠回りして、当たり前のことにたどりついた……!)。

いろんな本を読んでわかってきたけど、うちらが悩み、葛藤していることは、ずっと前から研究者が考えてきたことなんですね。だから今、まずは研究者の先生たちに助けを求めています!

専門家のレクチャーを通して、「これはいい曲だ」と判断するための知識を身につけていきたいと思っています。幸いにもすでに数名の先生から、ご協力いただけるというお話を伺っており、とてもうれしい!

さらに、当事者、つまり今まさに作曲活動・音楽活動をされている女性にも話を聞いてみたいと考えています。これは、クラシック音楽に関わる女性の生き様を「物語」として消費せず、誠実に作品と向き合うためにも、必要なことだと思っています。それにうちらは「現代音楽」の作品もいつか演奏してみたいので、そのジャンルを実際に書いておられる方にお話を聞けたら、とても勉強になるはず。

そして、こういった取り組みを通してうちらが学んだこと、新しく考えたことを、このnoteで公開して、みんなに広めていきます。

noteの内容をもっと広く拡散できるように、Twitterアカウントもつくってみました!

https://twitter.com/CrazyGalOrch

まだアイコンも設定できていない作りたてアカウントですが……! うちらの活動に興味を持っていただけた方は、ぜひフォローしてください。


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