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南投県仁愛郷の概況

高山は連綿と、しかし茶園は点々と…

仁愛郷の茶園は中央山脈の奥深くにあります、年中温度が低く、昼夜の温度差は大きいです。春茶は4月末から5月初旬に積むのですが、この時期のこの茶区は雨が多い次期でもあります。冬茶は10月下旬に摘みますが、節季ではこの時期はまだ晩秋で冬茶の特徴が出にくいというデメリットもあります。産地が点在するため高山茶として流通していましたが、近年はその土地の名前で商品化するケースが増えてきました。
広大な仁愛郷は面積は彰化県にも匹敵します。郷の奥地には広大な中央山脈の高地があるため、複雑で不便な地形です、そのため茶区も細かく分散し、独立しています。また、土質や気候条件もそれぞれで異なっています。埔里から東にある良久・武界・大同山・東眼山・奥萬大・紅香・平静・霧社・春陽・廬山・翠峰・翠巒は全て茶を作り、なおかつ高山茶に属します。代表的な例として紅香を上げてみますが、この地は海抜は800~1600mですが中央山脈の深い場所に位置するため、高山の気候を呈します。2000年代までは仁愛郷のお茶の多くは都市部での販売時には「高山茶」としてまとめて扱われていました。ただし、大手グループの天仁茗茶は霧社で作った「天霧茶」、廬山で作った「天廬茶」をブランド茶として売っていました(現在は南投県政府から天仁が租借した茶園は政府に返還されているそうです)。しかし、近年、仁愛郷のお茶はそれぞれの産地で特徴が分かれていることから、農家や小規模生産者はそれぞれの土地の名前で商品を流通させはじめています。

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