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最高に気持ちの良い前戯

今日じゃないいつか、そこじゃないどこか、フィクション

そういった関係になって数カ月は経っていただろうか。普段は時間があまりとれないからと、仕事帰りに食事だけだったり、ホテルでセックスするだけだったり。それはそれで満たされる関係ではあったが、もう少しちゃんとしたデートをしたいと思ったのはお互いだったか。とにかく、二人で休みを合わせて一日デートをすることになった。都内だからデートスポットはありふれているが、ベタなところを選んだ。

二人の生活圏からは少し外れた、縁は薄いが知らないわけではない駅で待ち合わせをした朝は、お互いに普段より少しずつ着飾っていた。お互いの薬指には何もなかった。デートを気兼ねなく楽しみたいという気持ちだろう。二人で手を繋いで駅からすぐの商業施設へ向かった。

平日ではあったがそれなりに人が多い施設をめぐり、その後野外で行われていた季節物のイベント会場でお酒やらお菓子をつまんだ。何か目当ての買い物があるわけではないが、お互いになんとなく服や小物をみながらめぐるのは、普段から思えばなんと贅沢な時間だっただろう。エスカレータでは少しつつきあったりなどしたが、死角のないこの場所では手をつなぐこと以上のことはなく、キスやハグさえすることもなかった。

数カ月、キスはもちろんセックスだって少なくはない数している関係の二人が、ただ手を繋いで一日歩いている。その状況には色々な感情が湧く。とても楽しく贅沢な時間ではある。一緒のものを見て笑い、一緒に食事を摂り美味しさを共有し、一緒に話した内容は思い出になる。そういった時間は尊い。しかし、夕方にもなると彼女の手のひらだけでは足りない気持ちが強くなる。デートは楽しいのだ。ただ、それを踏まえても早く彼女を抱き締め、キスをし、求めたい。そういった気持ちになっていくのは性欲が強いからだろうか。それとも彼女が愛おしいからだろうか。

早くなった日が落ち始めるところで、その施設を後にし、ホテルへ向かう。いつもより足早に、少し強引に入り彼女を押し倒す。特に変わったことをしたわけではない。ただ、長いデートをしてからのセックスはそれだけで興奮した。健全デートは延々と焦らされたかのような気分だった。彼女もそう思っていたら嬉しいという気持ちを秘めながら、その焦らされた欲情を彼女にぶつけた。お互いにいつもより興奮した激しい行為のあとけだるい身体で二人で微笑みながら抱き合った。

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